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検索詳細田中 祐理子大学院国際文化学研究科 文化相関専攻教授
研究活動情報
■ 論文- 2023年02月, 現代思想, 51(3) (3), 日本語ラトゥールの戦争――存在の政治性と「政治を不可能にする」意志について[招待有り]
- 2022年09月, 社会思想史研究, 46, 32 - 48, 日本語パンデミックと共同体の知覚[招待有り]研究論文(学術雑誌)
- 2021年12月, 現代思想 49(19), 136 - 149, 日本語同時代人たちの「世界」――ウィトゲンシュタインとアラン[招待有り]
- 2021年12月, 化学史研究, 48(4) (4), 183 - 194, 日本語原子の可視化・再考――〈原子の図像科学史〉のために[査読有り]研究論文(学術雑誌)
- 2021年09月, フランス哲学・思想研究, 26, 88 - 98, 日本語WHOという歴史――その「危機」に表現されるものについて[招待有り]研究論文(学術雑誌)
- 2020年05月, 現代思想, 48(7) (7), 224 - 230, 日本語終わりなき点検と調整[招待有り]
- 2019年08月, 現代思想, 47(10) (10), 147 - 156, 日本語像/世界/記号とアインシュタイン―ブラックホールの図像化をめぐって[招待有り]
- 2019年03月, Zinbun, 49, 113 - 121, 英語[査読有り]研究論文(学術雑誌)
- 2019年01月, 科学史研究, 57(288) (288), 285 - 294, 日本語哲学者カンギレムにとっての科学史研究[招待有り]研究論文(研究会,シンポジウム資料等)
- 2018年12月, 化学史研究, 45(4) (4), 165 - 178, 日本語レーウェンフックの顕微鏡観察と物質観―〈血球〉と〈イースト〉の説明をめぐって[査読有り]研究論文(学術雑誌)
- 2016年05月, 現代思想臨時増刊号, 44(11) (11), 182 - 197, 日本語臨界・生成・われわれの知――「微細な生」が与えるものについて[招待有り]研究論文(学術雑誌)
- 2014年07月, 現代思想, 42(12) (12), 160 - 171, 日本語〈科学〉と「信じられない事柄」[招待有り]研究論文(学術雑誌)
- 2013年12月, 情況(別冊 思想理論編), 3, 115 - 131, 日本語隠喩と科学の歴史―—感染症と20世紀をめぐって[招待有り]研究論文(学術雑誌)
- 2013年03月, 東京大学「病原菌」の歴史―—実在・表象・歴史性について[査読有り]
- Institute for Research in Humanities Kyoto University, 2011年03月, ZINBUN, 42, 147 - 159, 英語
- 2006年02月, 人文學報, 93, 85 - 105, 日本語目と言葉 ―「レーウェンフック」を考えるために―
- 東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻表象文化論, 2003年03月, 表象文化論研究, (1) (1), 84 - 97, 日本語1900年的臨床身体・試論
- 2001年11月, 『臨床死生学』6 pp.1-7., 日本語主題としての『臨床』―臨床経験の人間学的寄与について[査読有り]
- 東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻, 2000年07月, 『東京大学大学院超域文化科学紀要』5 pp.102-118., (5) (5), 102 - 118, 日本語疲れの病理学―P.ジャネにおける「病気」と「治療」
■ 書籍等出版物
- 分担執筆, 「ペスト流行」pp.178-181, 大阪大学出版会, 2024年03月〈ひと〉から問うジェンダーの世界史第3巻 世界をどう問うか?―地域・紛争・科学
- 分担執筆, 「医学史と倫理学」, 丸善出版, 2022年07月, 日本語, ISBN: 462130724X医学史事典
- 分担執筆, 項目「細菌学」, 丸善出版, 2021年05月, 日本語, ISBN: 9784621306062科学史事典 = Encyclopedia of the history of science
- 共編者(共編著者), 人文書院, 2021年03月, 日本語, ISBN: 9784409041154環世界の人文学 : 生と創造の探究
- 共著, 「禁忌と真実の一致――「異常者たち」とはなにか」, 水声社, 2021年03月, 日本語, ISBN: 9784801005563ミシェル・フーコー『コレージュ・ド・フランス講義』を読む
- 共著, 「フーコーとカントの人間学」, 岩波書店, 2021年03月, 日本語, ISBN: 9784000614610フーコー研究
- 共訳, 第5・6章翻訳, 読書人, 2019年10月東洋/西洋を越境する―金森修科学論翻訳集
- 単著, 青土社, 2019年06月病む、生きる、身体の歴史―近代病理学の哲学
- 共著, 第7章「学知ってなんだ―エピステモロジーと〈68年〉」, 読書人, 2019年04月〈68年5月〉と私たち――「現代思想と政治」の系譜学
- 分担執筆, 担当箇所:第2章「現代の人体理解とその歴史」執筆協力、および論文「顕微鏡が変えた世界の見方――人体の内と外をめぐって」pp. 169-171., 国立科学博物館・NHKプロモーション・朝日新聞社, 2018年03月図録 特別展 人体――神秘への挑戦
- 共訳, 上巻・第八章フラカストロ「伝染・伝染病およびその治療について」翻訳・解説, 名古屋大学出版会, 2017年08月原典ルネサンス自然学
- 単訳, 全訳、訳注、訳者あとがき, 法政大学出版局, 2017年02月カンギレムと経験の統一―判断することと行動すること 1929-1936年
- 単著, 名古屋大学出版会, 2013年03月, 日本語科学と表象―「病原菌」の歴史―学術書
- 共著, 第4章「パストゥールとベルナールの『論争』――19世紀医学のある転回点について」, 東京大学出版会, 2012年12月合理性の考古学―フランスの科学思想史
- 共著, 「『非人間的』な身体の思考に向けて――エピステモロジーの問いのとしてのフランス医学史について」(pp.11-23)、「【付論】『一九世紀医学』をめぐるカンギレムとフーコーの対話」(pp.24-33), 青山学院大学文学部フランス文学科, 2012年03月「概念の哲学」とエピステモロジー
- 共著, 第12章「19世紀の果実・20世紀の種子――パストゥールについて」、第19章「自生するものについて――アメリカ、20世紀をめぐる試論」, 名古屋大学出版会, 2011年03月啓蒙の運命
- 共著, 「病いの消滅―『らい』から見る60年代」, 世界思想社, 2009年03月転回点を求めて
- 共著, 第10章「『血液循環の発見』とは何か――近代医学の身体観」, 丸善, 2005年04月身体論のすすめ
- 分担執筆, 「免疫的生態と「身体」の接触」, 東京大学出版会, 2000年10月表象のディスクール3――皮膚の修辞学
- The 16th International Conference on the History of Science in East Asia, 2023年08月Double Imperialism in the Bacteriology of Shibasaburo KITASATO(1853-1931): A Japanese Representative of German New Science and Its Conquering Powerシンポジウム・ワークショップパネル(公募)
- 日本科学史学会阪神・京都支部共催研究会, 2022年09月ガストン・バシュラールにとっての「科学」[招待有り]
- 表象文化論学会研究集会シンポジウム 「線画の教育=教訓レッスン──キャラとイラストの表象文化論」, 2021年12月誰でもないのに誰でもある ――解剖図の〈キャラクター〉について[招待有り]
- 社会思想史学会シンポジウム「感染症の思想史」, 2021年10月「流行病」と共同体の知覚――医学史的視点から[招待有り]
- 日仏哲学会春季研究大会シンポジウム「感染症の時代の哲学:資材としての人間の身体」, 2021年03月「WHOという歴史:その「危機」に表現されるものについて」[招待有り]
- 日本学術会議・公開シンポジウム「身体・社会・感染症―哲学・倫理学・宗教研究はパンデミックをどう考えるか―」, 2020年12月, 日本語「パンデミックと差異の再構成」[招待有り]
- Nature, Technology, Metaphysics: An Encounter between German and Japanese Philosophy, 2019年06月, 英語, 国際会議Who (ever/and how) saw an atom?: on the stratified perception around 1930-40 atomic physics[招待有り]口頭発表(招待・特別)
- Society for the Social HIstory of Medicine Conference 2018, University of Liverpool., 2018年07月, 英語, 国際会議"A Japanese Representative of the German New Science"?: Kitasato the 'Forefront' Bacteriologist and the 'Founding Father of Modern Medicine' in Japan.口頭発表(一般)
- 京都市生涯学習総合センター・京都大学人文科学研究所連携講座「ゴールデン・エイジ・アカデミー」, 2018年06月, 日本語「19世紀の科学と世界の変化」公開講演,セミナー,チュートリアル,講習,講義等
- 「人文研アカデミー連続セミナー 〈68年5月〉とわたしたち, 2018年06月, 日本語「〈学知ってなんだ〉―エピステモロジーと68年」公開講演,セミナー,チュートリアル,講習,講義等
- 第65回日本科学史学会, 2018年05月, 日本語, 国内会議「哲学者カンギレムの科学史研究」シンポジウム・ワークショップパネル(公募)
- 第65回日本科学史学会, 2018年05月, 国内会議「レーウェンフックの顕微鏡観察と物質―〈小球〉・〈粒子〉の解釈をめぐって」シンポジウム・ワークショップパネル(公募)
- 国立科学博物館・特別展『人体―神秘への挑戦』開催記念講演会, 2018年04月, 日本語, 国内会議「レーウェンフック顕微鏡の魅力」[招待有り]公開講演,セミナー,チュートリアル,講習,講義等
- 図像科学史研究会シンポジウム, 2017年09月, 日本語, 国内会議レーウェンフックの顕微鏡観察における「物質」の位置づけについて[招待有り]シンポジウム・ワークショップパネル(指名)
- 原爆と医学史, 2017年06月, 日本語, 国際会議イントロダクション・原爆と医学史の1945年をとらえるためにシンポジウム・ワークショップパネル(指名)
- 表象文化論学会第9回大会シンポジウム「接触の表象文化論――直接性の表象とモダニティ」, 2014年07月, 日本語, 国内会議透過性と身体――医学史から見る〈接触〉の問題[招待有り]シンポジウム・ワークショップパネル(指名)
- シンポジウム「フランス哲学と『科学』の思考:構造主義・数学・医学・エピステモロジー」, 2011年11月, 日本語, 国内会議「非人間的」な身体の思考に向けて――エピステモロジーの問いとしてのフランス医学史について[招待有り]シンポジウム・ワークショップパネル(指名)
- 表象文化論学会, 2010年07月, 日本語, 国内会議「19世紀医学」をめぐるカンギレムとフーコーの対話シンポジウム・ワークショップパネル(公募)
■ 共同研究・競争的資金等の研究課題
- 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(C), 基盤研究(C), 神戸大学, 2022年04月 - 2025年03月近現代科学の展開における図像の製作と伝達に関する歴史研究
- 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(C), 基盤研究(C), 東京大学, 2019年04月01日 - 2022年03月31日近代以降の科学技術医学の学術文献に掲載される図像に関する歴史研究橋本は昨年度に引き続きX線回折の分子科学研究への応用について検討し、初期のブラッグ父子らの研究からタンパク質など有機化合物の高分子構造決定の研究における視覚表現技法について調査した。ブラッグらとは対照的に、米国のポーリングは原子の大きさや原子間距離の推測値に基づき具体的な分子模型を活用して分子構造を突き止めた。ブラッグらとポーリングを比較しつつ、彼らの分子構造解明の研究と視覚表現技法について検討し、その研究成果を7月の化学史学会のシンポジウムで講演発表し、『化学史研究』の2021年3月号に発表した。そこではポーリングの研究過程における図像や模型工作の意義と効用、ポーリングとの画家ヘイワードとの協力関係に関する最近の研究などを紹介した。以上の研究とともに江戸時代の本草図譜について検討した。また近年の科学史研究における図像の利用についての研究文献を紹介する解説論文を『科学史研究』に出版した。 吉本氏は中世から近代初期にかけての錬金術の象徴的な図像、リバヴィウスの著作の各種実験装置の図像について検討し、近年の歴史研究を参照しつつ、それらの描かれ方、以前の文献で掲載図との関係などを分析した。またデカルトの著作に使われる図像についても検討し、それが後継者によって利用される様子を明らかにした。田中氏は原子の存在を実証しようとする試みの中で可視化の役割を追いかけ、特にペランの研究に注目してその内容と意義を分析した。河野氏は宇田川榕庵の著作における化学実験装置の図に注目し、そのヨーロッパの原典の図と比較検討した。そしてラヴォワジェらの著作に掲載される図が利用されていることを明らかにした。
- 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(C), 基盤研究(C), 京都大学, 2018年04月01日 - 2022年03月31日科学史叙述の新モデル構築に向けて─20世紀フランス思想における科学史研究の再検討本研究は、20世紀の科学史研究に多大な影響を与えた、ガストン・バシュラールからジョルジュ・カンギレムを経てミシェル・フーコーに至るフランスの科学思想史の系譜を精査するとともに、この系譜に連なる一連の科学史的業績をいわば叩き台にして、18-19世紀から現代に至る科学的知の歴史的な展開及び曲折を記述するにふさわしい新たな科学史叙述の可能性を探る試みである。「精神医学研究班」「生物学・医学研究班」「数学・統計学研究班」の三つのサブ・グループから成り、それぞれのサブ・グループが同時並行的に研究を進めつつ、研究会の場を通じて相互の成果を共有し、撚り合わせてゆくスタイルをとる。2020年度は、前年度まで緊密にタイアップしてきた京都大学人文科学研究所(人文研)における共同研究「フーコー研究──人文科学の再批判と新展開」(2020年3月に終了)の成果報告書(小泉義之・立木康介編『フーコー研究』岩波書店、2021年3月刊)に「精神医学研究班」から立木、久保田、「生物学・医学研究班」から田中、「数学・統計学研究班」から隠岐が、本プロジェクトを締めくくる論文を発表する一方、本プロジェクトそのものの企画として、人文研の上記共同研究に同じく乗り入れていたもうひとつの科学研究費プロジェクト「ミシェル・フーコー「コレージュ・ド・フランス講義」総体の理論的・思想史的研究」(基盤C、代表者:佐藤嘉幸、課題番号:18K00095)と共同の成果報告書(佐藤嘉幸・立木康介編『ミシェル・フーコー『コレージュ・ド・フランス講義』を読む』水声社、2021年4月刊)を編み、「精神医学研究班」から立木、久保田、「生物学・医学研究班」から田中がそれぞれの最終報告を、加えて、本プロジェクトの海外連携者であるエマニュエル・ドリール(マインツ大学/CAPHES)が最新成果を、発表した。
- 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(C), 基盤研究(C), 東京大学, 2016年04月01日 - 2019年03月31日本研究計画では、科学技術医学の歴史における図像の利用に関して内外の研究を参照しつつ、主として17世紀以降の顕微鏡による観察研究と図像表現のあり方、17-19世紀の化学史における図像の使われ方、そしてカメラオブスクラや写真などの光学関連技術などについて研究した。学会でシンポジウムを開催したほか、顕微鏡観察研究をめぐる研究成果については『化学史研究』に論文を発表した。また2019年度から同様のテーマで引き続き共同研究を続けている。
- 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(C), 基盤研究(C), 京都大学, 2016年04月01日 - 2019年03月31日本研究ではⅠ「現代科学史と現代哲学史の接点・起点としてのフランス・エピステモロジー」と、Ⅱ「哲学的「主体性」の動揺と同概念の再検討」に関わる資料収集と分析を行ない、これを基盤としてⅢ「カンギレム「生命の哲学」の全体像再構築」・Ⅳ「カンギレム哲学のラディカリズムとその反響」の研究を進めた。カンギレムのエピステモロジー研究と次世代への影響関係を精査しつつ、その背景としての20世紀科学研究と社会的受容の関係を探り、現代科学史・生活史・社会史の交錯を辿ることに努めた。その研究報告・議論の場を持ちながら、研究報告としての論文を発表した。さらに次年度以降、全体的な成果をまとめた書籍を刊行する。
- 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(B), 基盤研究(B), 神戸大学, 2013年04月01日 - 2016年03月31日日本で「現代思想」と呼ばれ、1960年代以来フランスを中心に展開されてきた構造主義・ポスト構造主義の思想潮流を、「政治」との関連で再定義した。現在、文化研究方法論や文献注釈の対象として受容されている「現代思想」は、我々の観点からすれば、マルクス主義(資本主義批判)・精神分析(主体の地位の再審)・哲学(上記二契機の可能的出会いの探究)という三つの軸の交点における、「政治とはなにか」という問いへの歴史的応答の試みと位置づけられる。また、その共通の試みが、冷戦終結とともに終わることなく、現代の政治観をなお大きく規定し続け、制御困難なグローバル市場下の現状で再浮上していることを理論的に明らかにした。
- 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究, 挑戦的萌芽研究, 京都大学, 2012年04月01日 - 2015年03月31日本研究は20世紀社会編成における「科学性」の意味と役割を問う準備的研究として計画された。本研究はまず、ウィリアム・ヒューエルを中心とする、19世紀ヨーロッパでの科学史・科学哲学の議論の興隆に関する史的資料を収集した。その上で、本研究は、特にそれらの科学史・科学哲学が「科学的客観性」に対して与えた新たな価値に注目しながら、それが19世紀から20世紀にかけての世紀転換期において、「人間性」という概念と「科学的客観性」という概念の間にいかなる相互作用をもたらしたかを歴史的に概観するよう努めた。
- 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 若手研究(B), 若手研究(B), 京都大学, 2007年 - 2010年本研究においては(1)20世紀における「生物/無生物」概念についての思索を、哲学文献と医学(生物学文献のそれぞれについて集積し、両者の相互影響を考察する。(2)20世紀の哲学・医学的思考の原点を19世紀の思想史・医学史に探る、という二点を行った。結果として、19世紀科学言説に潜む保守性が保証した未来の科学研究の道筋と、哲学的想像力がラディカルに推し進めることとなった未来主義的思考との間の、逆説的な相互影響を発見した。
- 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 若手研究(B), 若手研究(B), 京都大学, 2004年 - 2006年19世紀西洋医学言説における「現代性」の指標とその発展-ビシャからコッホへ今年度は、研究計画に従いながら、前年度までにおこなった文献・資料収集および他の研究者との交流などの活動を作業の核を継続し、国内の大学・機関での資料調査・収集、その分析についても引き続いておこなった。そして、これらの資料の分析・整理に続くものとして、今年度は口頭による研究報告と論文の形での研究成果発表につとめた。昨年度から計画していたとおり、今年度は本計画の全体像をまとめた研究報告の完成と関係論文の作成を第一の作業とした。すなわち、(1)微生物学の成立前史、(2)19世紀微生物学成立の言説史的整理、(3)19世紀微生物学および病理学の言説分析による現代医学論、の三点についての研究発表である。とくに(1)に関連しては、17世紀オランダのアントニー・ファン・レーウェンフック、16世紀イタリアのジローラモ・フラカストーロについて、パラダイムの転換期を体現する重要な人物像として注目し、検討を進めた。また、(2)は19世紀フランスの学問制度および社会状況の文脈のなかに置きながら、ルネ・パストゥールの言説を分析することが中心的な作業となった。これらおよび(3)に関連した研究発表は今後も継続する予定である。
- 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(B), 基盤研究(B), 京都大学, 2003年 - 2004年1960年代の研究-生活文化と意識における変容の国際比較本研究では、主に人びとの生活そのものにおける1960年代の特性にその焦点をあて、そこにおける生活・意識の変容が蒙ったであろう様々の影響を、一方では科学技術の発展などとのある種物質的な関係、他方では大衆社会化や消費社会化などによるより抽象的な作用のうちに探究した。これらの多彩な観点からなされた研究は、本研究の分担者すべてに対して、そこで実際に同時代を経験しながら、この時代の息吹を伝える証言として、60年代にさまざまの学問領域を背景にしながら行われた数々の分析の重要性を知らしめることとなった。これは本研究の問題意識の中核に、ふたつの主題を形成するところとなった。すなわち、何よりもまず人びとの生活そのものを知ろうとすることと、そして同時にこの生活とそこで発展しつつあった諸科学-人文・社会諸科学を含む-との深部での相関関係を明らかにすることである。 上記の問題意識を持ちながら、研究代表者および分担者は各自の研究主題に基づき報告論文を作成した。以下にその表題を報告する。「《マクルーハン》とはなんであったか」(富永)、「『"ふたり"の60年代』に向けて」(斎藤)、「60年代と身体の未来」(田中)、「分裂病の60年代」(北垣)、「『沈黙の春』とサイボーグの60年代」(遠藤)、「牛乳神話の形成」(藤原)、「教育と人間の60年代」(前川)、「1960年代の『大学闘争』のもたらしたもの」(白鳥)、「《言葉と物》の60年代」(葛山)、「1960年代の日米繊維摩擦の歴史的意義」(籠谷)、「三島由紀夫自決・再考」(大澤)、「60年代日本精神誌」(山室)。
- 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 特定領域研究, 特定領域研究, 京都大学, 2002年 - 2004年ゲノム研究の歴史と社会との相互作用に関する研究-日本とアジアを中心に1.1989-2005年までの約15年における日本のゲノム研究プロジェクトについて、社会とのコミュニケーション、生命倫理への取り組み、異分野融合研究の発展などに注目し、それらの活動の歴史と課題を文献および関係者への聞き取りによって調査した。その結果、1)倫理的問題への取り組みや社会とのコミュニケーションに関しては活発な時期とそうでない時期があり、当初計画されたほどには発展させることができなかった、2)活動が活発な時期には、異なる分野を行き来してコーディネーターとして活動できる人材が配置されていた、などが明らかになった。 2.アジアのヒトゲノム関連の研究者(医学研究者、生命倫理学の研究者や政府関係者)を集めたワークショップ形式の会議を2003年9月に京都で開催し、アジア各国でのヒトゲノム研究の現状について情報交換を行った。国ごとに研究の規模は様々であるが、各国でヒトゲノム研究が広まりつつあること、その社会的議論も活発化していることが明らかになった。 3.2002-2004年度において、特定領域研究「ゲノム」4領域の研究事業として、ゲノム研究者と一般市民や非専門家との交流を目的とする「ゲノムひろば」を実施した。3年間で延べ9,700人の来場者が訪れ、1,300人の研究者が参加した。実践を通して行った調査研究からは、「ゲノムひろば」で用いた「研究者が街に出て、専門外の人々を対象に実物付き展示による研究発表を行う」という形態が、専門外の人との対話を通して研究者自身が研究の目的や意義を考える場として有効であること、かつ、研究者による非専門家への研究情報の発信やコミュニケーション(対話)のための方法として適していることが明らかになった。 4.ゲノムとゲノム研究の基礎知識を専門外の人々に知らせるためのインターネットのサイト「AT Genome Communication」(略称「あっとゲノム」)を制作した。
- 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 特別研究員奨励費, 特別研究員奨励費, 東京大学, 2000年 - 2000年科学言語による身体把握の現状と病の概念の相関について
- 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 特別研究員奨励費, 特別研究員奨励費, 東京大学, 1998年 - 1999年科学言語による身体把握の現状と病の概念の相関について