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検索詳細箱田 徹大学院国際文化学研究科 グローバル文化専攻准教授
プロフィール
ミシェル・フーコーを中心に社会哲学、社会思想史、現代社会論を研究しています。
最近は気候変動にかんするラディカルな社会運動と、採取主義批判を始めとする理論との関係に注目することで、生政治論や統治性論に代表されるフーコー権力論と主体論のアップデートに取り組んでいます。
研究活動情報
■ 論文- 2024年05月, 現代思想, 52(7) (7), 8 - 29, 日本語ネグリ思想の継承と再考:メディア・環境・フェミニズム[招待有り]研究論文(その他学術会議資料等)
- 2024年02月, 福音と世界, 79(3) (3), 24 - 29, 日本語気候運動と反動的な未来[招待有り]
- 2023年10月, 世界, (974) (974), 74 - 80, 日本語非暴力、サボタージュ、オルタナティヴな未来:ヨーロッパ環境運動のラディカルな景観[招待有り]
- 2021年12月, 季刊ピープルズプラン, (94) (94), 35 - 46, 日本語気候ではなく世界のあり方(システム)を変えよ:気候危機と運動のラディカリズム[招待有り]研究論文(大学,研究機関等紀要)
- 2020年03月, 現代思想, 48(5) (5), 198 - 206, 日本語採取:現代思想と気候正義の蝶番[招待有り]研究論文(その他学術会議資料等)
- 2020年02月, 季刊ピープルズプラン, (87) (87), 84 - 93, 日本語変わる欧州の社会運動:左翼ポピュリズムと気候変動問題[招待有り]研究論文(大学,研究機関等紀要)
- 岩波書店, 2019年09月, 思想, (1145) (1145), 166 - 180, 日本語人民の回帰? : フーコー戦争論のポテンシャリティ (未完のフーコー)[招待有り]研究論文(その他学術会議資料等)
- ピープルズ・プラン研究所 ; 2001-, 2018年03月, ピープルズ・プラン, (79) (79), 57 - 67, 日本語人的資本批判としての新自由主義論 : ウェンディ・ブラウン『いかにして民主主義は失われていくのか』を読む (特集 グローバル化の変容とオルタナティヴ構想)[招待有り]研究論文(大学,研究機関等紀要)
- 立命館大学国際言語文化研究所, 2017年03月, 立命館言語文化研究, 28(4) (4), 107 - 120, 日本語日本の特区政策の特徴と現状 (特集 日本の特区政策の理念と現状 国土開発計画・イノベーション・自由としての開発)研究論文(大学,研究機関等紀要)
- 青土社, 2015年07月, 現代思想, 43(11) (11), 132 - 142, 日本語革命的パレーシアと預言的プラグマティズム:マルコムXを読むコーネル・ウェスト[招待有り]研究論文(その他学術会議資料等)
- This paper aims to establish a theoretical dialogue between Judith Butler and MichelFoucault on the notions of body and pleasure through an analysis of their texts on the autobiographyof Herculine Barbin. Butler claims that Foucault's introductory essay to Herculine Barbin is somewhatinconsistent with his theoretical standpoint on sex and sexuality. While appreciating his constructionistapproach, she doubts that Foucault ever succeeds in getting rid of a utopian vision of sexuality.However, her discussion seems to face another theoretical deadlock because of her insistence onlaw and desire. With much stress on the impossibility of love of Alexina, her own reading ends upwith some fatalism under the law of prohibition. On the other hand, Foucault reads the memoirs as arecord of encounter of an otherwise anonymous person with the emerging modern apparatus of power.Re-reading his essay in this line, we can find a way of thinking that is neither an idealistic identity-freebody nor a fatalistic subject of desire.Institute for Research in Humanities Kyoto University, 2015年03月, Zinbun, 45, 91 - 108, 英語[査読有り]研究論文(大学,研究機関等紀要)
- 2015年02月, 現代思想, 43(3) (3), 209 - 221, 日本語挑戦する主体は恐れない:フーコーと新自由主義、反知性主義[招待有り]研究論文(その他学術会議資料等)
- 生活書院, 2014年03月, 生存学 : 生きて存るを学ぶ, 7, 214 - 228, 日本語幸福な定かならぬ世界の身体と快楽 : 『エルキュリーヌ・バルバン』をめぐって、バトラーに抗するフーコー[査読有り]研究論文(学術雑誌)
- 2012年11月, 情況(2012 12月別冊. 思想理論編), 1, 223 - 243, 日本語[査読有り][招待有り]研究論文(その他学術会議資料等)
- 青土社, 2009年06月, 現代思想, 37(7) (7), 154 - 171, 日本語抵抗の不在、闘争の遍在--フーコー統治論の主体論的展開について[招待有り]研究論文(その他学術会議資料等)
- 2009年03月, 博士論文(神戸大学), 1 - 182, 日本語抵抗と権力から統治の主体へ 統治概念の生成と発展としての後期フーコー思想[査読有り]学位論文(その他)
- 青土社, 2008年05月, 現代思想, 36(5) (5), 173 - 179, 日本語生政治から統治と啓蒙へ--ネグリとフーコーの生政治概念に関する覚書 (特集=アントニオ・ネグリ)[招待有り]研究論文(その他学術会議資料等)
- 鶴山論叢刊行会, 2008年03月, 鶴山論叢, 8(8) (8), 51 - 68, 日本語, 国内誌研究論文(大学,研究機関等紀要)
- 社会思想史学会, 2007年09月, 社会思想史研究, 31, 90 - 107, 日本語, パスワードが無いエロスの技法を再読する--フーコー統治論の形成過程[査読有り]研究論文(学術雑誌)
- 社会思想史学会, 2004年09月, 社会思想史研究, 28, 82 - 98, 日本語, パスワードが無い夢と痕跡から夢見る主体へ--後期フーコーの主体概念への一考察[査読有り]研究論文(学術雑誌)
- 神戸大学, 2000年09月, 国際文化学, 3, 91 - 104, 日本語アルチュセールと後期フーコーの主体化論における理論と実践[査読有り]研究論文(学術雑誌)
- 2022年04月08日, 週刊読書人, (3455) (3455), 1 - 2, 日本語マルチチュードの来るべき集合に向けて:アントニオ・ネグリ、マイケル・ハート『アセンブリ』(岩波書店)刊行記念トークイベント載録会議報告等
- 2021年07月15日, 社会運動史研究, 3, 216 - 218, 日本語書評「 糟谷孝幸50周年プロジェクト 編『語り継ぐ1969』」[招待有り]書評論文,書評,文献紹介等
- 岩波書店, 2021年02月, 思想, 1162(1162) (1162), 12 - 31, 日本語, 国内誌, 国際共著していない(翻訳)多数多様な採取フロンティア : 現代資本主義を掘り起こす (採掘-採取ロジスティクス : 批判地理学の最前線)記事・総説・解説・論説等(商業誌、新聞、ウェブメディア)
- 岩波書店, 2021年02月, 思想, 1162(1162) (1162), 8 - 11, 日本語採掘-採取,ロジスティクス : 現代資本主義批判のために (採掘-採取ロジスティクス : 批判地理学の最前線)記事・総説・解説・論説等(商業誌、新聞、ウェブメディア)
- 2020年03月, 現代思想, 48(10) (10), 224 - 230, 日本語(翻訳)普遍的呼吸権[査読有り][招待有り]記事・総説・解説・論説等(商業誌、新聞、ウェブメディア)
- ピープルズ・プラン研究所 ; 2001-, 2019年11月, 季刊ピープルズ・プラン, (86) (86), 24 - 35, 日本語(翻訳)いまを読み解く ヨーロッパの難民・移民と階級をどう見るか? : 境界研究の理論的視座[招待有り]記事・総説・解説・論説等(大学・研究所紀要)
- 藤原書店, 2019年09月, 社会思想史研究 : 社会思想史学会年報, (43) (43), 170 - 173, 日本語(書評) 統治の抗争史 : フーコー講義1978-79[重田園江著]書評論文,書評,文献紹介等
- 2018年03月, 関西都市学研究, (2) (2), 80, 日本語(書評)アジアの地域統合への福祉政治的ビジョンの試み 書評:上村泰裕『福祉のアジア:国際比較から政策構想へ』[招待有り]書評論文,書評,文献紹介等
- 2016年10月, 京都新聞, 日本語(書評)エコゾフィーとは何か 世界を変える大胆な視点(書評)[招待有り]書評論文,書評,文献紹介等
- 2015年10月, 河出書房新社編集部編『ドゥルーズ:没後20年 新たなる転回』, 233 - 234, 日本語ドゥルーズ『フーコー』[招待有り]記事・総説・解説・論説等(商業誌、新聞、ウェブメディア)
- めこん (発売), 2015年03月, アジアワセダレビュー, (17) (17), 10 - 19, 日本語(翻訳)1968年と権力の偶然性[招待有り]記事・総説・解説・論説等(大学・研究所紀要)
- 青土社, 2015年02月, 現代思想, 43(5) (5), 11 - 17, 日本語(翻訳)赤旗とトリコロール[招待有り]記事・総説・解説・論説等(商業誌、新聞、ウェブメディア)
- Kyoto University Library Network, 2014年10月, 静脩, 51(3) (3), 7 - 8, 日本語[招待有り]書評論文,書評,文献紹介等
- 立命館大学, 2012年03月20日, 生存学 : 生きて在るを学ぶ, 5, 241 - 278, 日本語国際研究調査報告
- 2007年10月, 毎日新聞(2007年10月11日、夕刊), 5, 日本語[招待有り]記事・総説・解説・論説等(商業誌、新聞、ウェブメディア)
- 青土社, 2006年02月, 現代思想, 34(3) (3), 16 - 23, 日本語(翻訳)裸の共和国の古ぼけた新しい服--「くだらない」と蔑まれる暴動を援護する記事・総説・解説・論説等(その他)
- 2005年, Focus (Asia-Pacific Human Rights Information Center), (39) (39), 5 - 7, 英語[招待有り]記事・総説・解説・論説等(大学・研究所紀要)
- 青土社, 2003年02月, 現代思想, 31(2) (2), 193 - 195, 日本語(翻訳)マルチチュードとは何か マルチチュードと労働者階級--マウリチオ・ラッツァラートからパオロ・ヴィルノへの問い記事・総説・解説・論説等(その他)
- 岩波書店, 2001年08月, トレイシーズ, (2) (2), 90 - 111, 日本語(翻訳)あらゆる壁の敵意と敵意の壁の間--マイノリティの流動性の対角線記事・総説・解説・論説等(その他)
- 単著, 까치글방, 2024年09月, ISBN: 9788972918479미셸 푸코 권력의 꼭두각시로 살지 않기 위해
- 単著, 講談社現代新書, 2022年12月, 日本語, ISBN: 9784065304587ミシェル・フーコー:権力の言いなりにならない生き方一般書・啓蒙書
- 分担執筆, 脱炭素と気候正義(pp. 98-99), ミネルヴァ書房, 2022年02月, 98-99, 日本語, 国際共著していない, ISBN: 9784623092154よくわかる現代科学技術史・STS教科書・概説・概論
- 共訳, 第三部, 岩波書店, 2022年02月, 492, 日本語, 国際共著していない, ISBN: 9784000615181アセンブリ:新たな民主主義の編成学術書
- 単訳, 月曜社, 2022年01月, 日本語, ISBN: 9784865031256パイプライン爆破法 : 燃える地球でいかに闘うか
- 共著, 読書人, 2021年08月, 日本語, ISBN: 9784924671485狂い咲く、フーコー : 京都大学人文科学研究所人文研アカデミー『フーコー研究』出版記念シンポジウム全記録+
- 分担執筆, 真理体制概念からアナーキーな権力分析へ──フーコー新自由主義論をめぐる論争を超えて, 岩波書店, 2021年03月, 406-420, 日本語, 国際共著していない, ISBN: 9784000614610フーコー研究学術書
- 分担執筆, 人民の回帰?:フーコー戦争論のポテンシャリティ, 水声社, 2021年03月, 146-165, 日本語, 国際共著していない, ISBN: 9784801005563ミシェル・フーコー『コレージュ・ド・フランス講義』を読む学術書
- 共訳, 序文、第1章, 航思社, 2019年01月, 日本語, ISBN: 9784906738366哲学者とその貧者たち学術書
- 共訳, 監訳, 東信堂, 2019年01月, 日本語, ISBN: 9784798915418東アジア福祉資本主義の比較政治経済学 : 社会政策の生産主義モデル
- 分担執筆, ミシェル・フーコー、生権力(事典項目), 丸善出版, 2019年01月, 日本語, 国際共著していない, ISBN: 9784621303412社会思想史学会(編) 『社会思想史事典』事典・辞書
- 分担執筆, 真理戦:後期フーコーの戦争から統治への転回をめぐって, 平凡社, 2017年11月, 296-314, 日本語, ISBN: 9784582703559〈ポスト68年〉と私たち:「現代思想と政治」の現在学術書
- 分担執筆, ミシェル・フーコーの内戦論:市民社会戦争と歴史の真理ゲーム, 平凡社, 2016年01月, 195-218, 日本語現代思想と政治:資本主義・精神分析・哲学学術書
- 共訳, 1981年4月29日の講義、1981年5月6日の講義、1981年5月13日の講義, 河出書房新社, 2015年01月, 日本語, ISBN: 4309246893悪をなし真実を言う: ルーヴァン講義1981学術書
- 単訳, 航思社, 2014年11月, 日本語, ISBN: 490673809568年5月とその後 (革命のアルケオロジー)学術書
- 共訳, 第Ⅰ章、第Ⅳ章, 航思社, 2014年10月, 日本語, ISBN: 4906738087平等の方法学術書
- 分担執筆, Translator for Antonio Negri's article on Libération, とっても便利出版部, 1999年02月, 日本語, ISBN: 4925095013マルクスの現在
- 2020年08月, 日本語『「1968」を編みなおす——社会運動史研究2』刊行記念イベント[招待有り]シンポジウム・ワークショップパネル(指名)
- カルチュラル・タイフーン2018, 2018年06月, 日本語, 龍谷大学大宮学舎, 国内会議リベラルでない自由へ:フーコーとアドルノによる「啓蒙とは何か」口頭発表(一般)
- The 14th Urban Research Plaza’s Forum, 2016年03月, 英語, Chulalongkorn University, 国際会議Collective Dream Works: Philosophy against Techno-dystopia口頭発表(一般)
- Engaging Foucault, 2014年12月, 英語, 国際会議Foucault's Counter-Theory of Sovereignty口頭発表(一般)
- 日本社会学会大会, 2014年11月, 日本語, 国内会議ミシェル・フーコーの内戦論――歴史-政治的主権批判の可能性を探る口頭発表(一般)
- 第37回社会思想史学会大会, 2012年10月, 日本語, 国内会議パレーシアの倫理的政治 一九八〇年代フーコーの問題設定を探る口頭発表(一般)
- Radical Foucault, 2011年09月, 英語, 国際会議Government over Resistance: Theoretical Signification of Foucault's Governmental Turn in the 1970s口頭発表(一般)
- 第35回社会思想史学会大会, 2010年10月, 日本語, 国内会議『六八年五月』とフーコーの出来事概念 『知の考古学』と現在の出来事化口頭発表(一般)
- Inter-Asia Cultural Typhoon in Tokyo, 2009年, 英語, 国際会議'Nationalism Now?: For those forgotten migrants in the apocalypse of the Japanese economy'口頭発表(一般)
- 第33回社会思想史学会大会, 2008年10月, 日本語, 国内会議抵抗の消失:後期フーコーの統治概念の展開に関連して口頭発表(一般)
- 第32回社会思想史学会大会, 2007年10月, 日本語, 国内会議主体は常に導かれる 統治論が包摂するフーコーの啓蒙論口頭発表(一般)
- 社会思想史学会研究大会, 2006年10月, 日本語, 国内会議エロスの技法を再読する フーコー統治論の形成過程口頭発表(一般)
- 第30回社会思想史学会大会, 2005年11月, 日本語, 国内会議フーコーの二重化する統治概念と主体化 権力論と主体論の総合へ向けて口頭発表(一般)
- 第28回社会思想史学会大会, 2003年10月, 日本語, 国内会議夢と痕跡 後期フーコーの主体概念への一考察口頭発表(一般)
■ 共同研究・競争的資金等の研究課題
- 日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 基盤研究(C), 筑波大学, 2022年04月 - 2027年03月, 研究分担者ミシェル・フーコーの思想と監獄情報グループ(GIP)に関する思想史的・理論的研究
- 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(C), 基盤研究(C), 金沢大学, 2019年04月 - 2024年03月地域社会におけるケイパビリティに基づく福祉行財政の基礎理論――自治と自立の検討2021年度の研究実績について、これまでの研究会の議論の蓄積を活かして、以下のような研究成果があった。まず、2020年度に研究代表である村上が企画し座長を務めた日本医療福祉政策学のシンポジウム『地域医療・福祉の実践――達成と今後の課題』の座長論文が2022年5月に刊行された。同論文は、ローカル・ボトムアップ型医療福祉政策の基盤形成に関する研究の必要性を述べている。 こうした研究における理論的側面に関する概念として、本研究課題はアマルティア・センによるケイパビリティの下位概念であるエージェンシー的自由に注目してきた。その概念を、理論的に考察したものが2021年11月に開催された第94回日本社会学会の報告「自律の社会的決定要因と認知資源配分――「市民」に必要な能力は何か(3)」であり、SDGsへのインプリケーションを論じたものが2021年9月に開催された共生社会システム学会2021年大会の報告「SDGsの経済哲学序説――ケイパビリティ・アプローチから」である。 次に、今日の福祉行財政を検討するためには、所得保障の再考が不可欠である。そこで、ネオリベラリズムの推進、逆に対抗という正反対の立場がありうるベーシック・インカムを取り上げた。村上は本研究課題の分担研究者ではないが、ベーシック・インカムの専門家である齊藤拓氏と共同報告で、2021年8月に開催された22nd of Basic Income Earth Network Congressにおいて、「Characterizing Basic Income as Sufficientarianism is Misleading」という論題で報告した。また、分担研究者の著書である堅田香緒里(2021)『生きるためのフェミニズム――パンとバラと反資本主義』タバブックスにおいても、ベーシック・インカムは言及されている。
- 日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 基盤研究(C), 筑波大学, 2018年04月01日 - 2023年03月31日ミシェル・フーコー「コレージュ・ド・フランス講義」総体の理論的・思想史的研究本共同研究のメンバーが中心となって「フーコー研究フォーラム」(企画運営委員:佐藤嘉幸、箱田徹、坂本尚志)を立ち上げ、共同研究を続行している。2021年9月には、共同研究の成果論集である『ミシェル・フーコー『コレージュ・ド・フランス講義』を読む』(水声社)の書評会をオンラインで開催し、小泉義之(立命館大学)、慎改康之(明治学院大学)、執筆者(共同研究メンバー)が議論を展開した。2022年3月には『フーコー文学講義』(ちくま学芸文庫)の書評会を行い、柵瀨宏平(白鴎大学、本書翻訳者)、市田良彦(神戸大学)、柴田秀樹(京都大学)、森本淳生(京都大学)、佐藤嘉幸(司会)が議論を展開した。これらのイベントはすべてオンラインで行い、録画をネット上で公開している。 また、佐藤嘉幸と箱田徹は、アントニオ・ネグリ、マイケル・ハート『アセンブリ』の翻訳を刊行した。本書は、フーコーのコレージュ・ド・フランス講義『生政治の誕生』(1978-79年)における新自由主義分析を全面的に踏まえた上で、それに対する対抗戦略と絶対的民主主義の構築を目指す書物であり、新自由主義が全面化した2010年以後の世界においてフーコー理論をいかに刷新するかを課題としている。本書の翻訳刊行を通じて、フーコー理論を同時代の問題としていかに捉え直すかを考察した。また、佐藤嘉幸は、ジュディス・バトラー『問題=物質となる身体』の翻訳を刊行した。本書は、フーコーのセクシュアリティ理論に大きな影響を受けた、ジェンダー/クィア理論の最重要書の一つである。
- 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(C), 基盤研究(C), 天理大学, 2019年04月 - 2022年03月, 研究代表者人新世における生政治:脱炭素社会に向けた社会哲学研究2021年度は、いわゆる現代思想と現代の社会運動、とりわけ気候運動との関係を考察した。人間活動由来の温室効果ガスを原因とする地球温暖化がますます深刻化し、その悪影響が顕著に現れている。にもかかわらず、温室効果ガスの主要な排出源である化石燃料の燃焼について、それを支えるインフラストラクチャ(商品としての化石燃料が採掘から精製や加工、運搬を経て、燃焼・消費されるまでのプロセスを支える制度や設備)のオペレーションは、停止するどころか拡大を続けている。このことは、温暖化の進行を停止する意志よりも、これまでどおりの経済社会活動(ビジネス・アズ・ユージュアル)を続けようとする意志と利害が勝っており、現状変更に向けた国内的・国際的合意が存在しないことを示している。この状況への介入をめぐって、すでに取り組まれている運動実践やその歴史を踏まえた上で、世界各地の気候運動にかかわる実践家や研究者のあいだで活発な議論が行われている。 本年度は、近化石資本批判で注目を集めるスウェーデンの研究者アンドレアス・マルムの議論を、最新作『パイプライン爆破法』とともに日本語圏の読者に紹介するとともに、論文や講演といった機会をつうじて、気候運動における現状認識と戦術論についての先端的な議論が、非暴力直接行動、市民的不服従をめぐる過去と現状のさまざまな解放運動や抵抗運動の歴史を積極的に踏まえつつ、ポスト植民地主義、反レイシズム、BIPOC、フェミニズム、クィア、トランスといった現代の運動との連関を探りながら展開されていることを示すことができた。このほか、フーコーの生政治論の現代的展開として注目される、アントニオ・ネグリ&マイケル・ハートの著作『アセンブリ』の翻訳刊行を実現し、また関連イベントをとおして、本研究がテーマとする生政治論と採取主義批判との連関についての研究に継続して取り組むことができた。
- 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(C), 基盤研究(C), 筑波大学, 2018年04月 - 2021年03月Critical Assessments on Michel Foucault's Collège de France Lectures今年度は、ミシェル・フーコーのコレージュ・ド・フランス講義の総体を明らかにするために、京都大学人文科学研究所の共同研究「フーコー研究:人文科学の再批判と新展開」と共同で複数の研究会を行い、研究成果を共有しつつ研究を進展させた。とりわけ、2019年1月25、26、27日に、研究成果を集中的に検討する研究会を京都大学で行った。そのプログラムは以下の通りである: 1月25日:佐藤嘉幸「生権力/生政治とは何か──レイシズム、自由主義、新自由主義」、廣瀬純「「以上は、ネオリベラル派が言うはずであろうことに最も近く寄り添った場合の私の物事の見方です」──規律権力論からリベラル統治性論への移行について」 1月26日:相澤伸依「La Societe punitiveを読む──le penalとle punitifをつなぐla moralに注目して──」、藤田公二郎「生的=主権的複合体──フーコーの人文科学批判の射程──」、布施 哲「英米圏哲学者たちによるフーコー解釈──〈批判理論〉から〝戦闘性〟まで──」、佐藤嘉幸「バトラーのパレーシア解釈について」 1月27日:武田宙也「フーコーにおける「狂気」の言語の問題」、西迫大祐「『主体の解釈学』における法の問題について」、坂本尚志「啓蒙、革命、パレーシア──80年代フーコーの思想における「現在」」、箱田徹 「フーコーとポピュリズム」
また、現代アメリカを代表する哲学者であるジュディス・バトラー氏を招聘し、彼女のフーコー解釈を通じて近著『アセンブリ』を検討するセミナーを開催した。当日は、ジュディス・バトラー氏の発表「恐れなき発言と抵抗」に続いて、佐藤嘉幸、廣瀬純、清水知子がコメントを加え、その後、参加者全体でディスカッションを行った。 - 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(B), 基盤研究(B), 大阪市立大学, 2016年04月01日 - 2020年03月31日東アジア都市における包摂型居住福祉実践に関する研究本研究は、類似した社会経済的な発展プロセスを経験する中で、いわゆる開発主義的な福祉制度や実践経験を共有してきた東アジア三ヶ国を研究対象に据え、とりわけ居住福祉政策と実践にかかわる各国都市への実地調査を中心に研究を進め、東アジアにおける居住福祉実践モデルの特徴を明らかにすることを目的にしている。そのため、2018年度は、東アジアの都市における居住福祉実践の比較研究に向けた都市間の交流を強化していくための拠点として発足させた、「東アジアインクルーシブ都市ネットワーク・ジャパン」との共同研究を進める形で研究を実施した。まず、科研課題を深めるための研究会を継続して開催した。これには、科研課題にかかわる研究分担者や研究協力者に加え、居住福祉実践にかかわる研究者や実践家、そして都市自治体の職員に多く加わってもらう形で実施した。研究会では、東アジア諸国に対する政治社会的な理解や都市が抱える社会政策的な課題等を取り上げた。海外実地調査では、ソウル市、台北市、香港市で、都市内の遊休資源等を活かしたコーハウジングによる居住困窮層への支援に関連する調査を実施した。帰国後は、調査内容を深めるため報告会を行い、調査実施から得た知見をまとめ、本研究代表者の所属先が発行する「ブックレットシリーズ」に成果の一部を公開した。また、本研究代表者が毎回企画調整を担当している、「第8回東アジア包摂都市ネットワークワークショップ」を香港で開催した。なお、東アジアの都市間の比較研究に向けた理論的な枠組みを探るための試みとして、研究分担者及び研究協力者と共同で、翻訳書(『東アジア福祉資本主義の比較政治経済学:社会政策の生産主義モデル』)を本年2月に東信堂から刊行した。
- 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(C), 基盤研究(C), 天理大学, 2016年04月 - 2020年03月, 研究代表者戦争・統治・政治:ポスト68年5月のフーコー思想とフランス社会哲学1970年代フーコー統治論と戦争概念とのかかわりについての考察を深めるとともに、フーコーのキリスト教への関心と権力論・統治論との関連を検討した。1970年代半ばまでのフーコーは、規律権力、ひいては真理・真実を通じた他者の振る舞いの管理統制としての「他者の統治論」の祖型となったのは、中世キリスト教の修道院や改革運動であり、その後の告解実践の「世俗化」現象であると説いていた。他方で、1970年代後半の統治論では、「政治的霊性」という表現を用いて、キリスト教の霊的-宗教的実践と、世俗社会における権力関係の実践との接合である「司牧権力」による「他者の統治」に相対する、被治者みずからが行う「別の導き」、すなわち主体的でオルタナティブな統治としての「自己の統治」を導出した。フーコーは世俗的なものと宗教的なものとが交錯するところで権力概念を捉えることで、統治論における「救い」の問題を析出させていると言ってよい。本年度の成果物ではここまでの議論を整理し、提示した。他方で戦争概念と統治概念のかかわりについては、フーコーが戦争概念を放棄し、関係論的な権力論への比重を高めたとされる『知への意志』刊行以降においても、戦略と戦術といった戦争にかかわる語彙をそのまま保持していることに注目した。そして1970年代前半のフランスという、ポスト68年5月における議会外左翼の運動が最高潮に達していた時期のなかで、フーコーが戦争概念を権力関係の解読の中心に据えようとした、1972-73年度の『懲罰社会』講義を読解することで、この概念の現代性について検証を行った。また思想史的にみて、当時の知的状況を強く反映している、ランシエールの著書『哲学者とその貧者たち』の翻訳・刊行に参加した。
- 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(B), 基盤研究(B), 神戸大学, 2013年04月01日 - 2016年03月31日「現代思想」と政治―マルクス主義・精神分析・政治哲学を軸とする歴史的・理論的研究日本で「現代思想」と呼ばれ、1960年代以来フランスを中心に展開されてきた構造主義・ポスト構造主義の思想潮流を、「政治」との関連で再定義した。現在、文化研究方法論や文献注釈の対象として受容されている「現代思想」は、我々の観点からすれば、マルクス主義(資本主義批判)・精神分析(主体の地位の再審)・哲学(上記二契機の可能的出会いの探究)という三つの軸の交点における、「政治とはなにか」という問いへの歴史的応答の試みと位置づけられる。また、その共通の試みが、冷戦終結とともに終わることなく、現代の政治観をなお大きく規定し続け、制御困難なグローバル市場下の現状で再浮上していることを理論的に明らかにした。
- 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 若手研究(B), 若手研究(B), 立命館大学, 2013年04月01日 - 2015年03月31日, 研究代表者1970年代半ばから後半にかけてミシェル・フーコーが権力を個人や集団間の関係として捉えた議論を展開するにあたり、歴史史料をいかに用いたのかを一次文献を元に考察した。そして法-主権的な権力論の批判という抽象的な議論(戦争概念をめぐる議論)と、個人の生が置かれていた権力関係のありようを明らかにするという具体的な議論(非定型な身体を持つ身体のセクシュアリティにかかわる議論)とがともに歴史史料の読解を通じてなされていること、またそこには真理と主体、権力概念のかかわりが「真理ゲーム」というかたちでクローズアップされていることを示した。競争的資金
- 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 若手研究(B), 若手研究(B), 立命館大学, 2010年 - 2011年, 研究代表者本研究はミシェル・フーコー(1926-1984)の1960年代後半から1970年代にかけての著作を分析し、不連続性や差異を強調する独自の方法論が明確化される過程を論じた。とくにフーコーが言説分析にかかわる諸概念を実践の問題系に位置づけたことに着目し、この時期以降のフーコー思想にとって政治的主体性の問いが重要性を占めていくことを指摘した。また一連の思索の展開が「六八年五月」と深い関わりがあることも示した。競争的資金