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大西 裕
大学院法学研究科 法学政治学専攻
教授

研究者基本情報

■ 学位
  • 博士(法学), 京都大学
■ 研究キーワード
  • 比較政治
  • 行政学
■ 研究分野
  • 人文・社会 / 政治学
■ 委員歴
  • 2020年09月 - 2022年10月, 日本政治学会, 理事長
  • 2010年10月 - 2022年10月, 日本政治学会, 理事
  • 2018年10月 - 2020年12月, 日本政治学会, 文献委員長
  • 2014年 - 2020年11月, 現代韓国朝鮮学会, 副会長
  • 2004年11月 - 2020年11月, 現代韓国朝鮮学会, 理事
  • 2016年06月 - 2018年06月, 比較政治学会, 会長
  • 2006年06月 - 2018年06月, 比較政治学会, 理事
  • 日本行政学会, 理事・国際交流委員
  • 公共政策学会, 理事

研究活動情報

■ 受賞
  • 2014年12月 サントリー文化財団, サントリー学芸賞, 『先進国・韓国の憂鬱』

  • 2014年11月 樫山奨学財団, 樫山純三賞, 『先進国・韓国の憂鬱』

  • 2014年06月 公共政策学会, 公共政策学会賞, 「韓国における市場志向的政党組織改革のゆくえ」(建林正彦編『政党組織の政治学』東洋経済新報社)

  • 2006年06月 大平正芳記念財団, 第22回大平正芳記念賞, 著書『韓国経済の政治分析-大統領の政策選択-』(有斐閣、2005年)
    大西 裕

■ 論文
  • 大西裕, 品田裕, 重村壮平, 堤英敬
    2024年03月, 公共選択, 2023(80) (80), 18 - 43, 日本語
    [招待有り]
    研究論文(学術雑誌)

  • 不安定化する日本の選挙管理ーマルチレベルガバナンスの観点からー
    大西裕
    2020年07月, 選挙研究, 36(1) (1), 77 - 90, 日本語
    [招待有り]
    研究論文(学術雑誌)

  • はじめに「選挙ガバナンスと民主主義」
    大西 裕
    日本政治学会, 2018年12月, 年報政治学, (2018-2) (2018-2), 3 - 9, 日本語
    [招待有り]
    研究論文(学術雑誌)

  • 政治体制論における時間
    大西 裕
    日本国際問題研究会, 2018年11月, 国際問題, (676) (676), 1 - 4, 日本語
    [招待有り]
    研究論文(大学,研究機関等紀要)

  • 比較の中の日本政治
    大西 裕
    2018年10月, レヴァイアサン, (63) (63), 6 - 9, 日本語
    [招待有り]
    研究論文(学術雑誌)

  • 行政中枢増大の日韓比較-大統領制の制度化の議論より-
    大西 裕
    ぎょうせい, 2018年05月, 年報行政研究『政府中枢の変化をめぐる国際比較』, (53) (53), 63 - 95, 日本語
    研究論文(学術雑誌)

  • 福祉政治研究の科学化-韓国の高齢者福祉をめぐって-
    大西 裕
    本稿は,韓国の福祉政治,とりわけ高齢者福祉をめぐる政治に関する近年の研究を分析することで,韓国で福祉政治をめぐる研究が,理論レベルでも方法論レベルでも劇的に変化していることを示す。福祉政治の研究は,かつては事例研究が中心であり,理論的にも階級の存在を重視していたが,近年,方法論的には計量分析に比重を移しており,理論的には一般的な政治過程論同様,有権者や政党に焦点が当たるようになってきている。有権者レベルでは福祉態度が,政党レベルでは地方自治体の福祉政策が分析の焦点となり,従来見られなかった豊かな成果を生み出すようになってきた。ただし,福祉政治の新たな研究動向は,重要な問題を含んでいる。韓国の福祉政治研究は方法論的に洗練されてきているが,科学的に妥当性の高い方法が検証すべき理論を限定するという転倒が生じてしまい,本来広大であるべき研究視野を狭め,研究対象を限定する傾向を示しているのである。
    日本貿易振興機構アジア経済研究所, 2017年, アジア経済, 58(4) (4), 55 - 75, 日本語
    [査読有り][招待有り]
    研究論文(学術雑誌)

  • 2016年国会議員総選挙が朴槿恵政権に与える意味
    大西 裕
    比較政治学の観点から2016年の韓国国会議員選挙がなぜ与党敗北となる選挙結果が生じたのかを分析した上で、選挙結果が今後の政権運営に与える影響を検討する。
    公益財団法人日本国際問題研究所, 2016年10月, 国際問題, (第655号) (第655号), 6 - 16, 日本語
    [招待有り]
    研究論文(学術雑誌)

  • 東日本大震災における関西広域連合の支援について
    大西 裕
    一般財団法人 消防科学総合センター, 2015年04月, 季刊 消防科学と情報, (120(2015年春季号)) (120(2015年春季号)), 10 - 13, 日本語
    研究論文(学術雑誌)

  • Cooperating the Local Governments between Korea and Japan: The Strategy of Sister City Partnership
    大西 裕
    2015年03月, KOREA & WORLD POLITICS, 31(1) (1), 151 - 182, 英語
    [査読有り]
    研究論文(学術雑誌)

  • 「全国市区町村選挙管理委員会事務局調査」についての報告
    大西 裕
    全国市区選挙管理委員会連合会, 2014年10月, 選挙時報, 63(10) (10), 1 - 13, 日本語
    研究論文(学術雑誌)

  • 通商政策と福祉国家
    大西 裕
    一般財団法人アジア太平洋研究所(APIR), 2013年05月, 環太平洋経済協力をめぐる日・米・中の役割研究会 2012年度報告書 日米中新体制と環太平洋経済協力のゆくえ, 2012年度報告書(3号) (3号), 64 - 72, 日本語
    研究論文(学術雑誌)

  • 環太平洋経済協力の枠組みをめぐって
    大西 裕
    一般財団法人アジア太平洋研究所(APIR), 2013年05月, 環太平洋経済協力をめぐる日・米・中の役割研究会 2012年度報告書 日米中新体制と環太平洋経済協力のゆくえ, 2012年度報告書(3号) (3号), 5 - 10, 日本語
    研究論文(学術雑誌)

  • Japan and the Asia Pacific
    Yutaka Onishi
    Asia Pacific Institute of Research, Osaka(APIR), 2013年03月, Kansai in the Asia Pacific -Toward a New Growth Paradigm-, 2 - 14, 英語
    研究論文(学術雑誌)

  • 市民なき市民社会からの脱却-韓国の市民社会の変容-
    大西 裕
    日本政治学会編, 2012年12月, 年報政治学『現代日本の団体政治』, 2012年(Ⅱ) (Ⅱ), 224 - 246, 日本語
    研究論文(学術雑誌)

  • Yutaka Onishi
    This paper analyzes the relationship between substantive voting rights (SVRs) and electoral management bodies (EMBs). Since the Third Wave of democratization, electoral management has become a salient issueboth in developing and developed countries. We now witness many attempts, regardless of the level of development of a country, to improve electoral management. Two major directions are identifiable in this regard. The first approach involves making EMBs more independent from the executive branch. The secondapproach involves ensuring voting rights more substantively. These trends stem from a deep-rooted problem of worsening electoral performance evident in lower turnouts and eroding electoral credibility. This is an issue that, in extreme cases, can uproot the very foundation of democracy. However, despite widespread awareness of these problems, up to now there has been virtually no debate on the relations between SVRs and EMBs in political science. This paper utilizes the dataset in Massicotte et al.'s studyand provides a preliminary analysis of the relationship between EMBs and SVRs.
    木鐸社, 2012年12月, 日本選挙学会報 選挙研究, 28巻(2号) (2号), 62 - 77, 英語
    研究論文(学術雑誌)

  • はじめに-改めて問われる民主主義の「質」-
    大西 裕
    日本比較政治学会編, 2012年07月, 日本比較政治学会年報 現代民主主義の再検討, 14巻, ⅰ - ⅹ, 日本語
    研究論文(学術雑誌)

  • 韓国における党支部廃止の政治過程-非党派性の制度化と選挙管理委員会-
    大西 裕
    木鐸社, 2011年12月, 年報政治学 2011-Ⅱ『政権交代期の「選挙区政治」』, 日本政治学会編、pp.178-205(2) (2), 178 - 205, 日本語
    研究論文(学術雑誌)

  • 途上国の政治経済学の終焉?
    大西 裕
    日本貿易振興機構アジア経済研究所研究支援部, 2011年07月, アジ研ワールド・トレンド, 第17巻第7号、通巻190号、pp.25-28(7) (7), 25 - 28, 日本語
    研究論文(学術雑誌)

  • 政権移行チームという悪魔-韓国における制度記憶不活用の政治-
    大西 裕
    When the Democratic Party of Japan won the general elections in 2009,and it was to be sure that the new government is formed around her, some of the party members made a proposal to organize a transition team to ensure a smooth transition from the old regime. The idea of a transition team is not in the insane. In fact, in the United States, the presidential transition law institutionalizes the team for a smooth transltlon. Transitions often cause confusion. But if such confusion can be avoided by making a transition team, it is desirable for the new administration and also for the voters who have chosen a new government. However, does making such a team ensure a smooth transition?In this paper, I examine this question through the case study of the presidential transitions in Korea。 Unlike the United States where the upper level of the bureaucracies is replaced through the change of presidents, the presence of the transition team can hamper the smooth transition in Japan and Korea who have the merit system bureaucracies. Whether the team can function or not depends on other institutional context relating to the institutional memory of the government.
    学習院大学, 2011年03月, 学習院大学 東洋文化研究, 13号、pp.93-116, 93 - 116, 日本語
    研究論文(学術雑誌)

  • 韓国における選挙サイクル不一致の政党政治への影響
    大西 裕
    木鐸社, 2010年10月, レヴァイアサン 47 2010 秋 [特集] 選挙サイクルと政権交代, pp.65-88(47) (47), 65 - 88, 日本語
    研究論文(学術雑誌)

  • 大西 裕
    Both Hilary Rodham Clinton and Park Geun-hye conceded defeat in presidential party primaries and showed their willingness to cooperate with their respective competitors, Clinton is a good loser for President Obama while Park remains defiant by opposing President Lee. Why are there such significant differences between Clinton and Park in terms of the degree to which a loser in a presidential primary helps a winner in the campaign and, once elected, in the government? This study argues that loser's (dis-)consent is a reflection of party organization, and that it is dependent on the separation of powers and electoral cycles in a presidential regime. By examining Korean cases in detail, this study highlights the significance of timing in a loser's strategic consideration of actions for their next challenge as both presidential and legislative elections are non-concurrent and the interval between the two changes regularly in different presidencies.
    日本選挙学会, 2010年06月, 日本選挙学会年報 選挙研究, No.26-1、pp.53-66(1) (1), 53 - 66, 英語
    研究論文(学術雑誌)

  • 帝国の形成・解体と住民管理
    大西 裕
    2010年03月, 日韓歴史共同研究報告書, 第3分科会編, 日本語
    研究論文(学術雑誌)

  • 帝国の形成・解体と住民管理
    大西 裕
    2010年03月, 第2期 日韓歴史共同研究報告書[第3分科会], pp.389-433, 日本語
    研究論文(学術雑誌)

  • 「強い大統領」という韓国政治の幻影-国務総理任命過程の研究-
    大西 裕
    大阪市立大学, 2007年11月, 大阪市立大学法学雑誌, 54巻2号(2) (2), 961 - 981, 日本語
    研究論文(学術雑誌)

  • 地域研究と現代政治分析の間
    大西 裕
    木鐸社, 2007年04月, レヴァイアサン, 40号、pp.73-79(40) (40), 73 - 79, 日本語
    研究論文(学術雑誌)

  • 分裂の民主主義―地域主義政党制の低パフォーマンス―
    大西 裕
    新書館, 2005年11月, 現代韓国朝鮮研究, , 5, 12-21(5) (5), 12 - 21, 日本語
    [査読有り]
    研究論文(学術雑誌)

  • 省庁再編の日韓比較研究
    建林 正彦, 大西裕
    木鐸社, 1998年10月, レヴァイアサン, 23号、126頁-150頁(23) (23), 126 - 150, 日本語
    研究論文(学術雑誌)

■ MISC
  • コロナ禍と選挙管理
    大西裕
    2023年07月, Hem21 Opinion, (78) (78), 1 - 1, 日本語
    [招待有り]
    記事・総説・解説・論説等(大学・研究所紀要)

  • 有権者から見た日本の投票環境
    大西裕
    2022年02月, Voters, (66) (66), 3 - 3, 日本語

  • 春木育美著『韓国社会の現在 超少子化、貧困・孤立化、デジタル化』
    大西裕
    2022年02月, 現代韓国朝鮮研究, (21) (21), 42 - 44, 日本語
    [招待有り]

  • 感染症対策と防災研究
    大西裕
    2021年11月, Hem21 Opinion, (68) (68), 1 - 1, 日本語
    [招待有り]

  • 防災研究はパンデミックに有効か
    大西裕
    2020年11月, Hem21 Opinion, (62) (62), 2 - 2, 日本語
    その他

  • 災害時の混乱とメンタルモデル
    2019年11月, Hem21 Opinion, (56) (56), 1 - 1, 日本語
    記事・総説・解説・論説等(大学・研究所紀要)

  • 大阪の都市政治を分析する
    大西 裕
    大阪の都市政治を分析する特集の巻頭言
    木鐸社, 2016年10月, レヴァイアサン, (59号) (59号), 6 - 8, 日本語
    記事・総説・解説・論説等(学術雑誌)

  • 韓国選挙管理委員会の強さの意味
    大西 裕
    韓国の選挙管理委員会のあり方が選挙のあり方に大きな影響を与えていることを説明。
    日本貿易振興機構アジア経済研究所, 2016年09月, アジ研 ワールド・トレンド, No.251(2016年9月号) (2016年9月号), 4 - 5, 日本語
    [招待有り]
    速報,短報,研究ノート等(大学,研究機関紀要)

  • 国政反映しなかった韓国統一地方選 辛勝した朴政権の評価は先延ばし
    大西 裕
    毎日新聞社, 2014年07月, エコノミスト, 92(33) (33), 76 - 77, 日本語
    記事・総説・解説・論説等(商業誌、新聞、ウェブメディア)

  • <プロジェクト中間報告> 政治体制と政党-集団関係:日韓比較
    飯尾 潤, 大西 裕, 増山 幹高
    成蹊大学, 2005年07月, アジア太平洋研究, 29, 73 - 92, 日本語

  • 経済危機と通貨危機
    大西 裕
    大阪市立大学, 2001年08月, 大阪市立大學法學雜誌, 48(1) (1), 231 - 253, 日本語

  • 通貨危機までの韓国の金融行政
    大西 裕
    大阪市立大学, 2000年03月, 大阪市立大學法學雜誌, 46(4) (4), 497 - 526, 日本語

  • 韓国における信用配分の政治(2・完) : 朴正煕時代を中心に
    大西 裕
    大阪市立大学, 1997年02月, 大阪市立大學法學雜誌, 43(3) (3), 415 - 432, 日本語

  • 韓国における信用配分の政治(一)-朴正煕時代を中心に
    大西 裕
    大阪市立大学, 1996年03月, 大阪市立大學法學雜誌, 42(4) (4), 970 - 993, 日本語

  • 国家建設と住民把握(2・完) : 日本と韓国における住民把握制度形成過程の研究
    大西 裕
    大阪市立大学, 1994年01月, 大阪市立大學法學雜誌, 40(2) (2), 137 - 169, 日本語

  • 国家建設と住民把握(1) : 日本と韓国における住民把握制度形成過程の研究
    大西 裕
    大阪市立大学, 1993年11月, 大阪市立大學法學雜誌, 40(1) (1), 64 - 105, 日本語

■ 書籍等出版物
  • 選挙ガバナンスの実態 日本編-「公正・公平」を目指す制度運用とその課題-
    大西 裕
    編者(編著者), ミネルヴァ書房, 2018年03月, 日本語
    学術書

  • 選挙ガバナンスの実態 世界編-その多様性と「民主主義の質」への影響-
    大西 裕
    編者(編著者), ミネルヴァ書房, 2017年03月, 日本語, 民主政治の根幹をなす選挙は、果たして公正・中立におこなわれているのか。選挙制度が選挙結果に与える影響は既に多くの研究がなされているが、選挙実務そのものがいかなる影響を及ぼしているかを、国内外の実態調査から余すところなく解明する。本書では、世界各国の選挙ガバナンスの多様性を紹介し、選挙管理制度がなぜバリエーションに富み、いかなる選挙ガバナンスが選挙管理の質、民主主義の質に良好な影響を与えるのかを考察する。, ISBN: 9784623079438
    学術書

  • 政治学
    大西 裕
    共著, 有斐閣, 2017年, 日本語
    教科書・概説・概論

  • 検証・防災と復興③ 災害に立ち向かう自治体間連携 東日本大震災にみる協力的ガバナンスの実態
    大西 裕
    編者(編著者), ミネルヴァ書房, 2017年, 日本語
    学術書

  • 嫌韓問題の解き方-ステレオタイプを排して韓国を考える-
    小倉 紀蔵, 大西 裕, 樋口 直人
    共著, 朝日新聞出版, 2016年06月, 日本語, 韓国政治を、政党政治、大統領のリーダーシップ、市民社会の角度から解説。, ISBN: 9784022630476
    一般書・啓蒙書

  • FTA・TPPの政治学-貿易自由化と安全保障・社会保障-
    大矢根 聡, 大西 裕
    共編者(共編著者), 有斐閣, 2016年06月, 日本語, なぜ各国は高度な貿易自由化を追求するのか。その進め方に違いが見られるのはなぜか。アジア太平洋地域の主要国を取り上げ、経済的利益以外の要因にも留意して説明する。, ISBN: 9784641149151
    学術書

  • 日韓自治体間協力の展開-姉妹都市提携の戦略(韓国語)
    大西 裕
    その他, 歴史空間, 2015年12月
    学術書

  • 日韓自治体間協力の展開-姉妹都市提携の戦略
    大西 裕
    その他, 一般財団法人 東京大学出版会, 2015年06月, 日本語
    学術書

  • 先進国 韓国の憂鬱(韓国語)
    大西 裕
    単著, 図書出版イェムン, 2015年05月
    一般書・啓蒙書

  • 先進国・韓国の憂鬱 : 少子高齢化、経済格差、グローバル化
    大西 裕
    単著, 中央公論新社, 2014年04月, 日本語
    一般書・啓蒙書

  • 政党組織の政治学
    大西 裕
    共著, 東洋経済新報社, 2013年08月, 日本語
    学術書

  • 選挙管理の政治学 日本の選挙管理と「韓国モデル」の比較研究
    大西 裕
    共著, 有斐閣, 2013年02月, 日本語
    学術書

  • 自治体間連携の国際比較-市町村合併を超えて-
    大西 裕
    共著, ミネルヴァ書房, 2010年04月, 日本語
    学術書

  • アジアの政治経済・入門(改訂版)
    片山 裕, 大西 裕
    共編者(共編著者), 有斐閣, 2010年, 日本語
    教科書・概説・概論

  • 坪郷實編『比較・政治参加』
    大西 裕
    共著, ミネルヴァ書房, 2009年06月, 日本語
    学術書

  • 竹中千春・高橋伸夫・山本信人編『現代アジア研究 2 市民社会』
    大西 裕
    共著, アジア政経学会, 2008年12月, 日本語
    学術書

  • 伊藤光利編『政治的エグゼクティヴの比較研究』
    大西 裕
    共著, 早稲田大学出版部, 2008年10月, 日本語
    学術書

  • 新川敏光・大西裕編『日本・韓国』
    大西 裕
    共著, ミネルヴァ書房, 2008年09月, 日本語
    学術書

  • 教育の政治経済分析-日本・韓国における学校選択と教育財政の課題
    大西 裕
    共著, シーエーピー出版, 2007年11月, 日本語
    学術書

  • 韓日政治社会の比較分析
    大西 裕
    共著, アヨン出版部, 2007年11月
    学術書

  • 服部民夫・張達重編『日韓政治社会の比較分析』【分担執筆】
    大西 裕
    共著, 慶應義塾大学出版会, 2006年12月, 日本語
    学術書

  • アジアの政治経済・入門
    片山 裕, 大西 裕
    共著, 有斐閣, 2006年12月, 日本語
    教科書・概説・概論

  • 村松岐夫・久米郁男編『日本政治変動の30年-政治家・官僚・団体調査に見る構造変容-』【分担執筆】
    大西 裕
    共著, 東洋経済新報社, 2006年09月, 日本語
    学術書

  • 恒川恵市編『民主主義アイデンティティ-新興デモクラシーの形成-』【分担執筆】
    大西 裕
    共著, 早稲田大学出版部, 2006年04月, 日本語
    学術書

  • 韓国経済の政治分析 (総頁数287頁+6)
    大西 裕
    単著, 有斐閣, 2005年09月, 日本語
    学術書

  • Jiro OKAMOTO ed.,Trade Liberalization and APEC pp.156-176
    大西 裕
    共著, Routledge, 2004年05月, 英語
    学術書

  • 辻中豊・廉載鎬編著『第Ⅱ巻 現代韓国の市民社会・利益団体:日韓比較による体制移行の研究』 pp.216-242, pp.392-411
    大西 裕
    共著, 木鐸社, 2004年04月, 日本語
    学術書

  • 新版 比較・選挙政治 pp.173-220
    大西 裕
    共著, ミネルヴァ書房, 2004年03月, 日本語
    教科書・概説・概論

■ 講演・口頭発表等
  • 新型コロナ禍と選挙管理ー第3次全国市区町村選挙管理委員会事務局調査よりー
    大西裕, 品田裕, 重村壮平, 堤英敬
    公共選択学会 2023年度研究大会共通論題「新型コロナ禍と政治・行政の変化」, 2023年12月, 日本語
    [招待有り]
    口頭発表(招待・特別)

  • 大統領制の制度化と行政組織編成の関係-韓日比較より-
    大西 裕
    日本行政学会, 2017年05月, 日本語, 関西大学高槻ミューズキャンパス, 国内会議
    [招待有り]
    口頭発表(招待・特別)

  • 韓国におけるシルバーデモクラシーの可能性
    大西 裕
    第17回研究大会, 2016年11月, 日本語, 現代韓国朝鮮学会, 京都大学, 福祉政治に少子高齢化が与える影響を、韓国の地方自治体単位に検討した文献レビューをおこなった。, 国内会議
    口頭発表(一般)

  • 新しい政官関係モデルの検討-選挙管理委員会を素材にして-
    大西 裕
    関西公共政策研究会, 2015年01月, 日本語, 京都大学, 国内会議
    口頭発表(一般)

  • 地方分権化の逆説?-規制行政機関としての選挙管理委員会
    大西 裕
    先端行政学研究会, 2014年10月, 日本語, 東京大学, 国内会議
    口頭発表(一般)

  • 社会保障をめぐる韓国政治の変容
    大西 裕
    関西政治史研究会, 2014年09月, 日本語, 神戸大学, 国内会議
    口頭発表(一般)

  • 福祉政策を通じてみる韓国政治の変容
    大西 裕
    現代韓国研究センター 定例セミナー, 2014年07月, 日本語, 慶應義塾大学, 国内会議
    [招待有り]
    口頭発表(招待・特別)

  • 選挙管理委員会と積極的投票権保障 -全国市区町村選挙管理委員会事務局調査より-
    大西 裕
    日本選挙学会2014年度研究会, 2014年05月, 日本語, 早稲田大学, 国内会議
    [招待有り]
    口頭発表(招待・特別)

  • 萎縮した社会民主主義-韓国福祉国家の市民社会的基盤
    大西 裕
    日本政治学会2013年度研究大会, 2013年09月, 日本語, 日本政治学会, 北海学園大学, 国内会議
    口頭発表(一般)

  • 韓国における市場志向的政党組織改革のゆくえ
    大西 裕
    日本比較政治学会 第15回大会, 2012年06月, 日本語, 日本比較政治学会, 日本大学, 国内会議
    口頭発表(一般)

  • 選挙管理の多様性
    大西 裕
    日本選挙学会 2012年度研究会, 2012年05月, 日本語, 日本選挙学会, 筑波大学, 国内会議
    口頭発表(一般)

  • 新自由主義リベラリズムから開発主義へ?:世界金融危機への韓国の対応
    大西 裕
    日本政治学会2009年度研究大会, 2009年10月, 日本語, 日本大学, 国内会議
    口頭発表(一般)

  • 日本における韓国研究の動向と課題:危機に立つ日本の韓国研究
    大西 裕
    韓国政治学会2009年度世界大会, 2009年08月, 日本語, KOEX, Seoul, Korea, 国際会議
    口頭発表(一般)

  • 李明博政府の誕生と政党政治:大統領制における政府形成に対するゲーム理論的分析
    大西 裕
    日本政治学会研究大会, 2008年10月, 日本語, 関西学院大学, 国内会議
    ポスター発表

  • 提携と同盟の違い:韓国の政権交替と対外政策の非転換
    大西 裕
    日本国際政治学会, 2008年10月, 日本語, 筑波大学, 国内会議
    口頭発表(一般)

  • 李明博政府の誕生と政党政治-大統領制における政府形成に関するゲーム理論的分析
    大西 裕
    第4回世界韓国学大会, 2008年09月, ソウル・ウォーカーヒルホテル, 国際会議
    口頭発表(一般)

  • 世論調査に見る政治意識と地域主義
    大西 裕
    現代韓国朝鮮学会 共通論題「大統領選挙と韓国政治」, 2007年11月, 日本語, 現代韓国朝鮮学会, 慶應義塾大学, 国内会議
    その他

  • アジアの民主主義と民主体制支持
    大西 裕
    日本政治学会 分科会「世論調査データで読むアジア・アフリカ・ラテンアメリカの民主化と民主主義」, 2007年10月, 日本語, 日本政治学会, 明治学院大学, 国内会議
    その他

  • 韓国の選挙政治
    大西 裕
    外務省研究会, 2007年08月, 日本語, 外務省研究会, 外務省, 国内会議
    その他

  • 韓国研究の常識と政治学の常識の間:『韓国経済の政治分析』より
    大西 裕
    東南アジア学会関西地区例会, 2006年10月, 日本語, 東南アジア学会関西地区例会, 京都大学, 国際会議
    その他

  • 韓国の民主化と民主政治の持続について
    大西 裕
    早稲田大学COE‐CAS「中国の政治変容―民主化の比較政治」部会, 2006年07月, 日本語, 早稲田大学COE‐CAS「中国の政治変容―民主化の比較政治」部会, 早稲田大学, 国内会議
    その他

■ 所属学協会
  • 日本選挙学会

  • 現代韓国朝鮮学会

  • 公共政策学会

  • 比較政治学会

  • 日本行政学会

  • 日本政治学会

■ 共同研究・競争的資金等の研究課題
  • 無投票当選が政治家や有権者を通じ選挙アカウンタビリティに与える影響
    品田 裕, 大西 裕, 藤村 直史, 砂原 庸介, 鹿毛 利枝子, 濱本 真輔, 朴 志善
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 基盤研究(B), 神戸大学, 2024年04月01日 - 2028年03月31日

  • ポストコロナ社会に向けた危機管理の研究:パンデミック対策への防災研究適用の検討
    大西 裕, 牧 紀男, 廣井 悠, 大津山 堅介, 手塚 洋輔
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 挑戦的研究(萌芽), 神戸大学, 2024年06月28日 - 2027年03月31日

  • 日韓関係における1965年体制の再検討―日韓請求権協定の解釈論―
    金 恩貞, 萬歳 寛之, 玉田 大, 大西 裕
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 基盤研究(C), 公益財団法人ひょうご震災記念21世紀研究機構, 2024年04月01日 - 2027年03月31日

  • 多機関連携としての選挙ガバナンスの研究
    大西 裕, 品田 裕, 堤 英敬, 磯崎 典世, 岡本 次郎, 青木 栄一
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 基盤研究(B), 神戸大学, 2023年04月 - 2027年03月, 研究代表者

  • 日本とアジアの市民社会と都市ガバナンスの比較実証・公共政策研究
    辻中 豊, 小嶋 華津子, 首藤 もと子, 唐 亮, 山本 英弘, 曽我 謙悟, 森 裕城, タック川崎 レスリー, 崔 宰英, 大西 裕, 中溝 和弥, 青尾 謙
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 基盤研究(A), 2020年04月01日 - 2025年03月31日
    コロナ禍のために、当初予定した都市への事例調査や海外への研究者派遣、招聘が不可能になり、在宅勤務で可能なデータ整備(特に既遂の15カ国8万件の団体等データを都市ガバナンス分析用に再編成する作業等)、コードブック・報告書作成(タイ、中国、日本、台湾、韓国等のweb意識調査、タイ、アメリカ、中国の団体調査、また相互に比較可能な形へ統合したデータ)し、それらに基づく分析を進めた。特に、日本に関しては、比較分析を進め、理論的な検討を総括し公刊した(辻中豊・山本英弘編『現代日本の比較都市ガバナンス・市民社会』木鐸社、2021年1月)。また日本の市民社会とソーシャルキャピタルに関して、基本的なレファレンスとなる研究を発表した(Yutaka TSUJINAKA “Civil Society and Social Capital in Japan,” International Encyclopedia of Civil Society 2nd , Springer Nature, June 2020.これらをもとに各自の関連研究との接合に努めた。データ資料はつくばリポジトリ(筑波大学)等で公開した。 コロナ禍における調査の代替的な方法として日本13都市(盛岡市、宮古市、水戸市、笠間市、つくば市、東京都:杉並区・練馬区、厚木市、新発田市、伊那市、高山市、高松市、延岡市)でインターネットwebモニター調査を実施し、コロナ禍前後での都市ガバナンス・市民意識の変化の分析を開始した。この13都市に関しては、自治体調査、自治会調査、一部社会団体調査を実施済みであり、このweb意識調査と有機的に関連付けて分析中である。また上述した、15カ国団体データを都市ガバナンス分析用に再編成したデータベースを整備し、それを用いた、世界・日本、都市ガバナンス市民社会比較研究の基礎作業を開始している。

  • 組織の行動行政学:構造、タスク、構成員がパフォーマンスに与える効果の官民比較実験
    荒井 紀一郎, 肥前 洋一, 稲増 一憲, 森川 想, 河合 晃一, 関 智弘, 大西 裕, 三橋 平
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 基盤研究(B), 中央大学, 2021年04月01日 - 2024年03月31日
    本研究の目的は、行政組織のパフォーマンスが向上する条件とそのメカニズムについて、組織構造、タスク、そして構成員間におけるコミュニケーションに着目して解明することにある。研究期間初年度である2021年度は、実験デザインの設計と設計の妥当性を確認するための学生を被験者としたプレ実験を実施することを計画していた。しかしながら、covid-19による移動制限や実験施設の利用制限の影響を受け、チームが所属する各機関で学生を被験者とした実験を実施することは極めて難しくなり、インターネットを活用して実際の公務員を対象とした実験を実施することとした。 この実験では、インターネットを介して公務員をフラット型組織と階層型組織とに無作為に割り当て、さらに各組織内における役割(課長、係長、係員)についても無作為に割り当てた上で、一定の予算制約の下で取り組むべき事業の優先順位をつけるというタスクを課してそのパフォーマンスを測定した。実験の結果、階層型組織の係員はフラット型組織の係員よりも多くの事業について優先順位を高くつける傾向にあり、その分、中間管理職である係長が絞り込んだ上で課長に案をあげていることが明らかになった。最終的なパフォーマンス自体についてはフラット型組織と階層型組織との間に大きな差は生まれないものの、上述の理由からフラット型組織のトップである課長の負担は階層型組織の課長の負担よりも大きくなっていることが示された。これらの結果の一部は、世界政治学会(International Political Science Association)のWorld Congressにて報告された。

  • 小選挙区比例代表並立制が政党・議員・有権者に与えた影響に関する実証的研究
    品田 裕, 大西 裕, 砂原 庸介, 藤村 直史, 鹿毛 利枝子, 濱本 真輔, 平野 淳一, 重村 壮平
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 基盤研究(B), 神戸大学, 2020年04月01日 - 2024年03月31日
    本研究の目的は、「小選挙区比例代表並立制が政治的帰結に与える影響」を明らかにすることである。具体的には、政治過程の重大な要素である①政党システム、②政党組織、③議員行動、④有権者の4つを検討する。2021年度は、初年度(2020年度)に引き続き、先行研究を整理し理論面で仮説構築を行うととともに、2022年度以降の実証分析に備え、各種のデータを集め、試験的分析を行うなどの準備に注力した。 理論構築に関しては、21年度は今後の実証分析に念頭に、①政党システム、②政党組織、③議員行動、④有権者のテーマごとに、各研究者が鋭意、研究を進めた。残念ながら、対面形式による研究会は行えなかったが、オンラインで個々の研究間の調整と相互理解に努めた。 計画前半には、データの収集加工も重要な作業である。具体的には、基礎的な各種選挙(特に秋に行われた衆議院総選挙)に関するアグリデータや選挙公約などのテキストデータの収集加工を精力的に進めた。また、サーベイデータによる実験に備え、試験的な調査を含めた検討を行った。 実証分析については、並立制独自の効果を分析するために、以下の分析を行うべく準備を進めている。①政党システムに関しては、小選挙区の候補擁立によって比例代表の得票を増やそうとするなど、比例区の存在が小選挙区での野党の断片化を招くこと、②政党組織に関しては、比例復活の当選を狙う候補者が惜敗率による復活当選を狙って党の政策位置から逸脱した政策位置を取ろうとして政党の集権化が阻害されること、③議員活動に関しては、復活当選により複数の現職議員が同一選挙区内に存在すると利益誘導をより強調しようとして個人集票活動に力をいれること、④有権者の投票行動に関しては、支持候補の比例復活についての認識が、有権者が二票を行使する際の戦略的行動と関連することである。

  • 選挙ガバナンスが正確な投票(CorrectVoting)に与える影響に関する研究
    大西 裕, 品田 裕, 秦 正樹, 堤 英敬, 高橋 百合子, 川中 豪, 飯田 健, 小林 哲郎, SONG JAEHYUN, 荒井 紀一郎, 藤村 直史
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(A), 基盤研究(A), 神戸大学, 2019年04月 - 2023年03月
    本研究は、選挙ガバナンスが「正確な投票(correct voting)」に如何なる影響を与えているのかを明らかにすることを目的とする。本研究は、選挙ガバナンスのうち近年世界的に進展している積極的投票権保障が、選挙において有権者の選好に最も近似する政党に投票することを意味する「正確な投票」に影響を与える条件とメカニズムを、実験およびサーベイ調査を用いて解明する。条件は多国間比較で、メカニズムは日本を事例に明らかにする。すなわち、積極的投票権保障のうち、本研究では、投票環境の改善(A)、情報アクセス改善(B)と、有権者教育(C)を対象とする。後者では、ABCの3要素がどのように正確な投票に影響するのかを日本を対象に明らかにする。前者では、党派的キューの有効性の差異がこれら3要素の投票行動への作用に違いをもたらすのかを、党派的キューの有効性に多様性が生じる多国間比較で明らかにする。研究成果は国内外の学会および海外の主要査読誌で報告し、得られた知見の国際的な有用性を主張する。 令和3年度は、第1に、前年度に実施した「正確な投票」に関するサーベイ実験結果を分析し、概念の妥当性を検証し、多国間で適用可能なモデルを検討した。第2に、選挙ガバナンスが「正確な投票」に与える影響について、情報環境に注目した実証分析を行う。そのために、衆議院選挙サーベイ調査を実施したほか、投票環境に関するアンケート調査、主権者教育を軸とする若年層に対する意識調査、若年層に対比させる目的を有する一般有権者意識調査も実施した。第3に、前年度予算で実施する全国市区町村選挙管理委員会事務局アンケート調査を分析した。第4に、第1での検討を基盤として、前年度予算で実施したメキシコ有権者調査を分析し、多国間比較に向けた準備を行った。

  • 実験アプローチによる行政組織の研究
    大西 裕, 森川 想, 河合 晃一, 関 智弘, 荒井 紀一郎
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽), 挑戦的研究(萌芽), 神戸大学, 2018年06月 - 2021年03月
    本研究の目的は、行政組織改革の帰結を、実験アプローチを用いて説明することにある。行政組織改革の直接の帰結である、構成員の意思決定・行動や組織パフォーマンスの変化は、行政学の核心的テーマであるにも拘らず未解明である。本研究は、実験アプローチを行政学に適用し、上記テーマへの回答を与える。加えて、行政学の知見を加味することで、階統的構造を持った集団を対象とする新たな実験設計を提案する。 本研究で検証を予定する行政組織の改革事例は、2000年代以降、自治体で相次いで導入されている組織のフラット化である。組織のフラット化とは、組織階層の簡素化で不要な中間管理職を廃止し、組織の意思決定を迅速化する取り組みであるが、その効果をめぐっては議論が分かれている。本研究では、組織のフラット化が部下へのコントロールを弱めるという点に注目し、フラット化の成否を分ける条件を解明する。 そのために、本研究は実験室実験とそれを補完するための聞き取り調査を行う。実験室実験では、被験者数名を1 グループとし、階統的な組織とフラット組織の結果を比較する。上司と部下の選好の一致度と部下の能力を組み合わせて実験の条件を変化させる点が本実験のポイントである。平成30年度には実験設計し、神戸大学にてプレテストを行った。実験設計過程で、当初予定していたパソコンを用意しての実験より、ネットアプリを活用して実験を行うことが可能でかつ効率的であり、被験者数を飛躍的に増やせることが分かったため、計画を一部変更しネットアプリを用いたプレテストを金沢大学、早稲田大学で行った。

  • 日本とアジアにおけるローカルガバナンス(国家・市民社会関係)の比較実証研究
    辻中 豊, 小嶋 華津子, 重冨 真一, 唐 亮, 山本 英弘, 曽我 謙悟, 森 裕城, 崔 宰英, 大西 裕, 中溝 和弥
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(A), 基盤研究(A), 2016年04月 - 2021年03月

    今年度の成果としては、計画されていた日本の地方政府と比較するための海外でのローカルガバナンス調査(具体的には関係アクター調査、社会団体、近隣住民団体、地方政府などへのサーベイ調査)が中国ならびにタイでの政治的環境の悪化から、実施を次年度に伸ばし、それらに替えて、市民へのweb調査を中国での3地域(北京、重慶、浙江)、韓国ソウル市、台湾台北市で行った。これはすでに行った日本13都市でのweb調査に対比可能なものである。また中国側協力研究者たちがローカルガバナンス調査の方法、意義をより理解を深めていただくため、6名を招聘し共同研究会を開催するとともに日本の関係機関(関東地域)への実地調査を行った。 共同研究の中間成果は『第四次 団体の基礎構造に関する調査(日本・社会団体調査)報告書』(筑波大学)228ページとして2019年3月にまとめた。調査の概要から社会過程の分析6論文、政治過程の分析3論文、国際比較分析1論文を含む。その他の日本調査のコードブックの編集も進め、次年度前半に刊行予定である。 そのほか、各分担研究者は、学術論文のほか、例えば 曽我謙悟.2019.『日本の地方政府』〈中公新書2537〉中央公論新社、大西裕(編)2018『選挙ガバナンスの実態 日本編』ミネルヴァ書房、として出版し、また辻中豊・山内直人編2019『ソーシャル・キャピタルと市民社会・政治:幸福・信頼を高めるガバナンスの構築は可能か』(出版は次年度)などを著述編集した。

  • 中央・地方の選挙制度が政党システムの制度化に与える影響-日・韓・台の比較分析-
    品田 裕, 大西 裕, 砂原 庸介, 濱本 真輔, 松本 充豊, 平野 淳一
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(B), 基盤研究(B), 神戸大学, 2016年04月 - 2020年03月
    国政レベルでは小選挙区比例代表並立制という同じ選挙制度を採用している日本・韓国・台湾の3カ国は、安定した二党制(台湾)・一党優位(日本)・新党乱立(韓国)を特徴とする政党システムとなっている。これは、単に政党間競争のパターンが異なるだけではなく、政党と社会の関係や政党組織のあり方といった「政党システムの制度化」の度合いが違うことを意味すると考えられる。本研究では、このような違いについて、研究メンバーが日本の政党組織を研究してきた経験を踏まえて、各国の政党の地方的基盤とその違いを生み出す選挙制度や選挙のタイミングに注目しながら説明することを目的とする。 本年度は、「政党システムの制度化」についての理論的な検討を進めると共に、分担者が手分けしつつ、日本・韓国・台湾について、文献研究と同時に、政党関係者・事務担当者(選挙管理、議会、地方自治など)への調査を行い、政党の地方組織やそれに大きな影響を与える地方議会の選挙制度や選挙のタイミングに注目しつつ、政党システム等の分析を進めた。 研究体制としては、研究代表者である品田の総括の下、理論・データ収集・各国分析について主担当者をおいた。「政党システム」に関する理論については砂原、フィールドとなる日本・韓国・台湾については、それぞれ濱本、大西、松本を主担当として計画を実施した。調査で得られた資料・データは、品田のコーディネートの下、平野が中心となり整理・加工等を行った。 本年度に、研究会やメンバー各自が行った政党システムや地方政治に関する研究は相当に幅広く、また調査分析の全ての成果が出るには至っていないが、知見を本プロジェクトの中心的概念である「政党システムの制度化」という概念で整理し、それぞれの国における政党システムが置かれた環境や制度化の要因について分析を進めることができた。

  • 行政学説史の研究
    縣 公一郎, 牧原 出, 出雲 明子, 松田 憲忠, 大山 耕輔, 伊藤 正次, 山谷 清志, 大西 裕, 稲継 裕昭
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(B), 基盤研究(B), 早稲田大学, 2016年04月 - 2019年03月
    2017年度における簡易冊子発行に続いて、18年度は、森田東京大学名誉教授、新藤千葉大学教授、及び橋本関西学院大学名誉教授のオーラルヒストリー、そして佐藤成蹊大学名誉教授からの書面回答、更には、韓国・ソウル市立大学権教授、及びオーストラリア・メルボルン大学O'Flynn教授のご講演成果を、簡易冊子合計272頁として印刷・製本し、メンバー間で共有した。 そして、オーラルヒストリー研究として、水谷首都大学東京名誉教授、及び村松京都大学名誉教授からヒアリングを行い、本研究における国内ヒアリングの予定は、以上を以て完結した。その結果、16年度から継続してきたオーラルヒストリー成果は、合計10名の先達からのヒアリング結果として原稿完成したため、これら10名の方々のオーラルヒストリーを刊行すべく、商業出版社と交渉の結果、特定の出版社から出版契約の内諾を得た。よって、19年度において、具体的に出版に向けた準備を進めることとしたい。 加えて、海外の行政学研究成果の検討として、ドイツからWerner Jannポツダム大学教授、及びイギリスからAndrew Massey教授を招聘し、それぞれ、"History of the Ideas and Thoughts of Public Administration in Germany"、そして"The Historical background to Public Administration in England and the United Kingdom"と題した講演を伺った。これらの講演成果は、既に英語原稿としてご本人の最終校閲を経て、完成している。従って、海外オーラルヒストリー成果は、既に、韓豪独英四か国分を集成したこととなる。これらと、メンバー個々が執筆を進めている研究成果を糾合し、更なる出版に漕ぎ着けたい。

  • 積極的投票権保障の展開と効果に関する研究
    大西 裕, 品田 裕, 中井 遼, 藤村 直史, 西山 隆行, 高橋 百合子, 川中 豪, 飯田 健, 曽我 謙悟, 河村 和徳, 伊藤 武, 稲継 裕昭, 松本 俊太
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(A), 基盤研究(A), 神戸大学, 2015年04月 - 2019年03月
    現在世界各国で電子投票、在外投票、期日前投票など有権者の投票権行使を積極的に保障する改革(積極的投票権保障、SVRs)が進められてるが、本研究は、その導入の条件、選挙管理機関に与える負荷や変化、有権者の投票行動に与える影響を調査、分析するものである。その分析のために、本研究は制度形成パート、有権者・政治家パート、制度効果パートの3つに分かれて調査を進めてきている。制度形成パートは国際班が担当し、有権者・政治家パートと制度効果パートは国内班が担当した。 制度形成パート:これまでの検討に基づき、選挙管理制度変更の原因とその効果について、各国・地域単位で検討を進めた。うち、東南アジア、東欧、アメリカ、イタリアについては論文を完成させ、政治学会年報に掲載した。また、在外投票と投票不正の関係について、在米メキシコ人に対する調査をおこない、現在英文査読誌に投稿中である。 有権者・政治家パート: 平成28年度におこなった全国市区町村選管調査の結果と、平成29年度におこなった有権者を対象としたアンケート調査の結果を分析し、その成果の一部を政治学会年報に掲載した。選管調査の結果は現在選挙時報に連載中である。まだ未分析のアクターである政治家に対しては、都道府県議会議員に対する全国調査をおこない、分析をおこなっている。 制度効果パート:平成28年度、参議院選挙時におこなったインターネット選挙のデータの分析結果を論文にし、政治学会年報に掲載した。期日前投票をおこなった有権者の方が当日投票をおこなった有権者より選挙後後悔が大きいことがわかり、選挙ガバナンスのあり方が投票結果に影響を与えていることが示された。

  • 大規模災害時における復旧・復興支援ガバナンスの比較研究
    室崎 益輝, 大西 裕, 河田 恵昭, 鶴谷 将彦, 待鳥 聡史, 曽我 謙悟, 梶原 晶, 永松 伸吾, 善教 将大, 北村 亘, 砂原 庸介
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(B), 基盤研究(B), 公益財団法人ひょうご震災記念21世紀研究機構, 2013年04月 - 2016年03月
    本研究は,大規模災害時における復旧復興ガバナンスとしてのペアリング支援の可能性について,東日本大震災時に関西広域連合が行ったカウンターパート方式を事例に,姉妹都市提携など別の支援枠組みとの比較および国際比較を行うことで明らかにした.ペアリング支援とは,被災地自治体を一対一で応援自治体が支援する方式である. 知見としてはまず,カウンターパート方式による関西広域連合の支援は,被災自治体ごとに固有の条件を考慮したきめ細かで長期的な支援体制を可能にした,ただし一方で,諸外国と比較すると支援に関する国からの関与が弱く,今後は緊急時における権限の在り方について再検討が必要であることも明らかとなった.

  • 都道府県議会選挙区改定の総合的研究-その原因と影響の解明-
    品田 裕, 大西 裕, 山田 真裕, 河村 和徳, 堤 英敬, 砂原 庸介, 濱本 真輔, 藤村 直史, 増山 幹高, 曽我 謙悟
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(B), 基盤研究(B), 神戸大学, 2013年04月 - 2016年03月
    本研究は、都道府県議会の実証的な比較分析を通じ、近年の選挙区割りの改正が進展する場合の実態と理由および、選挙区割り改正に有権者あるいは議員が与える影響を検討し、選挙区割り改正の原因と影響を明らかにしようとする。分析は、現時点では終了していないが、有権者が全体的に定数削減を支持する一方、議会内の野党議席率などの政治的要因が影響していることがわかった。また、事例の研究からは、選挙区の定数と各党の支持率や政党間連合のあり方が、政治的要因の作用の仕方に影響していると考えられる。

  • グローバル化をめぐる国内政治過程の分析:計量分析から事例分析へ
    久米 郁男, 北山 俊哉, 大西 裕, 直井 恵
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(B), 基盤研究(B), 早稲田大学, 2012年04月 - 2016年03月
    本研究は、グローバル化、とりわけ自由貿易がどのような国内政治的反応を生み出しているのかを、計量分析と事例分析による過程追跡の手法を結合することで実証的かつ総合的に解明することを目指した。そこでは、自由貿易協定の締結で日本に先行する韓国との比較及び日本国内における中央と地方でのTPPをめぐる政治過程の比較を事例分析的に検証する一方、そこでの知見をサーベイ調査と国会議員候補者調査を利用して自由貿易がもたらす「雇用不安」と「消費者利益」そして、自由貿易協定をめぐって論じられる外交戦略、とりわけ「安全保障」という要因が、貿易をめぐる政治過程に影響を与えることを実証し、そのメカニズムを解明した。

  • 1997-98年経済危機以後の東アジア諸国ポリティカル・エコノミーの比較研究
    恒川 惠市, 大西 裕, 三宅 康之, 松本 充豊, 河野 元子, 岡部 恭宜
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(B), 基盤研究(B), 政策研究大学院大学, 2012年04月 - 2015年03月
    日本を除く東アジア諸国がアジア経済危機以後V字型の経済回復を遂げ、さらなる成長を続けることができたのは、貿易の自由化、技術イノベーション能力の向上、労働市場改革などの努力を行った結果であるが、これらの改革は市場の中で自動的に進んだわけではなく、大企業、中小企業、農民、労働者、市場弱者らの間での利害調整が政治的に行われたことによる。政治的調整の内容や効果は、各国の政治制度や政府・社会関係によって異なっているが、貿易自由化・労働市場改革と社会福祉制度拡充との間に、あるいは企業の収益率確保と国民経済の技術イノベーション能力向上との間にトレードオフの関係があるために、政治的調整は困難になりつつある。

  • 選挙ガバナンスの比較研究
    大西 裕, 品田 裕, 曽我 謙悟, 藤村 直史, 高橋 百合子, 稲継 裕昭, 遠藤 貢, 川中 豪, 浅羽 祐樹, 河村 和徳, 仙石 学, 福島 淑彦, 玉井 亮子, 建林 正彦, 松本 俊太, 湯淺 墾道
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(A), 基盤研究(A), 神戸大学, 2011年04月 - 2015年03月
    本研究は、選挙ガバナンスが民主政治に与える影響を、比較政治学的に解明しようとするものである。本研究は、国際比較と日本国内の自治体間比較を通じて、選挙管理という研究上の大きな空白を埋める。 調査結果、常識的見解と異なる二つのことが明らかになった。第1に、選挙の公平性、公正性は、国際的に推奨される選挙管理機関の独立性のみでは達成できず、より複雑な扱いが必要である。第2に、日本では選挙管理委員会の業務は画一的で公平、校正であると考えられてきたが、委員会や事務局の構成のあり方によって大きく左右される。それゆえ、市区町村によってバリエーションが発生している。

  • 政治構造変動と圧力団体、政策ネットワーク、市民社会の変容に関する比較実証研究
    辻中 豊, 坪郷 實, 大西 裕, 竹中 佳彦, 森 裕城, 小嶋 華津子, 坂本 治也, 近藤 康史, 山本 英弘, 崔 宰英, 濱本 真輔, 柳 至, 久保 慶明
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(S), 基盤研究(S), 筑波大学, 2010年04月 - 2015年03月
    圧力団体、社会団体、政策ネットワーク、有権者等調査によって以下を検証。現代日本では、若年よりも老年世代が、非生産よりも生産セクターがより組織化され、国際比較的にみた特徴をなす。また戦後形成の古い団体が頑強であり、新興団体の利益表出は限定的で、団体世界は縮小している。この状況下で起きた2009年政権交代は、政治過程における団体行動によるものであると考えることは難しい。むしろ頂上レベルでは、団体行動は政権交代を受けて変化した。市民社会は政治変動に応じて変化しやすく、2009年政権交代の影響は頂上レベルを中心とした限定的なものであったことを示唆している。地球環境政策ネットワークもほぼ変化がない。

  • 地方分権改革の多国間比較-反対政策と自己防衛政策の視点から
    真渕 勝, 北村 亘, 上川 龍之進, 南 京兌, 秋月 謙吾, 大西 裕
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 挑戦的萌芽研究, 京都大学, 2012年04月01日 - 2014年03月31日
    なぜ中央政府は自らの権力を弱めるような改革、すなわち、政治的分権を行い権限と財源を地方政府に移譲するのか。どのような条件下で地方分権を推進するのか。分権のタイミングとスピードは何によって決まるのか。 本研究は上記の問いを発し、韓国やラテンアメリカの諸外国の地方分権政策を事例として取り上げ、地方分権政策のタイミングやスピードおよびその程度は、政権与党が取引費用を計算して行った合理的な戦略であったことを明らかにした。

  • 公共政策の分析手法
    真渕 勝, 上川 龍之進, 南 京兌, 原田 久, 稲継 裕昭, 北山 俊哉, 笠 京子, 大西 裕
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 基盤研究(B), 京都大学, 2010年 - 2012年
    公共政策を時間について経済学における収穫逓増論による正のフィードバックに基づく理論研究と事例研究、過誤回避については生活保護などの事例研究、情報についてはインテリジェンス論などの観点から分析する手法を暫定的に開発した。

  • 政権交代期における選挙区政治の変容に関する実証的研究
    品田 裕, 大西 裕, 曽我 謙悟, 藤村 直史, 山田 真裕, 河村 和徳, 高安 健将, 今井 亮佑, 砂原 庸介, 濱本 真輔, 増山 幹高, 堤 英敬, 平野 淳一
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(B), 基盤研究(B), 神戸大学, 2010年 - 2012年
    本研究は、国会議員を主とする政治家と有権者の関係、あるいは政治家同士の関係がどのように変容しつつあるのかを調査し、その変化の要因を実証的に解明することを目的として開始された。その結果、本研究では、選挙区レベルの詳細な観察・データを基に、実証的に現代日本の選挙政治の変容を明らかにすることができた。取り上げた研究対象は、集票活動・有権者と政治家の関係・政治家同士の関係・議員活動・政治家のキャリアパス・政党下部組織など、多岐にわたった。これらの分析から得られた成果を基礎に、さらに、国会のあり方や選挙制度にまで分析を進めることができ、現代日本の選挙政治理解に一定の貢献を果たすことができた。

  • 政権移行の米韓比較研究
    大西 裕
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究, 挑戦的萌芽研究, 神戸大学, 2010年 - 2011年
    本研究では、アメリカを参照事例に韓国における政権移行の過程を調査・分析した。分かったことは以下の2点である。第1に、同じく大統領制を採用していても、政権移行のパフォーマンスは米韓で大きく異なる。その差異には官僚制のあり方が関係している。猟官制をとり交代時に官僚が入れ替わるアメリカとそうではない韓国とでは、政権運営に関する「制度記憶」の継承に大きな違いが生じる。第2に、政権移行チームの存在が円滑な移行を阻害しうる。移行チームは本来円滑な移行を目的とする。政権移行チームは、本来、政権移行期の混乱を最小限にするために設けられるものであり、猟官制をとるアメリカにおいては政権交代に伴う制度記憶喪失を補完する装置であった。しかし、同様の装置を、制度的文脈が異なる韓国に置くと、逆に制度記憶の継承を阻害するよう機能してしまうことがある。

  • 現代民主政治と政党組織の変容に関する研究
    建林 正彦, 村松 岐夫, 森本 哲郎, 品田 裕, 網谷 龍介, 曽我 謙悟, 浅羽 祐樹, 大西 裕, 伊藤 武, 西澤 由隆, 野中 尚人, 砂原 庸介, 堤 英敬, 森 道哉, 藤村 直史, 待鳥 聡史
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(A), 基盤研究(A), 2009年 - 2011年
    本研究では、現代の民主主義における政党組織の共通性と各国固有の特徴とその規定要員を明らかにするために、日本の民主党、自由民主党の政党本部、各地の地方組織(都道府県連合会)に対する聞き取り調査と、都道府県議会議員に対するアンケート調査を行い、これらの情報・データをもとに国内比較、国際比較の観点を加えつつ、研究会を積み重ねながら様々な分析を行った。

  • 政治構造変動と圧力団体、政策ネットワーク、市民社会の変容に関する比較実証研究
    辻中 豊, 森 裕城, 坪郷 實, 大西 裕, 小嶋 華津子, 坂本 治也
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(A), 基盤研究(A), 筑波大学, 2010年 - 2010年
    本研究は、日本における政権変動、政策パラダイムの変化といった一連の政治変動が、どのような衝撃を、政策過程や市民社会に与えるかを、複数レベルの調査を行い検証しようとする。 政治構造が実質的に変化したとすれば、最初に中央政府や政党と緊密な関係を有し利益の確保に努力する圧力団体の態度に変容が生じ、それとともにアクター間の政策ネットワークが変容し、さらに分権改革とともに地方政府や草の根の市民社会に波及すると予想される。本研究は順次、圧力団体、政策ネットワーク、地方政府・市民社会を体系的に調査し、圧力団体、政策ネットワーク、市民社会の3レベルから日本政治の構造変動と政治・社会関係の変容を比較政治的に解明することを目的とする。これまでの仮説と予測される結果から、意義を述べると、1)3次の圧力団体調査からは、政党の勢力配置など政治変動の社会への主導性、つまり政権政党交代の大きなインパクトが示唆されている。2)政策ネットワーク調査からは、自民党優位体制下で比較政治的にみた日本のアクター関係の「少数固定性」が顕著であったが、2009年以後の新体制において、アクターのシフト、流動化が予想される。ネットワーク形も労働やNPOセクターへの拡大など構造変化も予測される。3)市民社会組織・地方政府調査から、それがどの程度、全国的に地方レベルまで浸透したかが確認される。 初年度は、研究分担を決定し、国際的な視野と既存データの体系的な検討から、調査のための仮説群を設定しようとする。国際的には「一党優位政党制以後」という視角から、またこれまでに行った13カ国市民社会比較の観点から検討する。本研究は途中で中止(Sの認定により)されたため、こうした作業を行う準備作業を進めたに留まった。メンバーの役割を確定し、一部の研究資料を購入し、仮説検討のための資料を印刷することに費やされた。

  • 民主政治における非選出機関の役割:韓国選挙管理委員会の比較研究
    大西 裕, 品田 裕, 曽我 謙悟, 浅羽 祐樹, 磯崎 典世, 川中 豪
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(B), 基盤研究(B), 神戸大学, 2008年 - 2010年
    本研究は、日本における選挙管理に関する政治学的・行政学的研究の嚆矢である。選挙管理は途上国に限らず政治的に中立性を保ちにくく、それだけ政治権力からの独立性が必要とされている。しかし、韓国のように独立性が強い国ではそれゆえに選挙管理機関自体が政治化しやすい。制度と選挙管理のパフォーマンスの間にも先行研究が指摘するような対応関係は確認できず、全国一律で実施されている日本でもバリエーションが発生する。

  • 日韓米独中における3レベルの市民社会構造とガバナンスに関する総合的比較実証研究
    辻中 豊, 坪郷 實, 大西 裕, 森 裕城, 坂本 治也, 波多野 澄雄, 小嶋 華津子, 近藤 康史, 伊藤 修一郎, 竹中 佳彦, 崔 宰英
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 特別推進研究, 特別推進研究, 筑波大学, 2005年 - 2009年
    本研究は、日本の市民社会の構造を包括的かつ実証的に調査し、米韓独中との5カ国比較から日本の政治と社会の相互作用(ガバナンス)を明らかにしようとする。ここで構造とは市民社会組織全般を指し、本研究では3レベル(近隣住民組織=自治会等、電話帳所収の社会団体、登録NPO)に注目する。理論的には市民社会論、ソーシャル・キャピタル論、政策ネットワーク論、ガバナンス論を背景とした調査票を作成し、それを基に調査を行い、現代日本社会の構造的パターンを発見しようとしている。

  • 変革期における中央-地方関係の総合的解明
    伊藤 光利, 稲継 裕昭, 鹿毛 利枝子, 北村 亘, 北山 俊哉, 広本 政幸, 品田 裕, 大西 裕, 曽我 謙悟, 松並 潤, 久米 郁男, 建林 正彦
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(B), 基盤研究(B), 神戸大学, 2006年 - 2008年
    本研究は、わが国の政治行政システムにおける中央-地方関係の位置づけ、中央と地方両レベルの政治行政構造の重層的なリンク、また両レベルの政治過程の連動等を、全国市区町村長調査の量的分析および行政・団体関係者へのインタビューによる質的分析を通じ、明らかにした。これにより、「政策受益団体・地方政府連合」論の有効性を確認し、今後、この概念を用いた日本型経営、日本型福祉国家、一党優位制の総合的な分析の手がかりを得ることができた。

  • 東アジア諸国の民主主義体制下におけるテクノクラシーの発展と変容
    鳥居 高, 白石 隆, 末廣 昭, 片山 裕, 大西 裕, 木崎 翠
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(B), 基盤研究(B), 明治大学, 2006年 - 2008年
    1980年代後半以降の東アジア諸国の高度経済成長に注目して、世界銀行による『東アジアの奇跡』においては、東アジア諸国の経済発展過程における経済テクノクラートの役割やそれを中心とした制度の強靱性などが指摘され、大きな注目を集めた。しかし、その後経済政策の民営化の促進の他、各国では民主化の動きが過疎するなど、経済官僚を取り巻く環境は大きく変化した。このため、本研究では、こうした新しい政治経済環境の下で、経済テクノクラートの変容する役割に注目した。 まず、本研究では、これまで欠落していた東アジア諸国の経済政策策定と決定過程に関して、そのメカニズムと経済官僚の役割が明確にされた。次ぎに、これらの経済官僚に関する社会的バックグランウンド(教育歴、職歴など)に関する基礎データの総合的な収集と整理が行われた。 これらの作業を通じて、各国の経済計画策定・実行機関とそれを支える官僚機構の強靱さと98年経済危機における役割の変容が明らかになった。しかし、その方向性は必ずしも一様ではない。インドネシアのように、いったん弱体化したものの、近年かつてのように強化された国もあれば、マレーシアのように経済危機を契機により集中化した国も見られた。

  • 1997年以降の金融制度改革の日韓比較研究
    大西 裕, 浅羽 祐樹
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(C), 基盤研究(C), 神戸大学, 2006年 - 2007年
    本研究は、1997年に日韓両国を襲った深刻な金融危機への対応が両国で大きく異なった理由を明らかにすることによって、政党が経済政策を左右する重要な要素であることを主張し、金融政策決定過程に新しい視点を提示するものである。 1.韓国における需要拡大政策のタイミングと規模を調査した。需要拡大は1999年に大規模に発生しているが,これは金大中政権のIT政策に大きく関係のあることが分かった。すなわち、電子取引の拡大を行うために奨励した、消費者によるクレジットカードの使用が過剰に行われたため、消費が拡大した。しかし、カード使用に関する消費者の健全性認識が不十分であったため、消費者のカード破産が相次ぎ、盧武鉉政権期初期に経済調整局面を必要とすることになった。 2.韓国の都市銀行の健全化について、1998年の第1次調整、1999年の第2次調整、メガバンク再編について調査した。第1次調整では、事実上破綻状態の都市銀行の経営権を奪う形で強制的な調整が行われたことが分かった。第2次調整およびメガバンク再編では、第1次調整の結果、多くの銀行の経営権を政府が把握しており、そのもとで行われたことが分かった。この観点からすると、鄭のいうように開発主義国家的な、国家主導による再編ということができる。しかし、1997年以前と異なり、政府の視野は国内金融秩序の維持・産業資金の供給から大きく転換している。この転換には、外資が韓国の金融機関に参加したことによる新たな基準の導入と、外資が好むような銀行経営を是とする一般有権者の志向が政党を通じて行政に織り込まれたことが重要であることが明らかになった。

  • 民主主義体制の諸形態および当該体制の長期的持続における価値規範の役割
    恒川 惠市, 飯田 文雄, 遠藤 貢, 出岡 直也, 浅見 靖仁, 大西 裕
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(A), 基盤研究(A), 東京大学, 2005年 - 2007年
    本研究では「民主主義体制を長期的に持続させる基本的要因は、紛争や抑圧を経験する中で人々が民主主義的な手続きを遵守することの重要性や不可避性を学習することである」という基本仮説を、理論研究、計量分析、事例研究を組み合わせて検証した。まず民主主義や立憲制に関する規範理論は、選ばれた指導者による民主主義をよしとするシュンペーターの議論から、一般市民の深い政治参加を求める熟議デモクラシー論まで様々な民主主義形態を措定しているが、ほぼ共通するのは、民主主義的な価値規範が決定の場や討論への参加を通して形成される(積極的学習)と見ていることである。計量分析においては、この「積極的学習」要因と同時に、紛争や抑圧といったネガティブな経験が民主制再評価をもたらすとする「反動的学習」要因を組み入れて、両者の効果を検証した。その結果ラテンアメリカについては「反動的学習」効果が強く見られるが、「積極的学習」も一部に観察されること、アフリカについては、「反動的学習」効果が見られる国と、「積極的学習」効果が見られる国に2分されること、アジアについては明確なパターンが現れないことが明らかになった。これは、まだ民主化が進んでいない国が多数混じっている地域では、民主主義に対する態度に「手続きへのコミットメント」とは異なる「単なる期待」が含まれていること、さらに「移行」と「持続」の条件が必ずしも一致しないことが、定量的な検証を困難にしているためである。それを補うのが事例研究である。個別の国や地域の事例分析によれば、各国の社会的・政治的亀裂という構造要因によって「反動的学習」や「積極的学習」の効果が異なり、前者が民主化に繋がらず、後者も民主主義へのコミットメントを向上させないことがありうる。ただし本研究の基本仮説は、その有効性において民主化に関する他の仮説に劣らないことが実証された。

  • 日本と韓国における政治エリートの行動-合理的選択制度論にもとづく因果関係分析
    建林 正彦, 大西 裕
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(C), 基盤研究(C), 2005年 - 2007年
    本研究の目的は、政治家や官僚を目的合理的な行為者と想定する合理的選択制度論の立場に立ち、日本と韓国の政治行政の比較を通じて、ミクロの因果メカニズムを捉えつつ、制度と政治的帰結との間の因果関係分析を行うことであった。このような目的に照らし、平成17年度には、ハンナラ党、ウリ党の国会議員、政党職員を中心に、また平成18年度には、民主労働党の議員や政党職員、引退議員の団体である「憲政会」等にも対象を広げてインタビュー調査を行った。これらの内容をもとに韓国における政党組織の特徴を分析し、韓国における民主政治の現状についてある程度明らかにすることができた。韓国の諸政党においては、政党内部の民主化、透明化という制度改革の試みがなされているものの、大統領制の影響が大きく、大統領、もしくは大統領候補たる党首、党首の意を受けた党執行部が公認の決定、政策の決定などにおいて強い影響力を行使してきた。また与党の政策形成過程については、政府官僚制との交渉が大きな比重を占めることも明らかにされ、政策形成過程における官僚制の役割の大きさも示された。後者については、省庁官僚制の役割の大きさも見出すことができたように思われる。但し、ノムヒョン政権のもとでは、与党ウリ党は十分な組織的一体性を備えておらず、またそのリソースも必ずしも十分ではなく、しばしば野党ハンナラ党の方が、強い一体性を保持していたようにも見受けられる。 また本研究においては、このような政党組織の調査に加えて、日韓比較の観点から、韓国政治、日本政治を捉える研究を、研究協力者等の協力を得て展開した。研究協力者として参加してもらった韓国の政治学者との研究交流は、日本政治、韓国政治を捉えるうえで有意義なものであったと思われる。

  • 広域的な自治体間連携の在り方に関する国際比較研究
    稲継 裕昭, 加茂 利男, 北原 鉄也, 野田 昌吾, 永井 史男, 北村 亘, 大西 裕, 宇羽野 明子
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(B), 基盤研究(B), 大阪市立大学, 2004年 - 2006年
    本研究は、調査対象各国における広域的な地方自治体間の連携の制度および実態を明らかにすることによって、日本における広域的な自治体間連携のあり方について示唆を得ようとするものである。 1990年代の第1次分権改革の中では、当初、市町村合併と広域行政を併記し、両者に優劣をつけるとはされなかったが、その後合併優先の政策誘導に戦略転換され、3200余り存在した市町村は、約1800に統合された。 だが、諸外国を見た場合に、地方自治体間連携のあり方は様々であり、市町村合併を幾度も経験した国もあれば、同様の効果を広域的な自治体間連携で機能させている国もある。本研究においては、調査対象各国における自治体制度の類型と自治体連携のパターンの関連を探るとともに、合併を選択する場合との機能面での優劣の比較を試みた。 調査対象各国における実態を明らかにするため現地調査を精力的に行うととともに、平成18年7月の世界政治学会IPSA福岡世界大会(IPSA World Congress, Fukuoka)に、ローカルセッションとして本科研メンバーによるセッションを設けて議論を深めた。 これらの海外調査の成果も取り入れながら、本研究では、基礎自治体の機能と、広域行政、自治体間連携のパターンを比較し、それぞれの機能特性(広域行政、自治体間連携を可能とする条件・環境など)、長所短所の分析を行った。 日本における合併も一段落がついた。ただ、今後、さらなる合併の道へと歩みを進めるのか、あるいは、諸外国の例にみられるように、基礎的な自治体、Local Communityとのつながりを大事にして既存の基礎自治体は維持しつつ、住民へのサービス提供の効率性に向けての様々な自治体間連携の仕組みを創設していくのかは、現時点では不明である。だが、為政者がどのような政策決定をするにせよ、諸外国の経験から学ぶことは少なくはないと考えられる。

  • 「市場化社会の法動態学」研究教育拠点
    樫村 志郎
    2006年
    競争的資金

  • 民主化にともなう政党制の変容が経済政策に与える影響:韓国の場合
    大西 裕
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(C), 基盤研究(C), 大阪市立大学, 2003年 - 2004年
    韓国の金融政策は、権威主義時代と1987年の民主化以降とで大きく変化した。権威主義時代には、金融政策は経済状態の変化に応じて転換されたが、民主化以降には、経済状態が悪いにもかかわらず政策の基本的な方針に変化はなかった。それはなぜか。 本報告書は、大統領、国会議員、官僚などの政治アクターの行動に重点を置いてこの問いにアプローチする。大統領と、経済企画院、財務部、商工部といった経済官僚制との関係を本人-代理人関係としてとらえたうえで、官僚が大統領の意志決定を補助し、大統領が指示する範囲内で政策形成に関与した点で、民主化以前と以降に大きな変化はなかったと考える。他方、大統領は多くの意志決定において国会の承認を必要としており、彼が重要な政策を決定する際に相手にしなければならなかったのは、国会議員であった。それゆえ本報告書は、民主化を機に国会内における与党の支持基盤が「与村野都」から「地域主義」に様変わりしたことが、金融政策の転換と継続という帰結の違いを生み出した、と結論づける。政党構造の変化により、国会は民主化以前よりも世論の変化を反映しにくくなっていたのであった。例外的に忠実な特定地域の有権者を確保できた金大中政権だけが、政策転換が可能で、通貨危機からの脱出に成功したのであった。 すなわち、金融政策の転換と継続は、世論の変化と政党構造の変化に対応してなされた、大統領の意思(政策選択)によるものだったのである。

  • 日本・韓国の公共政策・政策過程に関する体系的比較研究
    辻中 豊, 五十嵐 暁郎, 坪郷 實, 田所 昌幸, LEWIS Jonathan, 大西 裕, 黄 順姫
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(B), 基盤研究(B), 筑波大学, 2002年 - 2004年
    本研究は、1990年代以降の、日韓の公共政策および政策過程の差異と共通性の摘出、その説明に関する各分野および一般モデルの提出、またその成果の公刊を目的とした。共同研究者による研究成果として、金融政策、マクロ経済政策、通貨政策、通商政策、言語政策、地方自治政策、外交・安全保障政策などについて、各自は比較および各国研究を発表した。 他方、本研究成果の特徴として、こうした個別政策以外に、こうした政策過程を取り巻く社会構造をより包括的に分析し、その日韓比較を発表したことが挙げられる。他の研究資金にも依拠しつつ、日韓だけでなく米独、中国、ロシア、トルコといった各国における市民社会の基礎的な団体構造の把握を目指す団体調査とその分析も並行して行った。政策ネットワーク調査がいわば最も重要な政策アクターに着目するのに対して、団体基礎構造調査は、市民社会に存在するすべての団体、組合、クラブ、結社に着目する。この調査によって、こうした基礎団体レベルでの、各種組織の構成割合、リソース、行動様式、対他アクター関係、政治化の度合などが比較政治的に明らかになり、これはいわば政策過程や政策出力への説明変数となりうる。 韓国側の協力者を含めた共同研究集団の3年に亘る本研究(およびそれ以前から継続した研究、およびそれに続く研究)によって、上記目的にそった実証調査が遂行され、その成果を500頁近い学術書の形で発表することができた(辻中豊・廉載鎬編著『現代韓国の市民社会・利益団体-日韓比較による体制移行の研究』木鐸社、2004年、490頁)。 さらに、同期間に中国およびロシアでも同じ枠組みを用いて同種の調査を実施(他の研究資金を得た)したため、現時点では、それらと日本との比較を行いそのコードブックを資料として発表することとした。

  • 民主主義体制定着の条件に関する比較研究
    若林 正丈, 中井 和夫, 遠藤 貢, 浅見 靖仁, 大西 裕
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(B), 基盤研究(B), 東京大学, 2002年 - 2004年
    本研究は、「民主主義体制の長期的持続を可能にする最も基本的な要因は、長期にわたる紛争や抑圧を経験する中で、相争う人々が、民主主義的な手続きを(結果を保障しないという意味で不確実性を含むにも関わらず)遵守することの重要性や不可避性を学習することである」との仮説を提出した。同時に、地域や国による学習の困難さ・容易さを左右する要因として、構造的要因(国内社会構造、国際構造)と制度的要因も考慮に入れることにした。構造的・制度的コンテクストの中で進む紛争・抑圧の過程と、その中で形成される民主主義的規範を、民主主義体制持続の条件として最重要視するという意味で、この理論枠組みは「構造・構成主義アプローチ」と呼びうる。個別地域・国の経験に関してチリとアルゼンティンの事例研究によれば、紛争による社会的規範の変化という側面は確かに見られるが、その基盤として、社会構造の変化による左派の動員能力の低下という構造要因が重要である。民主化が不十分なまま続いているアフリカの事例は、エスニックな対立と統合的行政能力の欠如が相互に強めあう悪循環に陥っていることを示しており、やはり構造・制度の制約が重要である。東南アジア諸国の事例は、紛争経験そのものよりも、紛争経験の記憶や解釈(やその変化)が民主主義体制の維持や崩壊に影響を与えることを示している。ウクライナの場合、2004年の選挙騒動自体が民主化プロセスの一部であり、紛争がいっそうの民主化を促した例と見ることができる。他方韓国の場合は、構造的要因よりも権威主義派エリートによる抑圧と寛容のコスト計算が重視される。構成主義のいう「規範」ではなく、エリートの「合理的選択」を強調する見方である。台湾の事例研究では、移行については韓国と同様エリートの合理的選択があったとされるが、その後活性化したエスニック政治の中で民主主義が規範化されつつある可能性も指摘されている。

  • 中央・地方政府間の人的リンケージに関する国際比較研究
    稲継 裕昭, 大西 裕, 野田 昌吾, 加茂 利男, 永井 史男
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(B), 基盤研究(B), 大阪市立大学, 2002年 - 2003年
    日本における地方政府の政策能力の維持・増大は、戦前は内務省による人事・財政を通じたコントロールにより、また戦後は、公選首長のもと、地方政府の人事戦略と高等教育の一般化により達成されてきた。地方政府の人事戦略は、中央政府と地方政府間の人的リンケージ(中央から地方への出向、地方から中央への派遣、地方間の人事交流)、研修(OJT、Off-JT)、民間にひけのとらない給与水準の維持、地方における政策イニシャティブなどである。これらの人事戦略による人的資源の充実が、地方の自律性を高める上で重要な要素であった。 本研究では、各分担者の興味関心を重視しつつも、中央と地方との関係について、人的資源の管理という観点を挿入しながら考察を進めた。分離型の典型とされるイギリスにおいては、人事交流は皆無に近いことがわかった。融合型のドイツでも人事交流は殆どなかった。ドイツはそもそも人事異動自体が少ない。だがフランスでは、中堅以上の職位においては本人の意思による自治体間の異動が比較的多く、それがポジティブなものと考えられているようである。ただ、日本のような出向という制度はない。このように、先進各国をみただけでもその態様はさまざまであった。この点は途上国の例をみても言える。 日本が慣例として持っている人事交流という実態は、諸外国から見てユニークな特徴である。戦前の内務官僚の人事配置を、戦後は別の法的スキームのもとで首長の主体性をもって出向官僚を受け入れてきた。ただ、これが地方の自律性を高める上でプラスに働いたという主張の検証には、自律性の国際比較などの検討が今後必要である。

  • 1990年代以降の韓国における金融行政の変化の研究
    大西 裕
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 若手研究(B), 若手研究(B), 大阪市立大学, 2001年 - 2002年
    本研究では、1990年代を中心に展開した金融自由化政策に政治や官僚制、金融機関が与えた影響を明らかにする。そのための作業として、まず第1に、1990年代の動きを整理するため、朝鮮日報等、韓国の主要な新聞に出てくる記事を整理した。その結果、部分的金融自由化の本格化は金泳三政権発足をきっかけに生じたこと、その主たる動機は、当時韓国を襲った不景気からの脱出には、1980年代まで広範に行なわれていた政策金融では不可能であり、金融自由化が資金供給の代替手段であったことが明らかになった。次に、金融改革を行なうために設けられた金融発展審議会、金融改革委員会の答申、IMFとの議定書等金融自由化計画に関する文書及び関連する研究論文を収集した。収集の過程で、1970年代から1980年代への政策志向の変化が重要であることに気づき、それに関する文献も収集した。この分析結果は、平成15年度に日文研叢書『日本の政治経済とアジア諸国』(村松岐夫京大教授編)所収の論文に反映されている。なお、大統領-議会関係が経済政策に与える影響を分析するために行なった研究成果は、2001年度現代韓国朝鮮学会シンポジウム報告「不可解なハンナラ」で公表した。 平成14年度はいくつかのケースを中心に、金融政策決定に関わったと考えられている政治アクターの行動を調査した。対象としたのは、韓国の金融政策の重要な転換点となった91年の部分的金利自由化開始と、97年の金融改革委員会答申、98年の通貨危機下での第1次金融構造調整と、転換点となり損ねた93年の金融発展審議会答申である。分析の結果、民主化によって政党構造が変化したことが、権威主義時代にはあった政策循環を止め、財閥企業の経営効率を低下させていったことが明らかになった。 以上の成果は、一部をすでに公表したが、著書としてまとめて公表する予定である。

  • 金融危機における「決定」と「非決定」に関する政治学的研究
    伊藤 光利, 真渕 勝, 品田 裕, 久米 郁男, 加藤 淳子, 大西 裕, 片山 裕
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(B), 基盤研究(B), 神戸大学, 1999年 - 2001年
    本研究は、バブル経済対策の遅れを政治学的な観点から実証的に解明することを目的としていた。そのため理論研究、文献・資料収集、聞き取り調査を行い、世論調査の時系列データ・新聞報道の内容データ・聞き取りデータ・各種年表を整備した。また各自がテーマを決めて分析を進めた。内容的には(1)バブル崩壊後の処理を説明する伊藤・真渕・大西と(2)バブル経済前後の環境を検討する加藤・久米・品田に分かれる。(1)の中で伊藤・真渕は、住専問題に焦点を定める。この問題が早い段階で国民に公的資金投入への不信感を植え付けたため、後に不良債権処理が困難になった。真渕は日住金の第一次再建計画、第二次再建計画、財政資金投入を含む処理案の策定過程を時系列で追跡し、各時点での当事者の考え・行動を検討した。伊藤は新制度論アプローチを用い、護送船団方式という理念、さまざまな制度配置、官僚スキャンダルなどの状況的要因を住専処理策の説明要因として析出した。大西は昨年来の理論研究を踏まえ、韓国通貨危機は、「擬似中央銀行」と見られてきた財政経済院の力の限界が露呈したことをきっかけに投資家の平価切り下げ予測が決定的になったからだとした。(2)の中で、加藤は、わが国の官僚・政党・企業組織に共通して存在する、同質的で低い流動性という組織的特徴が、政治経済上の成功局面では合意の効率的形成と効率的な機能遂行に貢献したが、逆に失敗の局面では、組織の機能の衰退を黙認する存在となったことを示した。久米は、不良債権処理のための公的資金投入をめぐる新聞報道について記事件数、論調、各アクターの立場を系時的に分析した。品田は、各候補者の選挙公約から「全体-個別」、「創出-修正」の二軸を抽出し、93年以降、政治改革のような「全体・創出」型の政策が急増し政党再編の焦点となったことを明らかにした。以上、最終年度終了にあたり一定の成果は示すことができたが、研究の未完成部分および各研究の体系的な結合を進め、今後、最終的な成果を可及的速やかに公表することを期したい。

  • 途上国の地方分権化と開発
    村松 岐夫, 鳥居 高, 永井 史男, 大西 裕, 玉田 芳史, 片山 裕
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(B), 基盤研究(B), 京都大学, 1999年 - 2000年
    本研究は、開発途上国における地方分権化と開発との関係を明らかにすることを目的とする。対象国は、韓国、タイ、フィリピン、マレーシア、インドネシア、中国である。研究の内容は大きく3つに分かれ、第1は当該諸国の地方制度とその運営状況で、第2はそれぞれの地方制度改革の経過、第3は地方分権化と開発を関係づける理論的考察である。なお、アジア諸国では先発例にあたる韓国の都市政治に関する最新の動きと研究動向を、本研究のメンバーで共有するため、1999年度に韓国のソウル市立大学の權寧周教授に研究会報告とヒアリングをお願いした。本研究では、第1に、地方行政システムの法律上の状況を調査した。中央と地方の権限の分配方法とその内容、中央の出先機関と地方団体の関係、地方財政制度、地方公務員制度など行政制度・地方制度に関する諸法制を調査し、その運営状況を調べた。第2に、地方分権化改革について、ヨーロッパと日本で発展した統合型地方制度モデルと経済学において唱導されている分離型地方モデルの利害得失を、各国ごとに分析した。理論研究面では、上の二つのモデルについて、アジア諸国の分析モデルを考察する前段階として日本及び欧米での中央-地方関係に関する研究のレビューをおこなった。以上の分析は個々の研究者でおこなわれたので、それぞれの研究成果をレビューすべく、研究会を計6度開いた。本研究の成果は、論文公表や対外研究会報告の他に、研究会メンバーがJICAの途上国法制支援プログラム(「タイ地方行政/地方自治体能力向上プログラム」)に参加し、貢献する形で社会に還元している。

  • 金泳三政権・金大中政権における韓国行政改革の研究
    大西 裕
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 奨励研究(A), 奨励研究(A), 大阪市立大学, 1999年 - 2000年
    1990年代に入って韓国が迎えた本格的な文民政権である金泳三・金大中両政権は、いずれも行政改革の世界的な潮流に則って、新自由主義的な行政改革をおこなおうとしてきた。本研究は2つの政権の行政改革に関するパフォーマンスを調査した。当初の予定では両政権の違いを浮き彫りにし、因果関係を明らかにすることに重点を置いていたが、調査を終えてむしろ重要であるとわかったのは両政権の共通性であった。両政権は、同じような分野を改革し、同じような分野で改革が進まず、改革の進展も同じペースであった。すなわち、両政権は、中央省庁再編、公務員制度改革といった、政府組織内部の改革には積極的かつラディカルに取り組むが、規制緩和は漸進主義的で、公私領域の見直しにつながる民営化はほとんど進めないのである。改革のペースについては、政権初期に急速に改革を進めるが、中期以降改革はほとんど進行しなくなる。 ではなぜ以上のような特徴を両政権は示したのであろうか。本研究でこの解答として得たのは2つである。一つは、改革の内容を規定しているのは、改革が持っている大統領権力と中枢管理機能を強化する方向性である。すなわち、行政府の権限や資源がトップに集中する方向での改革はなされるし、ライン官庁の権限を割く規制緩和は可能であるが、大統領権限の縮小につながる公企業の民営化は進行しない。もう一つは、大統領任期が単任制であるためレイムダック化が早く、任期の中盤には政策パフォーマンスが低下することが行政改革のペースを規定しているということである。 両政権が意外な共通性を持ったのは、韓国の大統領制と行政府が持つ制度的な特徴に由来するものであったからである。この限りにおいて、歴史的新制度論の分析枠組みが有効であることが本研究で確認された。

  • 途上国の地方行政システムと開発
    村松 岐夫, 片山 裕, 鳥居 高, 永井 史男, 大西 裕, 木村 幹, 玉田 芳史, 秋月 謙吾
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(B), 基盤研究(B), 京都大学, 1997年 - 1998年
    この研究プロジェクトは、途上国の行政能力向上(capacity-building)に関して分権化推進と行政制度改善のための提言を行うことを目的とした。研究成果は、理論面と実際面に分けられる。理論的成果の第一は、世界的な分権化の潮流がアジア諸国における分権化には、二つの要因が大きく影響していることが分かった。第一は、途上国が被援助国であるために、援助国・機関の分権化思想の影響受けやすい。ここで援助機関とは世界銀行、IMF,アジア開発銀行などである。第二には、多くの被援助国は、旧植民地国であり、宗主国の残した制度が現在のシステムの中にも濃厚に観察される。こうした環境のもとでの分権化は、各国で民主化過程のための要素である過程と理解されている。旧来の開発独裁的な行政であれ、最近の規制緩和を含む経済改革であれ「上からの」改革が進行する中で民主化は進歩の方向である。政府指導者の側からも政権を正統化するための妥協の策として分権化は受け入れられている。問題はどのようなタイプの地方制度を採用するかである。この点について我々は、途上国の分権化改革の全体について日本の機関委任事務、補助金制度、出向人事等は有益であるとの実務界からの意見も得られた。 次に、本プロジェクトが特に焦点を当てた住民登録に関して述べるならば、独立の過程での宗主国との葛藤が住民登録行政には刻印されていることが分かった。フィリピンにおける住民登録への嫌悪感は明らかにスペイン統治の後遺症であるし、マレーシアは建国とその後の政治秩序の維持のためにマレー人優位をうたう憲法持つという結果をもたらした。 さらに住民登録行政の発達には、その国家目的の重点の変化が見られる。住民登録は、徴税や徴兵といった国家の資源動員のための手段であると考えられたが、最近では、途上国の民主化は次第に住民登録を住民への公平なサービスのための行政制度と位置づけるようになっていったと思われる。我々が得た知見は、以上の大きな流れの中で適用されなければならない。

  • 韓国産業銀行の意思決定過程の研究
    大西 裕
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 奨励研究(A), 奨励研究(A), 大阪市立大学, 1996年 - 1996年
    本研究では、1950年代末から1970年代末までの韓国産業銀行の意思決定過程を調査した。調査は、基本的には各種文書資料の収集分析によった。まず第1に、基礎的なデータとして当該期間の銀行行政について韓国官報、東亜日報等の記事を調べた。ただし、これらは多くが決定の結果であり、基本的は事実はつかめたが、意思決定過程は把握できなかた。第2に、韓国産業銀行の融資の流れをつかんだ上で、財務部、韓国銀行の報告文書を収集しようとした。しかし、関連する資料はほとんど国内では発見できず、韓国に行って現地で研究する必要を痛感することになった。なお、現地の機関からの協力については、協力者が多忙のため、なかなか資料を得ることができず、現在ようやくその分析をはじめたところである。第3に、建設部、経済企画院、商工部、交通部等の意思決定の内容と決定過程を検討するため、それぞれの機関及びそれに付属する、経済開発研究院等の研究機関の、関連する研究報告や年次資料等を収集した。特に、韓国産業銀行に重大な影響を与えた経済開発研究院についてはほぼフォローアップすることができた。第4に、韓国産業銀行の人事の動きを調べるため、関連データを収集した。現在、このデータの中心部分であるキャリア・パスの入力作業を行なっている最中である。 全体として、当該年度中は関係資料の収集に終始し、その分析が不十分であった。また、資料のなかには日本国内には存在しないものが多々あり、韓国に赴いて直接収集をおこなう必要性を痛感した。本研究については、収集した資料の一部を利用して、このテーマに関して、日韓文化交流基金にて研究会報告を行ない、現在論稿を執筆中である(平成10年出版予定)。しかしながら、まだ資料収集とその分析が年度内には不十分にしかおこなえなかった点は、この研究をまとめる上で今後の検討課題として残っていると思われる。

  • 高度成長期における韓国の輸出支援金融と銀行行政
    大西 裕
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 奨励研究(A), 奨励研究(A), 大阪市立大学, 1995年 - 1995年
    本研究では、韓国における1950年代末から1970年代初めまでの銀行行政をめぐる政策決定及び執行過程について調査をおこなった。調査は、基本的には各種文書資料の収集分析によった。 まず、基本的なデータとして、1950年代末から1970年代初めまでの銀行行政について韓国官報、東亜日報に掲載された記事を調べた。但しこれらの中には政府の金融政策に関する叙述はみられたが、銀行への行政の関与については、表面的な問題点の辛しい決定ぐらいしか分からなかった。 次に、これらのデータをもとに銀行行政の流れをつかんだ上で、実際に銀行行政の中核をになってきた財務部、韓国銀行、金融通過運営委員会(1962年以前は金融通過委員会)の報告文書を収集した。このうち、財務部と韓国銀行についてはある程度の報告文書が得られたが、金融通過運営委員会については、残存する資料が日本国内ではほとんど見当たらなかった。 第3に、経済企画院、商工部の意思決定の内容と決定過程を検討した。これらについては、貿易振興との関係からある程度収集することができた。第4に、経済官庁で銀行行政に関係する機関の人事の動きを調べた。 全体として、当該年度中は関係資料の収集に終始し、その分析が不十分であった。また、資料のなかには日本国内には存在しないものが多々あり、韓国に赴いて直接収集をおこなう必要性を痛感した。本研究については、収集した資料の一部を利用して、このテーマに関して国際政治学会にて学会報告を行ない、論稿を著した。しかしながら、まだ資料収集とその分析が年度内には不十分にしかおこなえなかった点は、この研究をまとめる上で今後の検討課題として残っていると思われる。

  • 韓国における輸出自由地域の形成と日本の線維産業移転
    大西 裕
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 奨励研究(A), 奨励研究(A), 大阪市立大学, 1994年 - 1994年
    本研究では、韓国で急速な経済成長が始まる一方で、日本では繊維不況が生じる時期におこった韓国における輸出自由地域の形成と日本の繊維産業移転を調査した。調査は、基本的には各種文書資料の収集分析と面接調査によった。 まず、当該年代における日本の繊維産業の移転状況、日本及び韓国の繊維産業の生産量の変遷を把握すべく資料を収集した。特に、日本から韓国に移転した企業(具体的には大阪府下の企業)の動向について追い、日本の中央政府・地方政府(具体的には大阪府)及び韓国政府から移転に際してコスト負担やサンクションがなかったかを調査した。 第2に、日韓中央政府間で焦点となっていた日韓基本条約締結の際の対日請求権に基づく援助・借款がどのように韓国側で使用されたかを調べた。この資金の多くは基礎的産業育成のための投資にまわっていたことが明らかになったが、それは大まかな概略だけであり、必要となるデータを十分とるためには日本国内では限界があった。 第3に、日本から韓国への移転をおこなった企業を調べ、日本及び韓国の中央・地方政府が移転に際しどのような対応をとったのかを当時の企業トップに聞き取り調査をしようとしたが、実際には当時の関係者を捕まえることは困難で、通信会社の記者にインタヴューするにとどまった。 最後に、企業の移転元である日本の地方政府が、移転に際し失業等のコストを埋めるための対応に関する資料を収集した。 全体として、当該年度中は関係資料の収集に終始し、その分析が不十分であった。また、韓国側の資料を収集するためには日本国内では限界があり、韓国での収集をおこなわねばならない。これらがこの研究をまとめる上で今後の課題として残っている。

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