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研究シーズ紹介

岡村 秀雄(オカムラ ヒデオ)
(オカムラ ヒデオ)
内海域環境教育研究センター
教授
Last Updated :2023/03/10
  • 化学物質の生態リスク評価
    シーズカテゴリ:環境・農学
    研究キーワード:生態影響, 生態リスク, 防汚剤, 農薬
    研究の背景と目的:化学物質の水環境へのリスクを評価することは、ヒトと水生生物の生存のために重要な課題です。本研究では、生産者(植物プランクトンなど)、消費者(動物プランクトンなど)、分解者(細菌など)への有害性を示す毒性値と水や底質などの環境残留濃度をもとに、環境リスクを推定します。農薬や防汚剤など野外での使用が前提となっている化学物質だけでなく、水系に排出される物質についても、分解産物を含めたリスクを評価します。
    研究内容:化学物質の生態系影響評価は、農薬や防汚剤などのように野外で使用される生物活性物質はもとより、人および動物用の医薬品などのように生体から排出されて最終的に水環境に排出される物質、使用後に廃棄されて最終的に水環境に排出される全ての製品に含まれる化学物質が評価の対象となります。工業用途のバイオサイド、プラスチックに含まれる可塑剤や安定剤などあらゆる化学物質は上市前に生態リスクを評価する必要があります。私たちはGLPラボではありませんが、上市前の試験物質の生態影響スクリーニングを実施することには貢献できます。小型の海産生物(細菌、微細藻類、海藻類、甲殻類など)を用いた短期間で小スケールの試験は、コストが安く、生物活性をもとに該物質の分離精製や分取を進める助けにもなります。環境中で分解する物質は毒性試験中の濃度を測定して、試験物質の実測濃度をもとに毒性値を算出する必要があります。
    期待される効果や応用分野:本研究により、種々の化学物質を含む各種製品の生態リスクを推定することにより、環境安全性を担保することができます。また、化学物質が環境中で生分解・光分解・加水分解して水生生物に有害な分解産物の生成を明らかにできます。
    関係する業績:岡村秀雄 (2017) 船体付着による水生生物の移動を最小化する対策. 海洋と生物. 39(4): 332-337. 岡村秀雄ら8人(2004) 環境毒性学における単一種試験の適用と解釈に関する指針文書(カナダ環境省出版物の訳書)、土木研究所資料第3921号, pp.258 岡村秀雄 (2002) 化学物質の生態系影響評価試験の開発動向. 瀬戸内海区水産研究所調査研究叢書第2号、37-43.

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