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大橋 完太郎大学院人文学研究科 社会動態専攻教授
プロフィール
17〜18世紀のフランス哲学・文学から研究を始めました。博士論文は啓蒙思想家ディドロの唯物論的体系がもつ総合的な性質を論じたものです。哲学・文学・芸術学すべてに渡る彼の思想を体系的に捉え返し、現代的な意義を探った試みです。そこにおいては、「怪物的なもの」がもつ肯定的な意味が、ディドロ独自のものとして、その先駆性とともに見出されました。ディドロについては、彼の美術批評と社会思想との関係について、現在考察を進めています。
これと並行して、当時の博物学も扱っています。博物学者ビュフォンの思想を中心に、当時の植物学や動物学がどのように体系化され、近代的な科学となっていったのかについて、文献史料や今なお残る植物園や動物園を手がかりに考察を進めています。ダーウィニズム以前の生物学において、どのような想像力が働いていたのか、という点も面白いところです。
近年はより現代に領域を移して、いわゆるフランス現代思想の新たな読み替えも進めています。とりわけ、「芸術=アート」という概念に関して、それがどの程度まで人間に関わるものであり、どの程度まで人間を超え出るものであるのか。現代の芸術哲学を参照しながら、芸術の存続を広義の技術論のもとで考えていきたいと思っています。
なお、外国語論文についてはAcademia.eduのページをご参照ください。
https://kobe-u.academia.edu/KantaroOhashi
空いた時間に習作的に書いているエッセイや翻訳は下記のブログでも時折更新しています。
https://materialisme.blogspot.com
研究者基本情報
■ 学位■ 研究キーワード
■ 研究分野
■ 委員歴
- 2016年04月 - 現在, 表象文化論学会, 理事
- 2020年04月 - 2023年03月, 日本フランス語フランス文学会, 編集委員
- 2018年04月 - 2022年03月, 日本フランス語フランス文学会, 研究情報委員
- 2017年04月 - 2022年03月, 日本フランス語フランス文学会 関西支部, 実行委員
- 2018年04月 - 2018年07月, 表象文化論学会, 神戸大会 実行委員長
- 2016年04月 - 2018年03月, 日本フランス語フランス文学会 関西支部, 編集委員
- 2010年04月, 表象文化論学会, 編集委員
- 2005年04月 - 2009年03月, 表象文化論学会, 事務局員
研究活動情報
■ 受賞■ 論文
- 東京 : 青土社, 2024年05月, 現代思想, 52(7) (7), 145 - 155, 日本語ヴァンパイアについて : マルチチュードの形象とその領域をめぐる比較考察—総特集 アントニオ・ネグリ : 1933-2023
- 2024年, 現代思想, 51巻7号, 130 - 140, 国際共著していない無知としての道徳と自由 : 啓蒙期フランス博物学における女性と猿研究論文(学術雑誌)
- 青土社, 2020年12月, ユリイカ, 52(15) (15), 139 - 145, 日本語偽書の思想史 : ルネサンスからポストモダンまで (特集 偽書の世界 : ディオニュシオス文書、ヴォイニッチ写本から神代文字、椿井文書まで)
- 青土社, 2020年10月, 現代思想, 48(14) (14), 93 - 101, 日本語大学の「身体」は変容する : COVID-19流行以降の状況から (特集 コロナ時代の大学 : リモート授業・9月入学制議論・授業料問題)
- 映画美学校批評家養成ギブス第三期有志一同, 2020年05月, ヱクリヲ, (12) (12), 234 - 252, 日本語批評の消息 : 消極的合法性からの脱出 (ポストクリティーク : いま批評には何ができるのか)
- 青土社, 2020年01月, 現代思想, 48(1) (1), 150 - 160, 日本語ポストトゥルース試論 2020 ver. 1.0 : 「真実以後」を思考する(ための)哲学 (特集 現代思想の総展望2020)
- 神戸大学文学部芸術学研究室, 2019年, 美学芸術学論集 = The journal of aesthethics and art theory, (15) (15), 5 - 50, 日本語
- 青土社, 2018年10月, ユリイカ, 50(14) (14), 78 - 84, 日本語無限の網と開いた窓 : 一八世紀フランス『百科全書』から考える図鑑の二つの相 (特集 図鑑の世界)
- 青土社, 2017年08月, 現代思想, 45(16) (16), 217 - 223, 日本語怪物・化石・恐竜 : フランスにおける近代自然史の展開から (総特集 恐竜 : 古生物研究最前線)研究論文(学術雑誌)
- 青土社, 2016年12月, ユリイカ, 48(17) (17), 301 - 308, 日本語『シン・ゴジラ』の予告する世界 : 生命とその影 (総特集Ω 『シン・ゴジラ』とはなにか)
- 青土社, 2016年05月, 現代思想, 44(10) (10), 224 - 232, 日本語人類史という「詭弁」 : メイヤスー「祖先以前性」概念に基づくカント人類学の批判 (特集 人類の起源と進化 : プレ・ヒューマンへの想像力)
- 神戸大学文学部芸術学研究室, 2016年, 美学芸術学論集 = The journal of aesthethics and art theory, (12) (12), 34 - 58, 日本語
- 青土社, 2014年09月, ユリイカ, 46(12) (12), 193 - 200, 日本語サド、あるいは心からの嘘 : 『閨房の哲学』における言説と怪物をめぐって (特集 サド : 没後二〇〇年・欲望の革命史)
- 青土社, 2014年02月, 現代思想, 42(2) (2), 67 - 79, 日本語操り人形の自律性 : キルケゴールのイロニー概念の現代的意味をめぐって (特集 キルケゴール) -- (現代思想の源泉としてのキルケゴール)
- 岩波書店, 2013年12月, 思想, (1076) (1076), 232 - 250, 日本語パントマイムする身体の相 : 『劇詩論』と『ラモーの甥』から (ディドロ生誕300年)
- 青土社, 2013年08月, ユリイカ, 45(10) (10), 83 - 90, 日本語かくも味わい深き他者の顔 : 『あんぱんまん』試論 (総特集 やなせたかし アンパンマンの心)
- 青土社, 2012年10月, 現代思想, 40(13) (13), 172 - 183, 日本語寄食者たちのテーブル : 食卓を囲むルソーとディドロ (特集 ルソー : 「起源」への問い)
- 『百科全書』研究会, 2012年03月, 『百科全書』・啓蒙研究論集 = Recueil d' études sur l'Encyclopédie et les lumières, (1) (1), 115 - 134, 日本語『百科全書』項目「動物」読解 : 動物論からみるディドロとビュフォンの差異
- 東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻, 2007年, 超域文化科学紀要, (12) (12), 67 - 86, 日本語聾唖者と魂の位相に見るディドロ感覚論の基礎付けと展開--『聾唖者書簡』読解
- 水声社, 2006年09月, 水声通信, 2(9) (9), 77 - 85, 日本語タブローを超えて--『百科全書』とスクリーン (特集 表象とスクリーン--見えるものと見えないもののあいだ)
- 東京大学21世紀「COE共生のための国際哲学交流センター」, 2006年, UTCP研究論集, (6) (6), 55 - 70, 日本語自由の徒弟時代--スピノザ『エチカ』における理性の諸相[査読有り]研究論文(学術雑誌)
- 日本フランス語フランス文学会関東支部, 2006年, 日本フランス語フランス文学会関東支部論集, 15(0) (0), 35 - 49, 日本語
- 日本フランス語フランス文学会, 2006年, フランス語フランス文学研究, 89(0) (0), 45 - 59, フランス語
- 東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻表象文化論, 2004年02月, 表象文化論研究, (3) (3), 18 - 38, 日本語盲者の感性論と唯物論的一元論--ディドロ『盲人書簡』読解 (エステティクス再考)
- 青土社, 2021年06月, 現代思想, 49(7) (7), 8 - 21, 日本語フラット化する時代に思考する : ポストモダン思想再考—特集 いまなぜポストモダンか
- 表象文化論学会 ; 2007-, 2020年, 表象, (14) (14), 190 - 194, 日本語そのまなざしを翻訳しなければならない : 田中祐理子『病む、生きる、身体の歴史 : 近代病理学の哲学』書評
- 日本18世紀学会, 2019年06月, 日本18世紀学会年報 = Annual bulletin of the Japanese Society for Eighteenth-Century Studies, (34) (34), 110 - 112, 日本語書評 逸見龍生/小関武史編『百科全書の時空 典拠・生成・転位』
- 神戸大学文学部芸術学研究室, 2019年, 美学芸術学論集 = The journal of aesthethics and art theory, (15) (15), 186 - 209, 日本語
- 表象文化論学会 ; 2007-, 2018年, 表象, (12) (12), 249 - 253, 日本語ユートピア建築家の夢と革命都市 : 小澤京子『ユートピア都市の書法 : クロード=ニコラ・ルドゥの建築思想』書評
- 神戸大学文学部芸術学研究室, 2018年, 美学芸術学論集 = The journal of aesthethics and art theory, (14) (14), 46 - 67, 日本語
- 神戸大学文学部芸術学研究室, 2018年, 美学芸術学論集 = The journal of aesthethics and art theory, 14(14) (14), 46 - 67, 日本語
- 2017年, ガーデン研究会ジャーナル, 3, 21 - 26, 国際共著していないビュフォンと英国(1):1730年代半ばまでの知的動向
- 神戸大学文学部芸術学研究室, 2017年, 美学芸術学論集 = The journal of aesthethics and art theory, (13) (13), 10 - 42, 日本語
- 2016年, ガーデン研究会ジャーナル2, 2, 29 - 37, 国際共著していない近代フランスにおける王立庭園の創設(2)-ファゴンからビュフォンへ
- 2015年, ガーデン研究会ジャーナル, 1, 29 - 39近代フランスにおける王立庭園の創設-ラ・ブロスからファゴンの時代[査読有り]
- 岩波書店, 2011年04月, 思想, (1044) (1044), 79 - 98, 日本語スペクトラル・ライフ--幽霊的生についての考察 (来るべき映画的思考のために)
- 青土社, 2009年07月, 現代思想, 37(8) (8), 216 - 239, 日本語ハイブリッドな共同体 (特集=人間/動物の分割線)
- 分担執筆, 項目「無神論」「文学(フランス)」, 丸善出版, 2023年01月, 日本語, ISBN: 9784621307854啓蒙思想の百科事典
- 人文書院, 2022年11月, 日本語, ISBN: 9784409031193プラットフォーム資本主義
- 単訳, 左右社, 2022年08月, 日本語, ISBN: 4865280960ポスト資本主義の欲望
- 神戸大学出版会,神戸新聞総合出版センター (発売), 2021年03月, ISBN: 9784909364128他者をめぐる人文学 : グローバル世界における翻訳・媒介・伝達 = Adaptation, mediation and communication of otherness in a globalizing world: perspectives from Japan
- 人文書院, 2020年09月, 日本語, ISBN: 9784409031100ポストトゥルース
- 単訳, 月曜社, 2020年08月, 日本語, ISBN: 9784865030990スクリッブル : 権力/書くこと . 形象変化(象徴的なものの考古学)
- 共訳, 人文書院, 2016年, 日本語, ISBN: 9784409030905有限性の後で : 偶然性の必然性についての試論
- 東京大学出版会, 2015年, 日本語, ISBN: 9784130141413メディア哲学
- 分担執筆, ド・ピール「絵画原理講義」ディドロ「劇詩論」ブリア=サヴァラン「味覚の生理学」ボードレール「現代生活の画家」ヴァレリー「レオナルド・ダ・ヴィンチの方法への序説」, 京都造形芸術大学出版局, 2014年06月芸術理論古典文献アンソロジー
- 世界思想社, 2013年, 日本語, ISBN: 9784790716037知る・学ぶ
- 単著, 法政大学出版局, 2011年02月, 日本語, ISBN: 9784588150630ディドロの唯物論――群れと変容の哲学
- 平凡社, 2010年, 日本語, ISBN: 9784582206371絵画をいかに味わうか
- 現代企画室, 2008年, 日本語, ISBN: 9784773808063ディスポジション : 配置としての世界 : 哲学、倫理、生態心理学からアート、建築まで、領域横断的に世界を捉える方法の創出に向けて
- 共著, 現代企画室ディスポジション――配置としての世界
- SHIZEN (自然) : LE CONCEPT JAPONAIS DE NATURE, 2022年12月, フランス語La nature moderne dans les romans et essais de Sakaguchi Angô[招待有り]シンポジウム・ワークショップパネル(指名)
- Journée d'étude «Animalité- Queer», 2022年10月, フランス語Peut-on « moraliser » le sexe ? : La comparaison entre humains et animaux dans l’histoire naturelle en France au XVIIIe siècle.[招待有り]シンポジウム・ワークショップパネル(指名)
- New Perspectives in Japanese Studies Part 2, 2017年11月, 英語, 国際会議Modern Forms of Japanese Nostalgia: the Case of Ango Sakaguchiシンポジウム・ワークショップパネル(指名)
- The 15th International Conference of the British Association for Romantic Studies, 2017年07月, 英語, 国際会議Imagination Improved ----Buffon's Implicit Influences on British Romanticism----シンポジウム・ワークショップパネル(指名)
- 国際美学会, 2016年07月, 英語, 国際会議On Resent Trends Toward Nostalgia In Japanese Culture口頭発表(一般)
- 「イギリス近代文学における植物表象の史的発展――資源と欲望をめぐって」, 2014年10月, 日本語, 国内会議フランス王立庭園と博物学――トゥルヌフォールからビュフォンへシンポジウム・ワークショップパネル(指名)
- 第17回新潟哲学思想セミナー, 2014年07月, 日本語, 国内会議啓蒙の盲点、啓蒙批判の盲点[招待有り]公開講演,セミナー,チュートリアル,講習,講義等
- 日本フランス語フランス文学会2014年度春季大会ワークショップ, 2014年05月, 日本語, 国内会議断片化した生と突発的愛情——『ソフィー・ヴォラン宛書簡』にみる文体と情動の関係[招待有り]シンポジウム・ワークショップパネル(指名)
- 灘高等学校土曜講座, 2013年10月, 日本語, 国内会議今日における「啓蒙」の意義は何か〜日仏比較思想史から考える[招待有り]公開講演,セミナー,チュートリアル,講習,講義等
- 日仏哲学会2012年秋季大会、シンポジウム「ディドロ哲学再考:生誕300年を迎えて」, 2012年09月, 日本語, 国内会議ディドロとフランス現代思想:リオタール『非人間的なもの』との関係からシンポジウム・ワークショップパネル(指名)
- 神戸スイーツ学会第8回定例研究会, 2012年02月, 日本語, 国内会議味覚から見る西洋近代公開講演,セミナー,チュートリアル,講習,講義等
- シンポジウム「生命という策略」(近畿大学国際人文科学研究所主催), 2009年01月, 日本語, 国内会議情念から利益へ:ホモ・エコノミクスの力学と近代におけるその帰結[招待有り]シンポジウム・ワークショップパネル(指名)
■ 共同研究・競争的資金等の研究課題
- 日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 基盤研究(B), 東京藝術大学, 2024年04月01日 - 2028年03月31日啓蒙期ヨーロッパの芸術における「他者」の総合的研究
- 日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 基盤研究(B), 近畿大学, 2023年04月01日 - 2026年03月31日モアザンヒューマンの美学――動物論的転回以降の感性論的可能性
- 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(B), 基盤研究(B), 近畿大学, 2020年04月01日 - 2023年03月31日ライフ/デス・アートの美学今年度はデス・アートの理論研究・事例研究に強調点を置いて活動を行なった。研究会を3回(5/10、9/05、3/22)開催し、以下の課題について各チームが検討した。第一にライフ/デス班がデス概念の哲学的言説を整理し(大橋)、デス・アート班は近代脱近代のデス・アートの系譜を整理(前川・加須屋)、双方のチーム間で討議を行い、ライフ・アート班との議論へと拡張した(岩崎・増田)。第二に、アート/テクノロジー班は生政治をめぐる作品を制作する作家にインタヴューし(水野・松谷)、ライフ/デス班がこれを受けて生政治概念とライフ概念の拡張について討議を行った(岩城・大橋)。以下3回の内容である。 ・第1回研究会:増田展大「ポストヒューマンから動物へ──その生と死」/松谷容作「《土をつくる》におけるライフ/デス」 ・第2回研究会:水野勝仁「インターネットアートを通して,何か新しいものに再接続する試み」/大橋完太郎「死と喪、およびそれをめぐる文化と表象についての現代思想・哲学」 ・第3回研究会:加須屋誠「仏教的宇宙観と身心観-構造とその崩壊-」/前川修「没後写真論―カタリーナ・ズュコラ『写真の複数の死』を読む1―」
- 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(C), 基盤研究(C), 神戸大学, 2019年04月01日 - 2023年03月31日ポスト・ノスタルジー美学の成立と構造本年度は、現代の文化理論、および美学・芸術学的観点を重視した現代哲学の議論を精査し、そこにおいてノスタルジーがどのような近代的機能を帯び、またさらなる近代化(ポスト近代)向かうために、その表象装置がもたらす利点と不利益とを確認した。 具体的な成果としては、早稲田大学で開催された表象文化論学会における研究パネルにおいて「個の救済とポップなもの」という発表を行い、脱歴史化されたポストモダン的高度資本主義社会において表れている存在と美の様式について、それを「ポップなもの」として扱うことに伴う文化的意味と、そこにおいて切断されるノスタルジー的要素との関係を考察した。 もうひとつの成果は、雑誌『現代思想』に掲載された宮崎裕助、千葉雅也、両氏との鼎談がある。ポストモダンを再考するという企画趣旨のもと進められた本鼎談においては、1960年代以降欧米から発して日本にも学術的にも文化的にも大きな影響を与えたポストモダンとその哲学を歴史化することの意義が検討され、とりわけその動向がたとえば80年代ノスタルジーを形成しないために、それらにどのような学術的展開を与えることが必要であるかなどが議論された。 執筆されたものとしては、『啓蒙思想の百科事典』に、「理神論」および「小説(フランス)」を執筆し、近代初期における信仰と理性の関係、および近代的個人における内面性の発達と言語表現の関係などを精査し、執筆内容には直接反映されるものではないが、こうした要素が同時代におけるノスタルジーの発生を促した一因となっていることが確認できた。 いずれの成果においても、本科研による文献調査や考察がベースになっており、一連の研究を通じた執筆が、その論文化・書籍化を目的として進められている。
- 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(B), 基盤研究(B), 神戸大学, 2017年04月01日 - 2020年03月31日アウタースペース/インナースペース/インタースペース・アートの美学理論研究/事例研究に分けて説明する。 理論研究:①生命・自然班/②映像班/③知覚・脳科学班のうち、①生命・自然班については、8月開催の研究報告会においてバイオ/メディア/アートの結びつきをめぐり、戦後の言説的系譜を取りまとめ、以後、メディア論を軸にしながら、引き続き最新の言説の整理へ向かう方向と、逆に生物学の起点(19世紀初頭)へ向かう方向の可能性が議論された。②映像班では、同じく8月の報告会で、宇宙映画を素材にしながら無重力を重力下で表象化する方法について議論を行なった。③知覚・脳科学班では、8月の報告会では宇宙服のもたらす知覚の問題について議論をし、3月の報告会では、宇宙空間で視点を喪失する状態から逆に地上での幽体離脱的な反重力的視点を捉え直す議論を行ない、さらに2009年に開催の『宇宙と美術と人体と』展の作家へのインタビューをもとにした報告を素材に議論を進めた。また、本科研メンバーの真下/森によるドローンを使った作品制作の経過報告についても脳科学の観点から意見を交換した。 なお、生命自然班では、定期的に(年4回)バイオアートとメディア論に関する言説整理と文献消化の作業も行い、その一部を翻訳出版するプランも立ち上がっている。 事例研究では、8月に早稲田の先端生命医科学センターおよびBioClub、筑波宇宙センターでの調査を行い、それぞれの分担者がオーストラリアのバイオアーティスト、オロン・カッツのラボ視察、アルスエレクトロニカの巡回展、佐賀宇宙科学館などの視察を行い、上記の研究会で意見交換を行った。西オーストラリアのSimbioticAでの学会には岩城・増田がそれぞれバイオアート、スペースアートについて報告を行い、各国の研究者と意見交換を行った。
- 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(C), 基盤研究(C), 神戸大学, 2015年04月01日 - 2019年03月31日ビュフォン『博物誌』における人類学的思考の意義――ド・ブロスとの比較検討を基点に本研究においては、18世紀フランスにおける博物学者ビュフォンと同時代で同郷の人類学者・文筆家であるド・ブロスとの関係を対象に調査を行なった。とりわけ共通の出身地であるブルゴーニュ地方の都市ディジョンにおける両者の関係を思想の相互形成という観点から調査・分析を進めた。実証的なレベルでの新資料の発見はまだはっきりと確定できていはいないが、ド・ブロスの初期人類学的思考に見られる文学的・文献学的要素の重要性や、それに対してビュフォンが与えた影響など、従来見出されなかった関係が発見された。
- 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(B), 基盤研究(B), 兵庫県立大学, 2014年04月01日 - 2018年03月31日イギリス近代文学における植物表象の史的発展―資源と欲望をめぐって本研究は、イギリス近代の文学や視覚芸術に見られる植物表象を植物学、植物書、科学史等の文脈から多角的に考察し、植物表象が資源や権益をめぐる社会の権力構造やその構造から生まれる個人の欲望と連動して形成されていることを検証したものである。これは、文学等に表現された草木等の自然が、資源としての各種の植物の価値と相補関係にある文化・社会的構築物であることを明らかにすることでもある。本研究では17世紀から19世紀初頭までのロマン主義期に至る代表的な植物学者や園芸家に焦点をあて考察し、ロマン主義期に至る文学における自然が、歴史的な相対化によって批判的に考察されるべきものであることを明示するものとなった。
- 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 若手研究(B), 若手研究(B), 神戸女学院大学, 2012年04月01日 - 2015年03月31日狂気と寄食者――『ラモーの甥』読解を起点にしたディドロの非人間概念に関する考察本研究の成果として主に二つのものをあげることができる。1)ディドロの非人間的概念が現代の哲学に対して持ちうる有効な射程を確認することができた。2)18世紀を中心的背景とした歴史的な読解においても、ディドロの思想がもつ独自の意味を提起することができた。1)については、リオタールの「非人間的概念」の中核にあるディドロの唯物論の有効性を人間技術との関係において明らかにすることができた。2)についても、当時主流であった奢侈についての議論に加えて、ディドロが自らの哲学の固有性として「貧なるもの」の可能性を担保していたことが明らかとなった。
- 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 若手研究(B), 若手研究(B), 玉川大学->東京大学, 2009年 - 2011年, 研究代表者本研究は、十八世紀フランスの博物学者ビュフォンの思想における理論的核を抽出することを目的としている。本助成を受けた研究を通じて、ビュフォンの『博物誌』における生物発生の理論と、修辞家としてのビュフォンの名を確かにした著作『文体論』とのあいだに理論的同形性が存在していることが判明した。生物の発生と人間の思考の両者に共通するこの発生論的アナロジーが、ビュフォンの思想のオリジナルな点であり、それによって生物学と文学とを架橋することが可能になっていることが明らかとなった。競争的資金