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ISHIYAMA YujiGraduate School of Humanities / Division of Human Cultural StudiesAssociate Professor
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■ Award■ Paper
- Corresponding, Mar. 2024, (神戸大学文学部)紀要, (51) (51), 1 - 20, Japanese『和仏小辞典』の漢字音──『和英語林集成』第三版との比較を通して──Research institution
- Mar. 2023, (神戸大学文学部)紀要, (50) (50), 27 - 48, Japanese『和英語林集成』第三版の漢字音についての一考察Scientific journal
- Dec. 2022, 国語国文, 91(12) (12), 29 - 40, Japanese後期中世における法華経音義の日本漢字音史資料としての性質──t入声字の表記を題材にして──[Refereed][Invited]Scientific journal
- Sep. 2022, 国語と国文学, 99(9) (9), 49 - 62, Japanese日常使用の日本漢字音の歴史──『日葡辞書』と現代日用語辞典との比較を通して──Scientific journal
- Nov. 2021, 国文論叢, (58) (58), 24 - 34現代日本漢字音の一特徴──中国人名の表記を題材として──
- Mar. 2021, 訓点語と訓点資料, (146) (146), 48 - 60浄土三部経音義の漢字音[Refereed]
- Oct. 2018, 国語と国文学, 95(10) (10), 50 - 65, Japanese「漢字音の一元化」の歴史[Refereed]Scientific journal
- Mar. 2018, 国語語彙史の研究, (37) (37), 229 - 246, Japanese中世以降の「シウ(シユウ)」「シユ」の呉音形をめぐって[Refereed]Scientific journal
- Mar. 2018, (神戸大学文学部)紀要, (45) (45), 39 - 99, Japanese浄土三部経音義の字音点分韻表Research institution
- 鈴屋学会, Dec. 2016, 鈴屋学会報, (33) (33), 15 - 29, Japanese豪韻字の字音仮名遣いをめぐって[Refereed]Scientific journal
- 神戸大学文学部国語国文学会, 2014, 国文論叢, (48) (48), 1 - 12, JapaneseChanges between JOSHO(上声; high tone)and KYOSHO(去声; rising tone)in Sino-Japanese Kan'on in classical Chinese texts written by Japanese authorsResearch institution
- 明治書院, 2013, 国語と国文学, 90(7) (7), 52 - 65, Japanese『遊仙窟』各本に記入された日本漢字音の位置づけ[Refereed]Scientific journal
- 弘前大学国語国文学会, 2013, 弘前大学国語国文学, (34) (34), 15 - 30, Japanese「字音仮名遣い」の現状と提言[Refereed]Research institution
- A study on Sino-Japanese SEI/DAKU of Medieval "Lunyu(論語)"本稿は、室町時代に書写された複数の『論語』古写本に着目し、それぞれの資料に記入された漢字音の清濁について考察したものである。 『論語』古写本においては、韻書全濁字への濁点加点例のような、清濁の原則に必ずしも忠実ではない場合が多々見られる。さらに、同じ漢字の清濁が資料によって食い違っている場合が存するほか、同じ資料の中でも両様の形が出現する例も散見される。また、「漢語」単位で分析した場合も、やはり清濁の揺れが少なくないことが分かる。 一連の考察から、それぞれの字の清濁とはある程度の流動性を帯びたものであって、韻学的知識などをもとに、絶えず「整備」される性質のものであったことが窺える。弘前大学教育学部, 2012, 弘前大学教育学部紀要, (108) (108), 9 - 17, JapaneseResearch institution
- A study on Sino-Japanese of "Zhuangzi(荘子; owned by KOZANJI Temple)"本稿は、高山寺に蔵される『荘子』古写本7巻(甲巻5巻、乙巻2巻)に記入された字音点を対象として、国語学的見地から考察したものである。先行研究ですでに気づかれているとおり、本資料に散見される反切・同音字注などは、基本的に『経典釈文』によっており、場合によっては原初形と思われる記述も見られる。また、直接引用していない場合であっても、声点や仮名音注などに『経典釈文』の内容が間接的に反映されていると考えられる場合も存する。特に反切注から理論的に導き出された「人為的漢音」も存することは、漢字音学習のあり方を考える上で、また『論語』との違いを考える上で見逃せない事柄である。このほか、仮名音注や字音声点の特徴も、同年代の漢籍訓読資料とおおよそ共通しており、大学寮での講読が行われなかった資料であるとはいえ、その位置づけは『論語』などと大差はなかったものと思われる。弘前大学教育学部, 2012, 弘前大学教育学部紀要, (107) (107), 7 - 14, JapaneseResearch institution
- A study on tone marks of Medieval "Lunyu(論語; the Discourses of Confucius)"本稿は、中世に書写された5種類の『論語』古写本に記入された字音声点について考察したものである。まず『論語』各本と『広韻』との対応関係を調査したところ、おしなべて日本漢音の体系に沿ったものであるという共通項があるほか、いずれの本にあっても上声全濁字の去声字が相当程度進んでいるという傾向が見出せた。次に、各本の同じ箇所に記入された声点にどのような違いがあるか調査したところ、偶発的な相違と考えられるものが存する一方で、合理的な理由が想定されるものも少なくなかった。このことから、『論語』の漢字音とは『本朝文粋』のそれと比べて規範的である様が見て取れる。ただし、特定の本の声調が取り立てて規範的であるというような傾向はなく、その点では、筆者がかつて指摘した『論語』各本の漢字音全般の傾向に沿っていると言うことができる。弘前大学教育学部, 2011, 弘前大学教育学部紀要, (105) (105), 1 - 8, JapaneseResearch institution
- 訓点語学会, 2011, 訓点語と訓点資料, 126(126) (126), 18 - 33, JapaneseA study on the Sino-Japanese tone in Honcho-Monzui(本朝文粋)[Refereed]Scientific journal
- 弘前大学国語国文学会, 2010, 弘前大学国語国文学, (31) (31), 1 - 13, Japanese日本漢字音に関する諸問題[Invited]Research institution
- 2009, (東京大学博士学位論文), Japanese中世日本漢字音における声調の研究[Refereed]Doctoral thesis
- The main topic of this paper is the reading boundaries of the Kammuryojukyochu (A Buddhist scripture read by Shinran following the Chinese word-order according to Sino-Japanese readings). From the perspective of reading boundaries, there are two typical features in the Kammuryojukyochu. 1) Boundaries are sometimes irrelevant to the formation of Japanese words. Japanese word beginnings do not always correspond to the word beginnings of Chinese texts. 2) Boundaries sometimes disappear between the 1st and 2nd Chinese characters. This may be related to the tendency of Japanese words of Chinese origin to consist of two-character compounds. These features of Chinese reading could have been not simply Shinran's personal habit but a custom in medieval Sino-Japanese. Although texts read according to Go pronunciation have been studied in term of their "purity", attention should also be paid to these particular Japanizations.The Society for Japanese Linguistics, 2009, 日本語の研究, 5(3) (3), 51 - 63, Japanese[Refereed]Scientific journal
- 訓点語学会, 2009, 訓点語と訓点資料, 122(122) (122), 31 - 42, JapaneseA study on Sino-Japanese of Honcho-Monzui owned by Daigoji temple[Refereed]Scientific journal
- A Study on the Medieval Sino-Japanese of "Lunyu(論語)"鎌倉~南北朝時代に書写された4種類の論語古写本における漢字音の性質について論じたものである。4種類の本の漢字音はそれぞれの書写年代に応じた日本語化を蒙っており、本による本質的な違いはない。この背後には、中国の注釈書『経典釈文』の存在が考えられる。博士家の論語講読においては等しく経典釈文が利用されており、学習の内実は均質的なものであったと考えられる。東京大学大学院人文社会系研究科国語研究室, Mar. 2008, Japanese Linguistics Papers, (4) (4), 1 - 15, Japanese[Refereed]Research institution
- 貞享版『補忘記』の漢語アクセント貞享版『補忘記』においては、声点で示された字音声調と、節博士で示された実際の抑揚とが高い対応関係を示している。しかし、同じ語を同時代のアクセント資料である『平家正節』で調査すると、しばしば補忘記と平家正節とで齟齬をきたしているという状況が見られるため、補忘記の漢語アクセントとは論義の場における特殊なものであり、当時の日常漢語アクセントを記述したものではないと考えられる。至文堂, 2008, 国語と国文学, 85(3) (3), 69 - 80, Japanese[Refereed]Scientific journal
- A Study on Sino-Japanese of BUNKYOHIFURON(a Property of ROKUJIZO-JI Temple)従来注目されてこなかった六地蔵寺本『文鏡秘府論』について、記入された仮名・声点が、どの程度伝統的な日本漢音の体系に合致しているか、解明を試みたものである。その結果、仮名は鎌倉時代以前の姿をよくとどめているほか、声点についても他の文鏡秘府論写本に見られない特徴が存するなど、日本漢字音史研究に有益な資料であるということが確認できた。ただし、本資料には書写にやや粗雑な面も見られる。東京大学大学院人文社会系研究科国語研究室, Mar. 2007, Japanese Linguistics Papers, (3) (3), 1 - 13, Japanese[Refereed]Research institution
- A study on Sino-Japanese of SEZOKU-GEMBUN[Appendix: A phonological chart]観智院本『世俗諺文』の漢字音のうち、主に漢音語について考察するとともに字音点分韻表(本文中に出現する字音注を、中国中古音の体系に従って一覧表に配列したもの)を作成したものである。本資料の仮名音注については、この時期にしては規範的な姿を保っていることが分かる。また声点に関しては、本来上声が加点されるべき所に去声が加点された例が見られ、これは類例の乏しい現象である。東京大学大学院人文社会系研究科国語研究室, Mar. 2006, Japanese Linguistics Papers, (2) (2), 1 - 31, Japanese[Refereed]Research institution
- A feature of Sino-Japanese tone in the Kamakura period親鸞自筆『三帖和讃』の二字漢語における去声・上声字の分布を調査すると、従来指摘されている鎌倉時代の漢語声調の傾向に沿ったあり方を示している。その一方で三字漢語について調査すると、「2字+1字」という組み合わせのものが「1字+2字」に比べて熟合度が高かったことが窺え、語構成によって日本語化に差があったことが明らかになった。東京大学大学院人文社会系研究科国語研究室, Mar. 2005, Japanese Linguistics Papers, (1) (1), 3 - 16, Japanese[Refereed]Research institution
- A study on the historical changes of Sino-Japanese tone in Nehankoshiki本稿は、四座講式のうちの『涅槃講式』について、同じ箇所での字音声点の相違について検討したものである。涅槃講式各本は、宗派・流派の系統などにより4種類に大別され、声点もこれに対応する形で差異がある。またその内実は日本語の音韻体系に同化するものになっており、呉音声調の枠組みを超越して日本語として自然な形に変化していたことが読み取れる。訓点語学会, 2005, 訓点語と訓点資料, 115(115) (115), 11 - 28, Japanese[Refereed]Scientific journal
- 声点差声の一目的――親鸞自筆『観無量寿経註』『阿弥陀経註』の場合――本稿は、親鸞自筆『観無量寿経註』『阿弥陀経註』について、声点差声の目的を考察したものである。この資料では、声点がまばらにしか差声されていないことが多く、当該字の声調自体を表示するのとは別の差声目的があったものと考えられる。すなわち、連声濁や中低型の回避といった当時の日本漢語声調の特性を積極的に利用しつつ、読解上の切れ目がある(ない)ことを表示した場合があったと考えられる。至文堂, 2005, 国語と国文学, 82(4) (4), 53 - 64, Japanese[Refereed]Scientific journal
- 2004, (東京大学修士学位論文), Japanese漢語声調の歴史的変化についての考察[Refereed]Master thesis
- Dec. 2024, 漢字之窓, 6(2) (2), 2 - 15<座談会>古代・中世の日本の漢字についての研究──現状と展望──
- Mar. 2022, 訓点語と訓点資料, (148) (148), 1 - 49, Japanese観智院本『世俗諺文』鎌倉初期点字音点分韻表[Refereed]
- Lead, Aug. 2020, 日本語の研究, 16(2) (2), 53 - 60, Japanese音韻(史的研究)(2018年・2019年における日本語学界の展望)[Invited]
- 早稲田大学国文学会, Jun. 2019, 国文学研究, (188) (188), 80 - 82, Japanese<書評>加藤大鶴著『漢語アクセント形成史論』[Invited]Book review
- 全国大学国語国文学会, Aug. 2016, 文学・語学, (216) (216), 81 - 84, Japanese平成二十六年を振り返って[Invited]Introduction scientific journal
- 日本語学会, Oct. 2015, 日本語の研究, 11(4) (4), 51 - 58, Japanese[Invited]Book review
- Joint work, 神戸大学出版会,神戸新聞総合出版センター (発売), Mar. 2023, Japanese, ISBN: 9784909364197人文学を解き放つ
- Joint work, 朝倉書店, Oct. 2017, Japanese漢語(日本語ライブラリー)Textbook
- Joint work, 弘前大学出版会, 2013, Japanese太宰へのまなざし──文学・語学・教育──General book
- Joint work, 弘前大学出版会, 2012, Japanese弘前大学 知の散歩道General book
- 「資料横断的な漢字音・漢語音データベース(DHSJR)」を用いた研究成果報告会, Nov. 2024近現代の外国語辞書における日本漢字音
- 北京外国語大学主催 国際学術大会・日本的中国学研究、中国的日本学研究, Oct. 2024日常使用の日本漢字音をめぐって
- 日本語学会2024年度春季大会, Jun. 2024資料横断的な漢字音・漢語音データベースの公開と活用可能性──2024年度版の改訂に伴って──Public symposium
- 東京大学国語国文学会, Apr. 2024一次資料から考える──日本漢字音史研究と字音仮名遣い──[Invited]Nominated symposium
- <フォーラム>古辞書・漢字音研究とデータベース2024, Mar. 2024, Japaneseデータベースを活用した近現代日本漢字音研究Nominated symposium
- 第8回神戸大学・北京外国語大学国際共同研究拠点シンポジウム, Dec. 2023, Japanese1字複数音をめぐって――歴史的変化と明治大正期の実態――Nominated symposium
- 日本語学会2023年度春季大会, May 2023, Japanese近世日本漢字音研究が近代に及ぼした影響についてPoster presentation
- 研究集会「古辞書・漢字音研究とデータベース2022」, Mar. 2023, Japaneseデータベースの拡充と字音仮名遣い研究の進展についてOral presentation
- シンポジウム 古辞書・漢字音研究と人文情報学, Mar. 2022, Japanese「資料横断的な漢字音・漢語音データベース」の設計と発展的な運用について
- 第2回(韓国)全南大学大学院国語国文学科BK21国際学術大会・地域語文学×公共実践×コミュニティ, Jan. 2022, Japanese漢字音の複層性をめぐって──日本漢字音の特質──[Invited]Oral presentation
- 日本語学会2021年度春季大会, May 2021「資料横断的な漢字音・漢語音データベース」の構築と運用可能性Poster presentation
- 北京外国語大学北京日本学研究センター・神戸大学大学院人文学研究科合同ワークショップ「日本文学と日本語・日本語教育」, Mar. 2019, Japanese, 神戸大学, Domestic conference日本漢語アクセント史研究をめぐる諸問題Oral presentation
- International Workshop on Humanities "New Perspectives in Japanese Studies Part 2", Nov. 2017, Japanese, Kobe University Brussels European Center, International conference"Co-existence" of the two major Sino-Japanese systems(GO-ON and KAN-ON)Oral presentation
- 平成29年度東京大学国語研究室会, Jul. 2017, Japanese, 東京大学山上会館, Domestic conference「漢字音の一元化」の歴史に関する一考察Oral presentation
- 第114回国語語彙史研究会, Dec. 2016, Japanese, 大阪大学, Domestic conference中世以降の「シウ(シユウ)」「シユ」の呉音形をめぐってOral presentation
- 第1回北京外国語大学・神戸大学国際共同研究拠点シンポジウム, Jun. 2016, Japanese, 北京外国語大学, International conference現代日本漢字音の一特徴──中国人名の表記を題材として──Nominated symposium
- 第33回鈴屋学会大会研究発表会, Apr. 2016, Japanese, 本居宣長記念館(三重県松阪市), Domestic conference江戸時代における字音仮名遣いの整備について──豪韻唇音声母字の場合──Oral presentation
- 神戸大学・国文学研究資料館共催・拠点主導共同研究ワークショップ「「見立て」と日本文化の諸相」, Mar. 2016, Japanese, 神戸大学, Domestic conference外来語と「見立て」に関する一考察Nominated symposium
- 第111回訓点語学会研究発表会, Nov. 2014, Japanese, 東京大学, Domestic conference古代日本語における「エ段+イ」「オ段+ウ」形についてOral presentation
- 2012年度弘前大学国語国文学会, Nov. 2012, Japanese, 弘前大学, Domestic conference「字音仮名遣い」の現状についてOral presentation
- 第105回訓点語学会研究発表会, Nov. 2011, Japanese, 東京大学, Domestic conference室町時代における漢字音の清濁──『論語』古写本を題材として──Oral presentation
- 第102回訓点語学会研究発表会, May 2010, Japanese, 京都大学, Domestic conference日本漢音における「韻書上声非全濁字の去声加点例」についてOral presentation
- 2009年度弘前大学国語国文学会, Nov. 2009, Japanese, 弘前大学, Domestic conference日本漢字音史に関する諸問題Public discourse
- 東京大学・高麗大学共催 日本語学・日本文学・中国文学 国際シンポジウム, Feb. 2008, Japanese, 東京大学, International conference論語古写本における日本漢字音の特徴Oral presentation
- 第97回訓点語学会研究発表会, Oct. 2007, Japanese, 東京大学, Domestic conference本朝文粋に見られる字音声調と訓法との関連についてOral presentation
- 平成18年度東京大学国語国文学会, Apr. 2006, Japanese, 東京大学, Domestic conference六地蔵寺本『文鏡秘府論』における漢字音についてOral presentation
- 第91回訓点語学会研究発表会, Nov. 2004, Japanese, くまもと県民交流館パレア, Domestic conference涅槃講式における漢語声調の変化についてOral presentation
- 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(B), 基盤研究(B), 跡見学園女子大学, 01 Apr. 2022 - 31 Mar. 2025資料横断的な漢字音・漢語音データベースの拡充と運用に向けた基礎的研究
- 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(C), 基盤研究(C), 山形大学, 01 Apr. 2021 - 31 Mar. 2024明治期における東アジア漢字音対照研究の検証と日韓台漢字音変遷の比較本研究は、1907年刊『日台大辞典』の「緒言」における東アジア漢字音の対照研究について検証し、それを現代にも通用する日本漢字音、韓国漢字音、台湾語音の対照資料として完成させ、そこから通時的な漢字音変遷の比較研究を行うことを目的としている。そのために、今年度はまず「緒言」における東アジア各漢字音(厦門・福州・客人・広州・上海・温州・寧波・南京・北京・朝鮮・安南)に関する対照部分(全141ページ)をMicrosoft Excelに入力することにより、データベース化を行った。 そして、このデータベースをもとに、「緒言」の日本漢字音、韓国漢字音、台湾語音について、J. MacGowan English and Chinese Dictionary of the Amoy Dialect(『英厦辞典』)、C. Douglas Chinese-English Dictionary of the Vernacular or Spoken Language of Amoy(『厦英辞典』)、H. A. Giles A Chinese English Dictionary、S. W. Williams A Syllabic dictionary of the Chinese Language(『漢英韻府』)等、「緒言」が典拠とした文献との照合を行い、この「緒言」の対照研究の有用性について検証した。 これに関連して、台湾語の対照資料として活用する予定の王育徳(1968)『ビン音系研究』(王1987『台湾語音の歴史的研究』所収、第一書房)について、検証を行った。また、対照資料の検証の一環として、日本漢字音の複層性に関する研究も行った。
- 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(C), 基盤研究(C), 神戸大学, 01 Apr. 2021 - 31 Mar. 2024明治大正時代の実態を通して見た日本漢字音史に関する研究本研究は、明治・大正時代に刊行された外国語辞典の中から数点を選び、見出し語として立項されている漢語の字音を悉皆調査することによって、近代の日本漢字音がどのような歴史的変化を遂げたか、またその背景にはどのような力学が働いていたと考えられるかを解明することを試みるものである。研究初年度であった令和3年度は、円滑に研究に着手できるよう、主に以下の3点を行った。 (1)分析対象である、明治・大正時代に刊行された外国語辞書の種類や性質などの概略を把握するとともに、この時代の漢語や語彙全般に関する広範な情報を獲得することを試みた。このような目的で、関連する研究文献などを多数購入・複写して入手した。また、調査・分析に必要な文房具類も購入した。 (2)約10年刻みとなるよう、データ入力・分析対象の資料を選定・入手した。この際、応募段階では『漢英対照いろは辞典』(1888)を分析対象候補に挙げていたのを、『和英語林集成』初版(1867)との資料的な連続性を考慮して『和英語林集成』第3版(1886)に変更した。時期・分量などの面で適当と思われる資料として『和仏小辞典』(1904)、『和葡辞典』(1925)をその次に分析する方針を定め、これらの原本を購入した。 (3)大学院生を雇用して、先述『和英語林集成』第3版のデータ入力に着手した。この資料のデータ入力は、3年度末時点で約9割が完了した状態である。『和仏小辞典』と『和葡辞典』については、4年度に実施する計画を立てた。
- Japan Society for the Promotion of Science, Grants-in-Aid for Scientific Research Grant-in-Aid for Scientific Research (C), Grant-in-Aid for Scientific Research (C), Atomi University, 01 Apr. 2019 - 31 Mar. 2023Basic research for construction and release of Sino-Japanese and Sino-Japanese word database across pre-modern Japanese works2021年度はデータベースの完成と仮運用を通じての検証作業、および漢字音・漢語音研究への応用可能性について検討を行った。 まずデータベースには、最終的に平安時代から室町時代までの31文献を格納した。入力された各項目等の詳細は、「「資料横断的な漢字音・漢語音データベース」の構築と運用可能性 」(日本語学会2021年度春季大会予稿集)に記すとおりである。データはcsv形式で、書誌情報と共に資料横断的な漢字音・漢語音データベースhttp://www2.mmc.atomi.ac.jp/~katou/KanjionDB/index.htmlにて公開している。 本データベースの漢字音と漢語音研究への応用可能性については、鼻音韻尾字に後接する連濁現象、連濁の位相差、日本漢字音・漢語音全体としての位相論、字音仮名遣い等の観点から検討を行った。その結果、大規模データによる横断的な資料から、当該研究領域をさらに発展させる力を持つことが確かめられた。また漢字音資料を注記類の観点からみたときに、時代を下るにつれて声点が少なくなるが、仮名注は増えるといった傾向も実証的に確かめることができた。こうしたデータベース全体の検証作業、および研究への応用可能性は、加藤大鶴, 石山裕慈, 佐々木勇, 高田智和「「資料横断的な漢字音・漢語音データベース」の構築と運用可能性」(日本語学会2021年度春季大会)、同「「資料横断的な漢字音・漢語音データベース」の設計と発展的な運用について」(シンポジウム「古辞書・漢字音研究と人文情報学」 )にて詳細を報告している。この他、漢字音・漢語音の個別的な研究成果は、本報告書の【雑誌論文】に詳細を記すとおりである。 ただし、コロナ禍の影響で予定していた研究には若干の遅れがあり、公開予定データの一部は未完成である。期間を延長し、より完全なデータ公開を目指す。
- 学術研究助成基金助成金/若手研究(B), Apr. 2015 - Mar. 2018, Principal investigatorCompetitive research funding
- Japan Society for the Promotion of Science, Grants-in-Aid for Scientific Research Grant-in-Aid for Young Scientists (B), Grant-in-Aid for Young Scientists (B), Hirosaki University, 2010 - 2012A study on Medieval Sino-Japanese KAN-ONThis study shows that the texts of Chinese classics have each styles of Medieval Sino-Japanese. For example, Sino-Japanese in "Youxianku" is more Japanized than in "Lunyu" and in "Zhuangzi". Former studies suggest that the levels of Japanization of Sino-Japanese differ between Chinese classics and Chinese texts written by Japanese authers. In this study, it is shown that there are different levels of Japanization even among Chinese classics.
- 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 特別研究員奨励費, 特別研究員奨励費, 東京大学, 2006 - 2007日本語声調史上における声点の受容のされ方と日本人のアクセント観についての研究前年度に引き続き、日本漢字音について、どのような声点が記入されているか、その背後にはどのような事情が存在するかの解明を目指した。今年度は漢音資料については『論語』『本朝文粋』の数種類の古写本を、呉音資料については貞享版『補忘記』を研究の対象とし、性質を異にするそれぞれの資料における声点のあり方について考察した。 まず『論語』と『本朝文粋』は、両者とも漢音資料として括ることが可能であるが、正格漢文と日本漢文という違いがあり、漢音声調についても性質に差が存することが予想された。複数の写本について調査を行った今年度の研究により、本文上の同じ箇所に記入された声点の差異が後者の方が多いこと、そこに現れた差異は日本語化に起因するものが少なくなく、従って日本漢音にあっても声調の日本語化が見られることなど明らかにした。このように、漢音読の訓点資料という点で共通していても、資料の性質により漢音声調の内実は様々であることが判明した。 次に『補忘記』については、論議の場において実際に用いられた抑揚は、声点で示された音調と密接な関係を有しており、記入者が以前指摘した呉音声調変化の延長線上にあるという結論を導き出した。このような呉音声調の変化は、かつては声点を変化させることによって対応していたものだが、補忘記では全体の抑揚を表示する符号(節博士)によって表示している。日本語のアクセント体系が変化したことにより、単字の字音声調の組み合わせという把握から漢語全体の抑揚へとアクセントの把握が変化したことなどが考えられるのであり、声点アクセントとの関係の変化という新たな検討課題が浮かび上がった。