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田中 克志
大学院工学研究科 機械工学専攻
教授

研究者基本情報

■ 学位
  • 工学博士, 大阪大学
■ ミニ講義
■ 研究キーワード
  • 材料物性
■ 研究分野
  • ナノテク・材料 / 構造材料、機能材料
  • ナノテク・材料 / 金属材料物性

研究活動情報

■ 受賞
  • 2010年09月 International Metallographic Society, 2010 International Metallographic Contest Third Place
    田中 克志

  • 2010年03月 日本金属学会, 金属写真優秀賞
    田中 克志

  • 2009年03月 日本金属学会, 功績賞
    田中 克志

  • 2006年05月 日本顕微鏡学会, 日本顕微鏡学会和文誌賞
    田中 克志

  • 1999年12月 日本MRS, 奨励賞
    田中 克志

  • 1996年11月 伸銅技術研究会, 技術論文賞
    田中 克志

■ 論文
■ MISC
  • 田中克志
    Japan Institute of Metals, 2020年08月01日, Materia Japan, 59(8) (8), 435 - 437
    [招待有り]
    記事・総説・解説・論説等(学術雑誌)

  • CrMnFeCoNi 高エントロピー合金の単結晶弾性率
    田中克志
    2018年03月, 日本機械学会誌, 121(1192) (1192), 16 - 19
    [招待有り]
    記事・総説・解説・論説等(学術雑誌)

  • CrMnFeCoNi系等原子量高エントロピー合金における局所格子歪と固溶強化量の相関
    岡本範彦, 弓削是貴, 田中克志, 乾晴行, GEORGE Easo P.
    2016年, 日本金属学会講演概要(CD-ROM), 158th

  • CrMnFeCoNi高エントロピー合金の力学特性
    河村麻莉乃, 神原佑季, 田中克志, 岡本範彦, 岡本範彦, 乾晴行, 乾晴行
    2016年, 日本金属学会講演概要(CD-ROM), 158th

  • FCC系高エントロピー合金の局所格子歪み測定と単結晶マイクロピラー圧縮
    岡本範彦, 藤本周, 陳正昊, 松野下裕貴, 弓削是貴, 田中克志, 乾晴行
    2015年, 日本金属学会講演概要(CD-ROM), 156th

  • Fe-Zn系金属間化合物δ1p相の単結晶X線構造解析-ζ相構造との類似性-
    岡本範彦, 岡本範彦, 田中克志, 乾晴行, 乾晴行
    2013年, 日本金属学会講演概要(CD-ROM), 153rd

  • Fe-Zn系金属間化合物δ1p相の結晶構造解析
    岡本範彦, 岡本範彦, 田中克志, 乾晴行, 乾晴行
    2013年, 日本金属学会講演概要(CD-ROM), 152nd

  • チムニーラダーシリサイドにおけるPBET界面構造と熱電特性
    岡本範彦, 足立大樹, 岸田恭輔, 田中克志, 乾晴行
    2012年, 応用物理学関係連合講演会講演予稿集(CD-ROM), 59th

  • CrB2における巨視的弾性率と微視的弾性率の違い
    田中克志, 岡本範彦, 乾晴行, 筒井智嗣, BARON Alfred Q.R., BARON Alfred Q.R.
    2012年, 日本金属学会講演概要(CD-ROM), 151st

  • 低温で負の降伏応力の温度依存性を示すL12型金属間化合物の転位の分解様式
    長谷川喜彦, 長谷川喜彦, 田中克志, 岡本範彦, 乾晴行
    2012年, 日本金属学会講演概要(CD-ROM), 150th

  • OS02-4-1 Elastic softening in CrB_2 at the magnetic transition temperature
    Tanaka Katsushi, Nagano Shinji, Okamoto Norihiko L., Inui Haruyuki
    一般社団法人日本機械学会, 2011年09月19日, Abstracts of ATEM : International Conference on Advanced Technology in Experimental Mechanics : Asian Conference on Experimental Mechanics, 2011(10) (10), "OS02 - 4-1-1", 英語

  • 岡本 範彦, 足立 大樹, 岸田 恭輔, 田中 克志, 乾 晴行
    日本金属学会, 2011年04月01日, まてりあ, 50(4) (4), 149 - 151, 日本語
    [査読有り]
    記事・総説・解説・論説等(学術雑誌)

  • 岡本 範彦, 足立 大樹, 岸田 恭輔, 田中 克志, 乾 晴行
    2011年04月, まてりあ, 50(4) (4), 149 - 151, 日本語
    [査読有り]
    記事・総説・解説・論説等(学術雑誌)

  • チムニーラダーシリサイドのVECと異相界面制御による熱電特性向上
    岡本範彦, 足立大樹, 岸田恭輔, 田中克志, 乾晴行
    2011年, 応用物理学関係連合講演会講演予稿集(CD-ROM), 58th

  • L12型Pt3Al単結晶の弾性定数と力学特性
    岡本範彦, 長谷川喜彦, 橋本和太郎, 田中克志, 乾晴行
    2011年, 日本金属学会講演概要, 148th

  • 空孔規則配列相を有するReSi1.75の異方的な熱電特性
    原田俊太, 田中克志, 岡本範彦, 乾晴行
    2011年, 日本金属学会講演概要, 148th

  • Fe-Zn-Al系Γ1相単結晶の力学特性
    岡本範彦, 田中克志, 乾晴行, 山口周
    2011年, 日本金属学会講演概要(CD-ROM), 149th

  • S. Harada, K. Tanaka, H. Inui
    2010年09月07日, Material Research Society Symposium Proceedings, 1218, 1 - 6, 英語
    速報,短報,研究ノート等(大学,研究機関紀要)

  • L12型金属間化合物Co3(Al,W)の塑性変形
    岡本 範彦, 岸田 恭輔, 田中 克志, 乾 晴行
    2010年03月08日, 日本学術振興会 耐熱金属材料123委員会研究報告, 51(1) (1), 101 - 106, 日本語
    速報,短報,研究ノート等(学術雑誌)

  • L12型Co3(Al,W)合金の塑性変形機構
    岡本範彦, 足立大樹, 岸田恭輔, 田中克志, 乾晴行
    2010年, 日本金属学会講演概要, 146th

  • チムニーラダーシリサイドに存在する特異な界面と熱伝導
    横林秀幸, 橋本裕, 岡本範彦, 足立大樹, 岸田恭輔, 田中克志, 乾晴行
    2010年, 日本金属学会講演概要, 146th

  • 低温異常強化を示すL12型Co3(Al,W)およびCo3Tiの変形組織
    木岡現一郎, 岡本範彦, 岸田恭輔, 田中克志, 乾晴行
    2010年, 日本金属学会講演概要, 146th

  • CrB2の磁気変態に伴う弾性異常
    田中克志, 永野伸次, 岡本範彦, 乾晴行
    2010年, 日本金属学会講演概要, 147th

  • L12型金属間化合物の降伏応力の温度依存性
    岡本範彦, 岸田恭輔, 田中克志, 乾晴行
    2010年, 日本金属学会講演概要, 147th

  • fcc/L122相Co基超合金におけるγ’析出相の整合性を保つ添加元素の選択
    田中克志, 大島真宏, 岡本範彦, 乾晴行
    2010年, 日本金属学会講演概要, 147th

  • Co3(Al,W)単相合金の引張・圧縮変形挙動
    岡本範彦, 大橋貴志, 岸田恭輔, 田中克志, 乾晴行
    2009年, 日本金属学会講演概要, 144th

  • fcc/L122相Co基超合金の単結晶クリープ変形
    大島真宏, 田中克志, 岡本範彦, 乾晴行
    2009年, 日本金属学会講演概要, 144th

  • HAADF-STEM法によるRe4Si7の結晶構造解析
    原田俊太, 田中克志, 岸田恭輔, 岡本範彦, 乾晴行, 遠藤徳明, 奥西栄治
    2009年, 日本金属学会講演概要, 145th

  • Ir添加Mn4Si7チムニーラダー化合物の結晶構造と熱電特性
    橋本裕, 岡本範彦, 岸田恭輔, 田中克志, 乾晴行
    2009年, 日本金属学会講演概要, 145th

  • 遷移金属ダイボライド単結晶の弾性および熱膨張の異方性
    岡本範彦, 田中克志, 乾晴行, 大谷茂樹
    2009年, 日本金属学会講演概要, 145th

  • fcc/L12二相Co基超合金のクリープ変形組織
    大島真宏, 田中克志, 岡本範彦, 乾晴行
    2009年, 日本金属学会講演概要, 145th

  • 二相組織を有するクラスレート化合物の熱伝導挙動
    北本雄祐, 岡本範彦, 田中克志, 乾晴行
    2009年, 日本金属学会講演概要, 144th

  • 一方向配列Nb相を含む複相合金の組織形態と水素透過特性
    橋本裕, 山口裕司, 岸田恭輔, 岡本範彦, 田中克志, 乾晴行, 石川和宏, 青木清
    2008年, 日本金属学会講演概要, 143rd

  • 空孔規則配列相を有するReSi1.75基シリサイドの熱電特性
    原田俊太, 田中克志, 岸田恭輔, 岡本範彦, 乾晴行
    2008年, 日本金属学会講演概要, 143rd

  • Co3(Al,W)の熱処理による組織変化と力学特性
    大橋貴志, 平山隆浩, 岡本範彦, 岸田恭輔, 田中克志, 乾晴行
    2008年, 日本金属学会講演概要, 143rd

  • 熱処理により熱的APBを除去したFePd単結晶の塑性変形
    王晨, 田中克志, 岡本範彦, 岸田恭輔, 乾晴行
    2008年, 日本金属学会講演概要, 143rd

  • Co/CO3(Al,W)2相合金のγ’相安定性に及ぼす添加元素の影響
    大島真宏, 田中克志, 岸田恭輔, 岡本範彦, 乾晴行
    2008年, 日本金属学会講演概要, 143rd

  • 電子回折によるLa2/3-xLi3xTiO3の結晶構造解析
    後藤健吾, 岸田恭輔, 岡本範彦, 田中克志, 乾晴行
    2008年, 日本金属学会講演概要, 143rd

  • Ni3Sn2基金属間化合物の規則構造とリチウム拡散挙動
    小庄孝志, 岸田恭輔, 岡本範彦, 田中克志, 乾晴行
    2008年, 日本金属学会講演概要, 143rd

  • Ru2Si3基チムニーラダー相の分布と熱伝導率の相関
    小山達也, 原田俊太, 岡本範彦, 岸田恭輔, 田中克志, 乾晴行
    2008年, 日本金属学会講演概要, 143rd

  • L10構造を持つ強磁性化合物の磁気変態温度近傍における磁気異方性
    田中克志, 王晨, 岡本範彦, 岸田恭輔, 乾晴行
    2008年, 日本金属学会講演概要, 143rd

  • Ni基超合金のCuboidal組織におけるγ′相の配列と弾性異方性との相関
    橋本和太郎, 田中克志, 岸田恭輔, 岡本範彦, 乾晴行
    2008年, 日本金属学会講演概要, 143rd

  • La-Ni系合金の水素吸蔵特性に及ぼすブロック層構成比の影響
    松本竜司, 田中克志, 岸田恭輔, 岡本範彦, 乾晴行
    2008年, 日本金属学会講演概要, 143rd

  • クラスレート化合物単結晶の熱および機械的特性
    岡本範彦, 中野貴博, 岸田恭輔, 田中克志, 乾晴行
    2008年, 日本金属学会講演概要, 143rd

  • クラスレート化合物の構造と物性
    田中克志, 金正煥, 岡本範彦, 乾晴行
    2008年, 格子欠陥フォーラム講演予稿集, 2008

  • 清水 宏晏, 大野 聡, 久米 徹二, 佐々木 重雄, 岡本 範彦, 田中 克志, 乾 晴行, 大石 泰生
    一般社団法人 日本物理学会, 2008年, 日本物理学会講演概要集, 63(0) (0), 815 - 815, 日本語

  • 構造I型Ga-Ge混晶クラスレートの高圧ラマン散乱及びX線回折
    大野聡, 久米徹二, 佐々木重雄, 清水宏晏, 岡本範彦, 田中克志, 乾晴行
    2007年, 高圧討論会講演要旨集, 48th

  • 岸田 恭輔, 和田 直之, 入山 恭寿, 小久見 善八, 田中 克志, 乾 晴行
    日本金属学会, 2006年11月, まてりあ, 45(12) (12), 850 - 850, 日本語
    記事・総説・解説・論説等(学術雑誌)

  • Ni3Al基金属間化合物冷間圧延材の微細組織
    岸田 恭輔, 出村 雅彦, 平野 敏幸, 田中 克志, 乾 晴行
    2006年08月, 日本学術振興会 耐熱金属材料123委員会研究報告, 47(2) (2), 187 - 194, 日本語
    速報,短報,研究ノート等(学術雑誌)

  • 熱電金属間化合物―ナノスケール欠陥制御と特性改善
    田中 克志, 岸田 恭輔, 乾 晴行
    2006年07月01日, 金属, 76(7) (7), 781 - 786, 日本語
    [査読有り][招待有り]
    記事・総説・解説・論説等(学術雑誌)

  • 表紙を語る−原子空孔の規則配列を操作する方法を探る−
    田中 克志, 岸田 恭輔, 乾 晴行
    2006年07月01日, 金属, 76(7) (7), 735 - 735, 日本語
    [査読有り][招待有り]
    記事・総説・解説・論説等(学術雑誌)

  • (Ru,Re)Siyチムニーラダー相の熱電特性に及ぼすAl添加効果
    石田央, 岡本範彦, 岸田恭輔, 田中克志, 乾晴行
    2006年, 日本金属学会講演概要, 139th

  • 格子欠陥制御工学-材料機能のイノベーション Re添加Ru2Si3基シリサイドの結晶構造と熱電特性
    石田央, 岡本範彦, 岸田恭輔, 田中克志, 乾晴行
    2006年, 日本金属学会講演概要, 138th

  • Ba-Ga-Ge系クラスレート化合物における内包原子サイトの分裂挙動と格子熱伝導率
    岡本範彦, 田中克志, 乾晴行
    2006年, 日本金属学会講演概要, 138th

  • 強磁場を利用した鉄鋼材料の組織制御研究会報告書 I. 拡散変態に及ぼす磁場の影響 L10型規則合金における磁場中熱処理効果
    田中克志, 市坪哲, 松原英一郎, 塩満一彦, 渡辺和雄, 高橋弘紀
    2006年, 強磁場を利用した鉄鋼材料の組織制御研究会報告書 平成18年, 61 - 68, 日本語

  • 金属ガラスのガラス転移温度近傍における弾性・擬弾性
    田中克志, 市坪哲, 松原英一郎
    2005年03月29日, 日本金属学会講演概要, 136th, 110, 日本語

  • 金属間化合物材料の新たな可能性 Ru2Si3基シリサイドの結晶構造に及ぼすRe添加効果
    石田央, 岡本範彦, SIMKIN Benjamin A, 岸田恭輔, 田中克志, 乾晴行
    2005年, 日本金属学会講演概要, 137th

  • (La,Li)TiO3の一方向凝固法による結晶育成と構造解析
    宮田麻衣, 和田直之, 岡本範彦, 岸田恭輔, 田中克志, 乾晴行, 加古智典, 矢田千宏, 入山恭寿, 小久見善八
    2005年, 日本金属学会講演概要, 137th

  • 金属間化合物材料の新たな可能性 Type-Iおよびtype-IIIクラスレート化合物の二相組織における熱伝導率異常
    岡本範彦, 金正かん, 田中克志, 乾晴行
    2005年, 日本金属学会講演概要, 137th

  • Type-Iクラスレート化合物の原子構造と熱電特性の相関
    岡本範彦, 中野貴博, 田中克志, 乾晴行
    2004年, 日本金属学会講演概要, 134th

  • 直方体共振法による弾性率の測定
    田中 克志
    2001年, 材料の微細組織と機能性 -21世紀におけるニーズアンドシーズ, 日本学術振興会 材料の微細組織と機能性 第133委員会, 13 - 18, 日本語
    記事・総説・解説・論説等(その他)

  • 田中 克志
    日本金属学会, 2001年, 日本金属学会会報, 40(6) (6), 564 - 567, 日本語
    記事・総説・解説・論説等(国際会議プロシーディングズ)

  • FePd,FePtの規則化過程に及ぼす強磁場の効果 (強磁場下の物性の研究--その他)
    田中 克志, 市坪 哲, 天野 雅之
    東北大学金属材料研究所附属強磁場超伝導材料研究センタ-, 2000年06月, 東北大学金属材料研究所強磁場超伝導材料研究センタ-年次報告, (1999) (1999), 167 - 170, 日本語

  • FePd合金の規則化過程に及ぼす磁場効果
    市坪 哲, 田中 克志, 小岩 昌宏, 渡部 和雄
    1999年03月01日, 材料とプロセス : 日本鉄鋼協会講演論文集 = Current advances in materials and processes : report of the ISIJ meeting, 12(3) (3), 599 - 599, 日本語

  • 微小試料による弾性率測定法
    田中 克志
    アグネ技術センター, 1999年, 金属, Vol.69(No. 2) (No. 2), 129 - 134, 日本語
    記事・総説・解説・論説等(商業誌、新聞、ウェブメディア)

  • 田中 克志
    日本金属学会, 1997年, 日本金属学会会報, 36(3) (3), 254 - 259, 日本語
    記事・総説・解説・論説等(学術雑誌)

  • 田中 克志
    日本金属学会, 1996年, 日本金属学会会報, 35(4) (4), 380 - 385, 日本語
    記事・総説・解説・論説等(学術雑誌)

  • 直方体共振法による弾性率の測定
    田中 克志
    1994年, 新素材, 日本工業出版, Vol.5,(No.3, (1994),) (No.3, (1994),), 54 - 58, 日本語
    記事・総説・解説・論説等(商業誌、新聞、ウェブメディア)

■ 講演・口頭発表等
  • クラスター展開法によるFCC二元系合金の弾性定数計算
    寺本 武司, 竹内 大次郎, 田中 克志
    日本金属学会2024年春期第174回講演大会, 2024年03月, 日本語
    口頭発表(一般)

  • MnCoNi のX 線・中性子非弾性散乱
    筒井 智嗣, 脇本 明拓, 梅本 好日古, 池田 陽一, 飯田 一樹, 梶本 亮一, 寺本 武司, 田中 克志
    日本金属学会2024年春期第174回講演大会, 2024年03月, 日本語
    口頭発表(一般)

  • CrMnFeCoNiサブシステムの極低温における構成元素の有効原子半径の測定
    田中 克志, 中野 希一, 寺本 武司
    日本金属学会2024年春期第174回講演大会, 2024年03月, 日本語
    口頭発表(一般)

  • TiNi形状記憶合金におけるマルテンサイト組織の弾性定数測定と内部応力状態解析
    寺本 武司, 田中 克志
    日本金属学会2024年春期第174回講演大会, 2024年03月, 日本語
    [招待有り]
    口頭発表(基調)

  • TiNi形状記憶合金のB19’マルテンサイト相の単結晶弾性率測定
    寺本 武司, 田原 正樹, 細田 秀樹, 筒井 智嗣, 田中 克志
    日本金属学会2023年秋期第173回講演大会, 2023年09月, 日本語
    口頭発表(一般)

  • 晶癖面バリアント形成時の応力場に対する単結晶弾性率の影響
    寺本 武司, 堀尾 昂平, 田中 克志
    日本金属学会2023年秋期第173回講演大会, 2023年09月, 日本語
    口頭発表(一般)

  • CrCoNiのフォノン分散
    筒井 智嗣, 飯田 一樹, 梶本 亮一, 寺本 武司, 松浦 直人, unping Du, 尾方 成信, 田中 克志
    日本金属学会2023年秋期第173回講演大会, 2023年09月, 日本語
    口頭発表(一般)

  • 第一原理計算によるBCC不規則合金の単結晶弾性率計算
    堀尾 昂平, 寺本 武司, 田中 克志
    日本金属学会2023年秋期第173回講演大会, 2023年09月, 日本語
    ポスター発表

  • Ti-Nb-Al形状記憶合金のα”マルテンサイト相における 内部双晶形成時のエネルギー障壁の評価
    寺本 武司, 堀尾 昂平, モハマド コユン, 田中 克志
    日本金属学会2023年春期第172回講演大会, 2023年03月, 日本語
    口頭発表(一般)

  • CrCoNiミディアムエントロピー合金の加工軟化挙動
    田中 克志, 下原 涼太, 寺本 武司, 上路 林太郎
    日本金属学会2023年春期第172回講演大会, 2023年03月, 日本語
    口頭発表(一般)

  • CrMnFeCoNiのフォノン分散
    筒井 智嗣, 飯田 一樹, 梶本 亮一, 寺本 武司, 松浦 直人, Junpin Du, 尾方 成信, 田中 克志
    日本金属学会2023年春期第172回講演大会, 2023年03月, 日本語
    口頭発表(一般)

  • Ni基超合金TMS-26の高温低応力圧縮初期クリープ変形挙動
    田中 克志, 高島 良, 寺本 武司, 高田 裕治, 湯山 道也, 大澤 真人, 川岸 京子
    日本金属学会2023年春期第172回講演大会, 2023年03月, 日本語
    口頭発表(一般)

  • CrCoNiミディアムエントロピー合金の電気抵抗変化と内部組織の関係
    清水 崚雅, 北角 健太郎, 寺本 武司, 田中 克志
    日本金属学会2022年秋期第171回講演大会, 2022年09月, 日本語
    口頭発表(一般)

  • CrMnFeCoNiとCrCoNiのX線・中性子非弾性散乱
    筒井 智嗣, 飯田 一樹, 梶本 亮一, bin Mohamad Izlan Mohamad Qayyum, 下原 諒大, 清水 崚雅, 中野 希一, 脇本 明拓, 寺本 武司, 松浦 直人, 田中 克志
    日本金属学会2022年秋期第171回講演大会, 2022年09月, 日本語
    口頭発表(一般)

  • FCC構造を持つ高エントロピー合金の特異な弾性定数の起源
    田中 克志, 篠原 諒, 大谷 涼, 寺本 武司
    日本金属学会2022年秋期第171回講演大会, 2022年09月, 日本語
    口頭発表(一般)

  • X線非弾性散乱によるTiNi形状記憶合金のB19’マルテンサイト相の弾性率測定
    寺本 武司, モハマド コユン, 下原 諒大, 田中 克志, 筒井 智嗣, 田原 正樹, 細田 秀樹
    日本金属学会2022年秋期第171回講演大会, 2022年09月, 日本語
    ポスター発表

  • Ni基超合金の初期クリープにおける応力符号の影響
    高島 良, 寺本 武司, 田中 克志, 高田 裕治, 湯山 道也, 大澤 真人, 川岸 京子
    日本金属学会2022年秋期第171回講演大会, 2022年09月, 日本語
    ポスター発表

  • CrCoNiミディアムエントロピー合金における短範囲規則の形成に伴う電気抵抗変化
    田中 克志, 北角 健太郎, 篠原 諒, 下原 涼大, 寺本 武司, 上路 林太郎
    日本金属学会2022年春期大会(第170回)大会, 2022年03月, 日本語
    [招待有り]
    口頭発表(基調)

  • CrCoNi ミディアムエントロピー合金における短範囲規則状態の形成と物理的・機械的性質の変化
    田中 克志, 北角 健太郎, 篠原 諒, 下原 涼大, 寺本 武司, 上路 林太郎
    状態図・計算熱力学研究会 第2回研究会, 2021年11月, 日本語
    [招待有り]
    口頭発表(招待・特別)

  • CrCoNi合金の短範囲秩序の形成の速度論
    北角 健太郎, 田中 克志, 寺本 武司, 上路 林太郎
    日本金属学会2021年秋期大会(第169回)大会, 2021年09月, 日本語
    口頭発表(一般)

  • ハイエントロピー合金における電子密度分布
    大谷 涼, 寺本 武司, 田中 克志, 山本 一樹
    日本金属学会2021年秋期大会(第169回)大会, 2021年09月, 日本語
    ポスター発表

  • 純金属から高エントロピー合金に至る弾性定数変化
    篠原 諒, 寺本 武司, 田中 克志
    日本金属学会2021年秋期大会(第169回)大会, 2021年09月, 日本語
    ポスター発表

  • Co基二相超合金におけるCoAl基耐酸化被膜材の作製と評価
    森本 健一郎, 寺本 武司, 田中 克志
    日本金属学会2021年秋期大会(第169回)大会, 2021年09月, 日本語
    ポスター発表

  • TiNbAl形状記憶合金のマルテンサイト変態初期における双晶界面選択の弾性相互作用エネルギー解析
    寺本 武司, 野口 大輔, Mohamad Qayyum, 田中 克志
    日本金属学会2021年春期第168回講演大会, 2021年03月, 日本語
    口頭発表(一般)

  • CrCoNi合金の短範囲秩序の形成に伴う電気抵抗変化
    北角 健太郎, 伊藤 祐介, 寺本 武司, 田中 克志, 上路 林太郎
    日本金属学会2021年春期第168回講演大会, 2021年03月, 日本語
    口頭発表(一般)

  • ハイエントロピー合金の特異な力学特性の支配因子解明
    乾 晴行, 土谷 浩一, 佐藤 裕之, 田中 將己, 橋本 直幸, 増野 敦信, 谷本 久典, 金 熙榮, 花咲 徳亮, 田中 克志
    日本金属学会2020年秋期第167回講演大会, 2020年09月, 日本語
    [招待有り]
    口頭発表(基調)

  • CrMnFeCoNiハイエントロピー合金における構成元素の有効原子半径
    田中 克志, 寺本 武司, 楢崎 桃子
    日本金属学会2020年秋期第167回講演大会, 2020年09月, 日本語
    口頭発表(一般)

  • TiNi形状記憶合金のマルテンサイト変態初期における組織の選択性とエネルギー障壁の関係
    寺本 武司, 永平 和也, 田中 克志
    日本金属学会2020年秋期第167回講演大会, 2020年09月, 日本語
    口頭発表(一般)

  • Co基二相超合金におけるγ/γ'二相と平衡する耐酸化性皮膜の作製と評価
    森本 健一郎, 寺本 武司, 田中 克志
    日本金属学会2020年秋期第167回講演大会, 2020年09月, 日本語
    ポスター発表

  • CrCoNiミディアムエントロピー合金における短範囲秩序の形成
    北角 健太郎, 伊藤 祐介, 寺本 武司, 田中 克志, 上路 林太郎
    日本金属学会2020年秋期第167回講演大会, 2020年09月, 日本語
    ポスター発表

  • Ni基超合金の初期クリープにおける引張と圧縮の非対称性
    徳田龍馬, 寺本武司, 田中克志, 高田裕治, 湯山道也, 川岸京子
    日本金属学会2020年春期(第166回)講演大会, 2020年03月, 日本語
    口頭発表(一般)

  • 純金属からハイエントロピー合金への弾性的性質の変化
    田中克志, 山田和樹, 寺本武司
    日本金属学会2020年春期(第166回)講演大会, 2020年03月, 日本語
    口頭発表(一般)

  • TiNi 形状記憶合金のマルテンサイト変態初期組織の選択性と界面エネルギーの関係
    寺本 武司, 永平 和也, 田中 克志
    日本金属学会 春期講演大会(2019), 2019年03月, 日本語, 国内会議
    シンポジウム・ワークショップパネル(公募)

  • Variation in Positive Temperature Dependence of Strength of L12 Intermetallic Compounds in Co3(Al,W)-Co3Ti Pseudo Binary System
    大前 樹生, 寺本 武司, 田中 克志
    MRS fall meeting & exhibit (2018), 2018年12月, 日本語, 国際会議
    ポスター発表

  • Interfacial Energy and Geometry of Twin Boundary Between Martensite Variants in TiNi Shape Memory Alloy
    寺本 武司, 永平 和也, 田中 克志
    MRS fall meeting & exhibit (2018), 2018年12月, 日本語, 国際会議
    口頭発表(一般)

  • Co3(Al,W)-Co3Ti擬二元L12型化合物における強度の逆温度依存性
    大前樹生, 寺本武司, 田中克志
    2018年度11月期耐熱金属材料123委員会研究報告, 2018年11月, 日本語
    口頭発表(一般)

  • 還元熱処理により作製したMagneli相酸化チタンの周期構造と熱伝導特性
    原田俊太, 小坂直輝, 八木貴志, 田中克志, 乾晴行, 田川美穂, 宇治原徹
    日本金属学会2018年秋期講演大会, 2018年09月
    口頭発表(一般)

  • ルチル型TiO2単結晶への周期的な面欠陥導入に伴う熱伝導率の変化
    小坂直輝, 八木貴志, 田中克志, 乾晴行, 田川美穂, 宇治原徹, 原田俊太
    第79回応用物理学会秋季学術講演会, 2018年09月
    口頭発表(一般)

  • Co3(Al, W) –Co3Ti擬二元L12型化合物における強度の逆温度依存性
    大前 樹生, 寺本 武司, 田中 克志
    日本金属学会 秋期講演大会(2018), 2018年09月, 日本語, 国内会議
    ポスター発表

  • bcc/B2 二相合金Fe-20Ni-20Alの高温クリープ強度
    河合 紀明, 寺本 武司, 田中 克志
    日本金属学会 秋期講演大会(2018), 2018年09月, 日本語, 国内会議
    ポスター発表

  • Ni基超合金高温クリープにおける内部応力場の発達とその役割
    田中 克志
    日本機械学会関西支部 秋季技術フォーラム, 2014年11月, 日本語, 兵庫県立大学, 国内会議
    [招待有り]
    口頭発表(招待・特別)

  • 新規Co基二相耐熱合金開発の現状と問題点
    田中 克志
    日本鉄鋼協会第136回特殊鋼部会, 2014年06月, 日本語, 千葉オークラホテル, 国内会議
    [招待有り]
    口頭発表(招待・特別)

  • Analytical study of elasticity of transition metal disilicides
    田中 克志, 乾 晴行
    The Czech-Japanese Workshop on High- Temperature Intermetallics, 2014年04月, 英語, Institute of Physics of Materials, Academy of Sciences of the Czech Republic, Brno, 国際会議
    [招待有り]
    口頭発表(招待・特別)

  • Co基二相超合金の添加元素による格子定数ミスフィットの変化様式
    田中 克志, 田中 健
    日本金属学会2014年春期講演大会, 2014年03月, 日本語, 東京, 添加元素に応じた格子定数ミスフィットの変化が観察された.一方,この変化の要因を添加元素の金属結合半径と合金内分配で説明することはできない添加元素も多い.Taのように主としてγ’相に固溶しγ’相の格子定数を変化させる添加元素ではほぼ添加元素の金属結合半径で説明できるのに対し, NiやCrのようにな添加元素は,γ-γ’の二相分離の幅を変化させる働きを持ち,結果としてγ相に固溶するW量が変化することで格子定数ミスフィットの値を変化させる働きを持つことが明らかとなった., 国内会議
    口頭発表(一般)

  • Effects of Alloying Elements on Physical and Mechanical Properties of Co–Al–W-based L12/fcc Two-phase Alloys
    田中 克志, 乾 晴行
    THERMEC 2013, 2013年12月, 英語, Las Vegas, USA, The changes in the γ’ solvus temperature and the volume fraction of Co-Al-W based alloys with fcc / L12 two-phase microstructures upon alloying with quaternary elements have been investigated. All investigated quaternary elements, except for Fe and Re, increase the γ’ solvus temperatures of Co-Al-W based alloys with varying efficiencies depending on quaternary element. On the o, 国際会議
    口頭発表(一般)

  • Mg 基LPSO 相の弾性的性質
    上野 彰宣, 田中 克志
    日本金属学会2013春期大会, 2013年03月, 日本語, 東京, 日本, 国内会議
    口頭発表(一般)

  • Fe-Ni-Al 基bcc/B2 二相合金の高温力学特性の添加元素による変化
    河野 良祐, 田中 克志
    日本金属学会2013春期大会, 2013年03月, 日本語, 東京, 日本, 国内会議
    口頭発表(一般)

  • fcc/ L12二相Co 基超合金の解決すべき問題点
    田中 克志
    日本金属学会2013春期大会, 2013年03月, 日本語, 東京,日本, 国内会議
    口頭発表(基調)

  • Co 基二相超合金の格子定数ミスフィットに対する添加元素の影響
    田中 健, 田中 克志
    日本金属学会2013春期大会, 2013年03月, 日本語, 東京,日本, 国内会議
    口頭発表(一般)

  • 材料組織形成の弾性論を用いた解析
    田中 克志
    若手フォーラム「組織制御に関する産学連携推進フォーラム」 第4回研究会, 2012年12月, 日本語, 日本鉄鋼協会, 兵庫県赤穂郡, 日本, 国内会議
    [招待有り]
    口頭発表(招待・特別)

  • Microstructural evolution of monocrystalline Co–Al–W-based superalloys by high temperature creep deformation
    Sumitani Takahiro, Tanaka Katsushi
    Materials Research Society 2012 Fall Meeting, 2012年11月, 英語, Boston, USA, 国際会議
    ポスター発表

  • Difference in elastic properties of CrB2 determined by microscopic and macroscopic measurements
    Tanaka Katsushi, Tsutsui Satoshi, Okamoto Norihiko, Inui Hatuyuki, Baron Alfred Q.R
    Materials Research Society 2012 Fall Meeting, 2012年11月, 英語, Boston, USA, 国際会議
    口頭発表(一般)

  • Ni 基超合金の熱疲労における内部応力の役割
    住谷 昂大, 田中 克志
    日本金属学会2012秋期大会, 2012年09月, 日本語, 日本金属学会, 松山,日本, 国内会議
    口頭発表(一般)

  • CrB2における巨視的弾性率と微視的弾性率の違い
    田中 克志, 岡本 範彦, 乾 晴行, 筒井 智嗣, Baron Alfred Q.R
    日本金属学会2012秋期大会, 2012年09月, 日本語, 日本金属学会, 松山, 日本, 国内会議
    口頭発表(一般)

  • Co基超合金のクリープ変形組織とクリープ寿命の関係
    住谷 昂大, 田中 克志, 乾 晴行
    日本金属学会2012春期大会, 2012年03月, 日本語, 日本金属学会, 横浜市, 国内会議
    口頭発表(一般)

  • Ni 基超合金の組織変化の弾性解析
    田中 克志
    日本金属学会2011年度秋期大会, 2011年11月, 日本語, 日本金属学会, 宜野湾市, 国内会議
    [招待有り]
    口頭発表(招待・特別)

  • Elastic anomaly in CrB2 at around the magnetic transition temperature
    Tanaka Katsushi, Nagano Shinji, Okamoto Norihiko, Inui Haruyuki
    International Conference on Advanced Technology in Experimental Mechanics 2011, 2011年09月, 英語, Kobe, Japan, 国際会議
    [招待有り]
    口頭発表(招待・特別)

  • A Micromechanical Analysis of Creep Deformation Induced Microstructural Evolutions in Nickel Base Superalloys
    Tanaka Katsushi, Hashimoto Wataro, Inui Haruyuki
    Plasticity 2011, 2011年01月, 英語, Puerto Vallarta, Mexico, 国際会議
    [招待有り]
    口頭発表(招待・特別)

  • Morphology Change of γ' precipitates in γ/γ' Two-phase Microstructure in Co-based Superalloys by Higher-order Alloying
    Tanaka Katsushi, Ooshima Masahiro, Okamoto Norihiko, Kishida Kyosuke, Inui Haruyuki
    2010 MRS Fall Meeting, 2010年11月, 英語, Materials Research Society, Boston, USA, 国際会議
    口頭発表(一般)

  • Mechanical Properties of Cr5Si3 with the D8m Structure
    Ochiai Yuji, Kishida Kyosuke, Tanaka Katsushi, Inui Haruyuki
    2010 MRS Fall Meeting, 2010年11月, 英語, Materials Research Society, Boston, USA, 国際会議
    ポスター発表

  • Direct Observation of an Ordered Arrangement of Vacancies and Large Local Thermal Vibration in Rhenium Silicide by Cs-corrected STEM
    Harada Shunta, Tanaka Katsushi, Kishida Kyosuke, Okamoto Norihiko, Endo Noriaki, Okunishi Eiji, Inui Haruyuki
    2010 MRS Fall Meeting, 2010年11月, 英語, Materials Reaserch Society, Boston, USA, 国際会議
    口頭発表(一般)

  • Compression of Micropillars of TiAl Coexisting with Ti3Al
    Fujimura Kazuki, Kishida Kyosuke, Tanaka Katsushi, Inui Haruyuki
    2010 MRS Fall Meeting, 2010年11月, 英語, Materials Research Society, Boston, USA, 国際会議
    ポスター発表

■ 共同研究・競争的資金等の研究課題
  • ハイエントロピー合金の短範囲秩序形成に伴う弾性的性質の変化
    田中 克志
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型), 新学術領域研究(研究領域提案型), 神戸大学, 2021年04月 - 2023年03月, 研究代表者
    CrCoNiミディアムエントロピー合金試料を一定速度で加熱,冷却した時の電気抵抗の温度変化のその場測定結果を行った.圧延ままの試料では電気抵抗は小さく,熱処理を施すことで電気抵抗が増加することが明らかとなった.加熱過程において800 Kから900 Kの間では一旦熱処理後の試料よりも大きな電気抵抗値となる.圧延ままの試料であることから転位の存在が何らかの形で関与していると考えられるが,詳しいことは分かっていない.冷却速度が異なる場合における電気抵抗変化の違いについても検討した.900 K以下では電気抵抗の冷却速度依存性が見られ,冷却速度が速くなると内部の原子配列が熱平衡状態を保てなくなることが分かる.900 K以上では微分値も冷却速度に依存せず,これ以上の温度では試料が熱平衡状態にあることが確認された.また,熱平衡状態からずれ始める温度を求めると,この温度と冷却速度との間はアレニウスの関係を良く満たすことが分かった.この関係がさらに速い冷却速度に外挿しても成り立つと仮定すると,水焼き入れで実現可能な5000 K/秒の焼き入れ速度では1075 K程度の熱平衡状態が焼き入れ可能であるにすぎないことが明らかとなった. 次に1173 Kから水焼き入れを行なった後,653 K, 673 K, 693 Kと熱処理温度を変化させながら電気抵抗変化を測定した.熱処理温度を変化させた時間において活性化エネルギーを求めると,電気抵抗変化に係る活性化エネルギーは240~270 kJ/molと決定された.これはハイエントロピー合金中の各元素の拡散の活性化エネルギー240~320 kJ/molとほぼ同等である.

  • 応力による拡散変態促進メカニズムの解明と応力分布を利用した組織制御への展開
    上路 林太郎, 田中 克志
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(B), 基盤研究(B), 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 2020年04月 - 2023年03月, 研究分担者
    鉄鋼材料の機械的性質向上に有効な加工熱処理プロセスにおいて、そのプロセス条件の最適化に必要な応力と変態の相関について、降伏応力以下の外力による拡散変態促進のメカニズムを解明し、不均一応力場を利用した新しい組織制御法を確立することを目的としている。本年度は、実用鋼の一種であるばね鋼(Fe-0.53C-1.5Si-0.8Cr-0.7Mn)に対して、変態後の組織観察を電子線背面散乱回折(EBSD)測定を行い、応力負荷によりパーライトノジュール(ブロック)が微細化することが明らかとなった。ノジュールサイズの微細化は、初期粒径が大きいほど促進される。このことは、応力による拡散変態の促進が核形成サイト密度の増殖によることを示唆している。温度-弾性変形関係に関しては、前年度整備した弾性定数測定系を用い、鋼の準安定γにおける弾性定数の共振法による高温域のオーステナイトの弾性定数の測定結果が得られた。 上記に加えて温度勾配下の圧縮・相変態挙動を実験により調査した。上記データ収集で対象としたものと同じ組成を有する炭素鋼(ばね鋼等)を用いた。やや大きなアスペクト比を有する試験片(長さ40mm程度×直径8mm程度)に対して、新調した局所加熱コイルを用いて温度勾配を付与した上で圧縮・相変態挙動を明らかにした。降伏応力以下の応力負荷(あるいは無負荷)状態における温度勾配下変態挙動に焦点を絞り、最大3K/mm程度(試験片長手方向におおよそ100K)の応力勾配を付与することに成功したが、温度勾配を伴うパーライト変態挙動に大きな変化は見られなかった。そこで、円周切り欠きを伴う円柱試験片を用い応力勾配化の変態挙動を測定できる実験条件の検討を行った。

  • レンズレスX線カメラの試作と元素分布像への応用
    田中 克志, 寺本 武司
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽), 挑戦的研究(萌芽), 神戸大学, 2020年07月30日 - 2022年03月31日
    本研究では集光系を用いないX線の発光部位をイメージングする新たな手法の開発を目指し,カプトン膜上に蒸着したBiによってMURAコードのマスクを作製した.カプトン膜とBiの接着性が不十分で細かなパターンが脱落し,実用に耐えるマスクを作製することができなかった.画像を再構成するためのソフトウェアは模擬データで評価し,正しく再構成できるソフトウェアを作成することができた.さらにソフトウェアの性能向上を図り,実用的な速度で処理することが可能となった. 以上より,現時点では不十分なものではあるが,集光系を用いないX線の発光部位のイメージングは十分実用的なものであることが明らかとなった.

  • 単結晶弾性定数から見るハイエントロピー合金の力学特性と構造安定性
    田中 克志
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型), 新学術領域研究(研究領域提案型), 神戸大学, 2019年04月01日 - 2021年03月31日, 研究代表者
    CrCoNi三元系,およびMnFeCoNi四元系合金に引き続き,他の三元系,四元系合金の単結晶の作製を行った.一方,弾性率測定については,液体ヘリウムの入手難によって,全ての結晶が揃った時点で測定を行うこととしたため,まだ弾性率測定は行えていない.現在,新たに単結晶の作製が完了した系は,三元系ではFeCoNi, MnFeNi, MnCoNiであり,四元系ではCrFeCoNiである.したがって,残りのfcc単結晶の作製が可能と考えられている三元系CrFeNiと四元系のMnCrCoNiの単結晶の作製が終了次第,全ての合金についての弾性率の測定を行う予定である. 弾性率の温度依存性を議論するにあたり,弾性率測定中の構造の安定性について疑義が生じたため,熱処理に伴う結晶の内部構造の安定性について電気抵抗測定によって調査した.その結果,CrCoNiミディアムエントロピー合金では600℃以下の熱処理において,CrMnFeCoNiハイエントロピー合金では700℃以下の熱処理において,熱処理温度の低下とともに顕著な電気抵抗の増加が起こることが明らかとなった.また,熱処理温度を変化させた時の電気抵抗の変化速度から見積もられた,反応の活性化エネルギーはいずれも200kJ/mol程度であり,拡散の活性化エネルギーより小さいものであった.さらに,焼き入れた試料の電気抵抗変化が見られなかった温度域での反応速度を見積もると0.1s以下のオーダーとなり,単に焼入れ時に熱処理時の熱平衡状態を保存することができていないだけと見ることができた.
    競争的資金

  • 田中 克志, 寺本 武司
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(B), 基盤研究(B), 神戸大学, 2018年04月01日 - 2021年03月31日, 研究代表者
    ルチルを部分的に還元することで導入される面欠陥の周期の変化と熱伝導率の低下割合を部分還元量が異なる試料を作製することで明らかにした.熱伝導率の測定には比較的信頼性の高い定常法を用いることとし,まず定常法の測定系の構築を行った.また,電気伝導率を測定するためのファンデルポー法による電気抵抗測定系も構築し,測定された熱伝導率から電子による熱伝導分を取り除くことで格子熱伝導率を算出した.測定された格子熱伝導率は予想通り面欠陥濃度の上昇に伴い単調に低下したが,その低下率は濃度の上昇とともに減少し格子熱伝導率はある値に漸近していくことが明らかになった.これは,この結晶内にこの面欠陥では散乱されない熱伝導フォノンの成分が存在することを示している.また,同様に格子熱伝導率を低下させる不純物元素(Zr)を添加した時の熱伝導率の低下割合について実測した.面欠陥によってある程度まで減少した試料では不純物元素の添加による原子サイズの欠陥の導入によっても残留していた格子熱伝導率を減少させることはほとんどできなかった.これらから,面欠陥と不純物元素の両者が同じ波長域の熱伝導フォノンを散乱していることが確認された.原子サイズの欠陥によるフォノンの散乱は比較的短波長であることが分かっているため,面欠陥によって散乱されているフォノン成分も比較的短波長成分であることが推測される.次年度は熱処理によって数100nmの大きさの析出物を形成する方法を確立させるとともに,このような比較的大きな欠陥による格子熱伝導率の低下の割合の測定を行う.これにより比較的長波長のフォノンが熱伝導に及ぼしている割合が明らかになると期待している.
    競争的資金

  • 寺本 武司, 田中 克志
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 若手研究(B), 若手研究(B), 神戸大学, 2017年04月01日 - 2019年03月31日
    Ti-Ni形状記憶合金において,室温組織であるマルテンサイト組織の組織形成初期の組織形成メカニズムを解明するために,初期の組織に含まれる双晶界面の界面エネルギーを第一原理計算により評価した.初期構造は体積が小さく,双晶界面エネルギーが組織の主な形態を決定する支配因子であると予測したが,界面エネルギーの大きさだけでは組織形成過程を説明できず,弾性歪エネルギーも考慮する必要があった.したがって初期組織の構造決定は比較的大きなスケールで生じていることが示唆された.

  • 田中 克志, 佐藤 博紀, 高井 優
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(B), 基盤研究(B), 神戸大学, 2014年04月01日 - 2017年03月31日, 研究代表者
    部分還元されたTiO2-x(x~0.1:マグネリ相)はTiO2層とTi2O3層が規則的に配列した自然超格子である.電気特性を変化させずに熱伝導率を低下させるため4価のZrとSnの添加を試みた.Zrは期待通り固溶したが,Snは固溶しなかった.しかしながらZrを固溶させることで熱伝導率はそれほど低下せず,電気的な特性が劣化する結果となり熱電特性を改善することはできなかった.
    競争的資金

  • 田中 克志
    科学研究費補助金/挑戦的萌芽研究, 2012年04月 - 2013年03月, 研究代表者
    競争的資金

  • 田中 克志
    科学研究費補助金/挑戦的萌芽研究, 2011年04月 - 2012年03月, 研究代表者
    競争的資金

  • 田中 克志
    科学研究費補助金/基盤研究(B), 2009年04月 - 2012年03月, 研究代表者
    競争的資金

  • 田中 克志
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究, 挑戦的萌芽研究, 神戸大学, 2012年 - 2012年
    ニッケル基超合金単結晶合金中にはデンドライト境界に幾何的に要求される転位が存在する.本研究ではクリープ変形におよぼす亜粒界の空間的分布の影響を明らかにした.結晶成長方向(亜粒界伸張方向)に平行,および垂直な方向へ圧縮応力を加えたクリープ試験では,平行方向のクリープの強度は非常に大きく初期クリープ歪も小さかった. また,亜粒界を内部に含まないマイクロ試験片を用いる高温低応力クリープ変形試験の試験装置を開発した.

  • 田中 克志
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究, 挑戦的萌芽研究, 神戸大学, 2011年 - 2011年
    これまでのサーモリフレクタンス法による熱拡散率の測定では点,または面光源で加熱・試料温度の検出を行う方法を取ってきた.この方法は熱物性顕微鏡で一般的な方法であり,試料各部の熱拡散率の測定には適した方法である.本研究では,周期加熱レーザーを直線形状とすることで試料内の伝熱方向を限定するとともに熱波の減衰を抑える工夫をした.これにより周期加熱レーザーの変調周波数を高くすること,および光源から遠く離れた場所まで熱波の伝播を測定することが可能となり,熱拡散率の変化に対する分解能が向上した.さらに熱の伝達方向を制限することで異方性材料における熱拡散率の異方性を測定することも可能となった.現在のところ,粒界の熱抵抗の測定が十分できているとは言い難いが,測定のノウハウの蓄積が進んでおり,粒界の性格の違いによる熱抵抗の測定も可能なレベルに達しつつある.

  • 田中 克志, 岡本 範彦
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(B), 基盤研究(B), 2009年 - 2011年
    本研究では,シアー構造を持つ欠陥の導入によって電気伝導を示すようになることが報告されている酸化物半導体(具体的には酸素欠損型TiO2)について,電気伝導特性,熱伝導性の詳細を調べることで導電性の面欠陥を持つ材料を熱電材料として利用する可能性を明らかにした. 酸素欠損型TiO2においてZTの最高値として0. 12を得ることができた.これは通常の方法で焼結した酸化物としては非常に高い性能である.この高いZT値はシアー構造部で熱フォノンが強く散乱されていることによっていることが明らかとなり,熱フォノンの散乱源を熱処理という簡便な方法で大量に導入することが可能であることが示された.

  • 岡本 範彦, 乾 晴行, 田中 克志, 岸田 恭輔, 足立 大樹
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 若手研究(スタートアップ), 若手研究(スタートアップ), 京都大学, 2008年 - 2009年
    Ru_2Si_3とMn_4Si_7を結ぶ広い固溶領域にわたってチムニーラダー化合物Ru_<1-x>Mn_xSi_yが安定に存在することを明らかにした.一方向凝固を行うと,組成の異なる多数のチムニーラダー相が凝固方向に伸張した組織が得られ,チムニーラダー相界面では,金属(Ru+Mn)副格子は連続的であるが,Si副格子の周期のみが不連続であることがわかった.異相界面に垂直な方向の電気特性は異相界面密度に依存しないが,格子熱伝導率は界面密度の増加とともに減少し,熱電無次元性能指数は増大した.

  • ディスプロポーショネーションの材料科学とその工学的応用
    乾 晴行, 岸田 恭輔, 田中 克志, 岡本 範彦
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 萌芽研究, 萌芽研究, 京都大学, 2008年 - 2008年
    地球環境保全のためCO_2ガス排出量の削減に向け多くの取り組みがなされる中,自動車駆動電源としての水素エネルギーが注目されている.実用的には水素をより多く吸蔵する合金が必要であり,Mg系合金に研究が集中している.Mg系合金では,La-Ni系合金とハイブリッドな水素吸蔵合金を作製すると不均化反応が抑制でき可逆的水素吸蔵放出量を維持できたり,遷移金属との積層体で一連の不均化反応を利用して可逆的水素吸蔵放出量や水素化反応速度を増加させ,水素の放出温度を本質的に低下させる試みがなされていたりと,不均化反応が重要な役割を果たすことが明らかになりつつある.本研究では,不均化反応を促進あるいは抑制する因子を実験的,理論的に探求し,不均化反応を積極的に工学的に応用する方策を見出すことを目的とした.特に,純Mgの水素放出温度に及ぼす応力効果,RE-Ni-Mg(RE:希土類金属)系におけるハイブリッド化合物の不均化反応抑制機構を調べた.純Mgはその水素化物の解離温度が350度と高いが,解離時に応力が加わると解離温度が低くなるとの仮説のものと,熱力学的に解離温度-応力の関係を導き,これを実証した.実証では,計算に基づいて4GPaの応力下,270度で水素化物の解離を行わせ,X線回折により純Mgの体積分率が大きく増加することを見出した.RE-Ni-Mg系ハイブリッド化合物では,REとしてCeを添加するほど不均化反応が促進され,Niの代わりにCoを添加するほど不均化反応が抑制されることを明らかにした.不均化反応の促進,抑制は水素化物の生成エンタルピーの変化により熱力学的に説明でき,ハイブリッド化合物の電池としての応用上,重要な知見が得られた.

  • 乾 晴行, 岸田 恭輔, 田中 克志, 岡本 範彦
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(A), 基盤研究(A), 京都大学, 2006年 - 2008年
    Re, Ruのシリサイドに注目して, これらシリサイドのシリコン副格子(サブラティス)の配列の多様性に基づいた特異な微細組織を制御して, その特性改善および新たな物質探索, 特性向上の指導原理の確立を目指した.「金属副格子を一定に保つことによって電気伝導を低減することなく, Si副格子のナノ・スケール変調から生じる相界面により熱伝導を低減する」サブラティス・エンジニアリングがこれらの目的に有用であることを明らかにした.

  • 全固体リチウム2次電池のイオニクス界面ナノ構造設計
    乾 晴行, 岸田 恭輔, 田中 克志
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 萌芽研究, 萌芽研究, 京都大学, 2007年 - 2007年
    リチウム2次電池は,高作動電圧,高エネルギー密度から,小型で軽量な電池を構成でき,モバイル機器の駆動電源として使用されているが,一般に,電解質は可燃性の有機電解液で,液漏れ,発火の危険性があり,安全性の確保が大きな課題である.そのため,本質的な安全性の改善を目指して,可燃性の有機電解液を不燃性の固体電解質に置換する全固体リチウム2次電池の研究開発が進められている.電池の起電反応は活物質と電解質の界面で生じることを考えると,界面特性制御も視野に入れた正極/電解質/負極の材料の選定は非常に重要である.本研究では,正極としてLiCoO_2,固体電解質としてLLT((Li,La)TiO_3)を取り上げ,正極/電解質界面に的を絞って,この界面に電気化学的活性を持続的に付与するための条件を界面のナノ構造制御の観点から明らかにすることを目的とした.固体電解質LLTに正極LiCoO_2を貼付して電気化学特性を測定すると,界面構造の相違によりサイクル特性が大きく異なる.すなわち,LLTをへき開し正極を貼付したもの(へき開材)は,へき開後,機械研磨を経て正極を貼付したもの(機械研磨材)よりもはるかにサイクル特性が悪く,前者の充放電の過電圧はサイクル毎に変化するのに対し,後者のそれはサイクル数に依存しない.これは,へき開材ではLLTにLiCoO_2が直接接しているのに対し,機械研磨材では界面のところどころに島状にLLTの非晶質層がナノスケールで形成されてLLT非晶質層が,充放電に伴う正極の収縮・膨張により界面に生じる応力を緩和し割れを防止する役割を果たすためである.そのため,電気化学サイクル後には,へき開材では正極/電解質界面に沿って割れが発生するのに対し,機械研磨材では全く割れが発生しない.LLT単結晶についても同様の結果を得,{110}を最も持続的な電気化学特性を与える表面方位として決定した.

  • 対人援助(心理臨床・ヒューマンケア)の倫理と法、その理論と教育プログラム開発
    浜渦 辰二, 松田 純, 田畑 治, 田中 克志, 早矢 彩子, 磯田 雄二郎, 星野 和実, 藤本 亮, 正木 祐史
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(B), 基盤研究(B), 静岡大学, 2005年 - 2007年
    本研究は、臨床人間学や生命倫理学、応用倫理学での研究実績をふまえ、心理臨床家の教育にたずさわるスタッフと社会福祉、少年法、刑事法等の専門家とが共同して、「援助・支援の倫理学」を構築し、「援助専門職のための倫理と法」教育の充実にむけた実践的な教育プログラムの開発をめざすものである。その際、ケアの国際比較を通してわが国の文化的、歴史的風土に合致した援助のあり方を探究しながら、そのための教育システムを構築することが重要である。 平成17年度から平成18年度にかけて、諸外国の視察調査を行うと同時に、各年度に、地域の対人援助職関係者および法曹関係者を招いた講演会を行い、平成18年度には、こうした問題についての市民啓発活動として、公開講座「対人援助の倫理と法」を行った。また、教科書『ケースブック心理臨床の倫理と法』出版を目指した活動として、平成17年度から始めた大学院臨床人間科学専攻の総合科目「対人援助の倫理と法」において、具体的なケースを取り上げてディスカッションを重ね、平成18年度の講義により『講義の記録及びレジュメ集』を作成、平成19年度後期の講義でもそれを活用し、内容を練り上げてきた。そして、平成19年度には、公開シンポジウムを開催して、これまでの研究成果を踏まえて、地域の関係者の皆さんとの対話を試みた。ここでのディスカッションでも、対人援助とりわけ心理臨床の分野において、倫理的・法的対応への取り組みがきわめて切実であることが改めて明らかになった。当初計画していた『ケースブック心理臨床における倫理と法』の刊行は、研究年度内には実現できなかったが、もうほぼ完成に近づいており、近刊予定である。

  • 分子キラリティー識別のナノ電子回折法
    乾 晴行, 邑瀬 邦明, 岸田 恭輔, 田中 克志
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 萌芽研究, 萌芽研究, 京都大学, 2006年 - 2006年
    物体には鏡像関係にあり,互いに重ね合わすことができないものが存在する.右手と左手はその一例で,キラルな物体あるいは対掌体,鏡像異性体と呼ばれる.鏡像異性体は,それぞれ単独に存在する時には物理的、化学的性質に差はないが,生体系は基本的に不斉環境にあるため鏡像異性体間で生理活性が異なる場合が多く,医薬品,食品などではこの区別,識別は大変重要である.本研究では,最近,考案・開発したナノ結晶にも応用できる結晶のキラリティー識別のための電子回折法を拡張,発展させて,分子のキラリティー識別を可能にする新規な方法の開発の可能性を検証した.第1ボルン近似を使ったマルチスライス法のアルゴリズムにより回折図形の計算を行った.分子における並進対称性の欠如のため,各スライス毎に回折角に関するピクセルを切って連続的な波数ベクトルにっいてマルチスライス計算を行った.分子には座標軸の取り方に任意性があるが,点群C_<2n>に属するシスチン(C_2対称),DMP323化合物(C_2対称),BphC酵素(C_4対称)で最も対称性の高いC_n軸である2回軸をz軸として取ると,電子線の入射方向をz軸に垂直にセットすれば,振幅は等しく位相が異なる分子構造因子を持つ回折線が非対称に現れ,右手系分子と左手系分子で強度の非対称性が反対称となるため,分子のキラリティー識別が可能であることが分かった.分子としてキラリティーを持ちうる10点群のうち,8点群は2回軸を持つため,同様に2回軸に垂直に電子線を入射させれば,強度の非対称性から分子のキラリティー識別が可能であることが分かった.2回軸を持たない点群C_1,C<2n+1>に属する分子では,本方法でのキラリティー識別は困難である.

  • Ni基超合金の弾性歪測定によるタービン翼寿命予測
    田中 克志, 上路 林太郎, 岸田 恭輔, 角田 直人
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(B), 基盤研究(B), 2003年 - 2006年
    クリープ変形を考慮に入れた弾性歪エネルギーの計算をするにあたりこれまでに報告されている実験事実を踏まえ,「クリープ転位が移動するのはγ相内のみでありγ'相内に転位は進入しない」,「[001]引張応力に対して,全ての<101>/{111}すべり系が等価に活動することでクリープ変形が進行する」の2つを仮定した.加えて計算の単純化のために「全てのクリープ変形は転位の移動によって生じた塑性歪である」「ラフト構造は理想的なγ,γ'相の平板の積み重なりである」の2つの仮定を導入した.このような固有歪を持つγ相をγ'相と(クリープ転位を界面に残した状態で)貼り合わせることで格子定数ミスフィットとクリープ歪の両者が存在するときのγ,γ'両相中の平均的な内部応力状態を再現することができる.内部応力状態の計算には完全なラメラ構造を考えた.この構造には周期境界条件を適用し,かつ表面に垂直な応力成分は0に固定した.適当なクリープ変形歪の値に対して,結晶軸方向は固定した状態でラメラ面の面法線方向を変化させ弾性歪エネルギーを計算した. クリープ変形歪が0%の場合,ラメラ法線方向が<100>方向で弾性歪エネルギーが最低になり,外部応力が無い場合はいわゆるcuboidal組織が安定であることが確認された.γ相のクリープ変形歪が0.2,0.4%と大きくなっていくと,ラメラ法線方向が[001]方向の弾性歪エネルギーが急速に低下していくのに対して,[100]方向の弾性歪エネルギーは大きくなる.これは(001)ラフトが弾性的に安定化されていることを示しており,弾塑性論に基くラフト化の機構に関する従来からの報告と一致するものである.しかしながらγ相のクリープ変形歪が0.4%より大きい値(0.6,0.8%)となると,ラメラ法線方向が[001]方向では弾性エネルギーが極大値をとるようになり,[111]方向に大きく傾いた方向で最小値をとるようになる.つまり(001)ラフト構造は弾性的に不安定なものとなることが明らかとなった.

  • 空孔規則相シリサイド半導体の構造物性
    乾 晴行, 田中 克志, 岸田 恭輔
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 萌芽研究, 萌芽研究, 京都大学, 2005年 - 2005年
    組成幅がほとんどない化合物であるラインコンパウンドには,組成が古典的な化学量論に従わず構成元素比が整数でないものが多数存在する.このようなラインコンパウンドの基本的構造はほとんど既知であるが,実際には基本構造に多量の構造的原子空孔が組み込まれた空孔規則相として存在することが多い.特異な構造ゆえにラインコンパウンド空孔規則相には,その基本構造では考えられない高電気伝導度や低熱伝導率などの特異な物性を示すものがしばしば存在する.最近,我々は新たな熱電変換材料を探索する中,ReSi_<2-X>(X=0.25)やBa_8Ge_<46-X>(X=3)がこのような特異な物性を示すラインコンパウンド空孔規則相であることを発見し,本研究では,構造,特に「空孔規則構造」と「構造と物性の強相関」に関する系統的理解を目指して研究を行った.ReSi_<2-X>では,Reとの価電子数の多寡により空孔濃度を増減させることができ,その結果インコメンシュレート相が形成されるが,合金元素量増加に伴いインコメンシュレート構造は,シアー構造からアダプティブ構造へと変化する.この変化がおきる合金組成は合金元素に依存し,Moなどでは少ない添加量でこの変化が起こるものの,Ru, Fe, Cr, Nbなどでは固溶限ぎりぎりまでシアー構造が安定となる.熱電特性は概して,シアー構造を取る場合に低く,アダプティブ構造を取る場合に高い.たとえば,2%程度の合金添加でアダプティブ構造が形成されるMo添加の場合,[001]方向で得られた無次元性能指数は800KでZT=0.85(n型)であり,2元系Reシリサイドをはるかに凌駕する.添加量としては,シアー構造からアダプティブ構造へ変化するぎりぎりの組成で最も性能が良く,それ以上の添加ではかえって特性を悪くする.

  • 新規なキラリティー,ポラリティー識別のナノ電子回折法の開発と材料工学への応用
    乾 晴行, 田中 克志, 岸田 恭輔
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(B), 基盤研究(B), 京都大学, 2004年 - 2005年
    結晶に中心対称がなければはポラリティー,キラリティーが存在する.ポラリティーのある結晶では一般に正負の方向で物理的,化学的性質が異なり,電気伝導や結晶成長挙動に差が生じ,キラリティーのある結晶では鏡像異性体で生理活性が異なり,その識別は材料工学の立場から非常に重要である.本研究では,ポラリティー,キラリティー識別のための新しいナノ・スケール電子回折法の学理を確立し,より簡便にこの識別ができる条件を理論的に解明し,材料工学の立場からオプトエレクトロニクス材料や医薬品関連分子性結晶への応用を図りその実証を行うことを本研究の目的とした.1枚の電子回折図形に多数のバイフット対反射が位置に関して対称的に配列するように入射電子線の方位を選定し,多重散乱によりバイフット対反射に強度非対称を生じさせ,ポラリティー,キラリティーの識別が行えることを理論的に解明し,その技法を多くの無機結晶,有機結晶に実験的に適用した.入射電子の加速電圧が高いほど,また,試料厚さが薄い(消衰距離まで)ほどより明瞭に強度非対称が現れ,より簡便にポラリティー,キラリティーの識別ができる.異常分散効果を利用するX線回折による解析に比べ,複数の構成元素を含む必要がないため元素(例えばTe)にもこの方法が適用できる.また,試料が重元素を含む必要が無いため有機結晶にも容易に応用が可能である.有機結晶の場合,電子照射損傷が激しいため低温にまで試料を冷却する必要があるが,市販のホルダーで容易に行える.回折図形をリアルタイムでビデオ録画すると冷却なしにでも観察およびその後の解析が可能となる.また,光学的に不透明な無機結晶の多結晶体にも容易に適用ができ,キラリティーの生成確率が1:1であることを世界ではじめて明らかにした.

  • 金融システムの変革・不良債権問題と地域金融・企業をめぐる法・政策研究
    田中 克志, 藤原 俊雄, 長谷川 新, 居城 弘, 鳥畑 与一, 山本 義彦, 浅利 一郎, 石田 秀博, 佐藤 誠二
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(B), 基盤研究(B), 静岡大学, 2002年 - 2004年
    上記の研究課題に関し、法学と経済学との学際的観点からの研究活動を行い、以下の論稿を成果とし、研究成果報告書にまとめた。 1 金融システムにおける地域・中小金融 (1)金融システム改革論における地域・中小金融機関について (2)「金融再生」とリレーションシップバンキング-地域・中小金融機関問題を中心として 2 地域金融の発展と金融システムの改革 (1)地域金融をめぐる金融行政の検証、(2)足利銀行の破綻処理と地域金融の再編、(3)地域金融をめぐる理論的整理-リレバンと再生ファンド、(4)プロシクリカリティによる経済危機の加速 3 地域金融・企業をめぐる不良債権処理・資金調達と担保・執行法制の改革 (1)地域金融・中小企業金融と担保・保証、(2)不良債権回収と担保制度、(3)資金調達手段の多様化と担保・保証制度 4 不良債権・企業金融等に関わる会社法上の問題 (1)自己株式取得規制の転換、(2)敵対的企業買収防衛策としての新株予約権の発行、(3)株式の譲渡制限制度の改変、(4)新株の有利発行と取締役の第三者に対する責任、(5)株主の帳簿閲覧請求権の問題点、(6)我が国企業の海外における事業活動と法令遵守 5 日本資本主義の発展と金融危機の諸相 (1)日本資本主義の発展と金融危機の諸相

  • 局在量子構造探求のための研究基盤の体系化
    足立 裕彦, 高野 幹夫, 田中 功, 菅野 了次, 田中 克志, 吉田 朋子
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 特定領域研究, 特定領域研究, 京都大学, 2000年 - 2004年
    本研究班では,局在電子構造の関与する複雑系についてのシミュレーションを行い,実験と密接な連携を行うことを目的としている。計算手法は主に平面波基底の第一原理擬ポテンシャル法を採用し,必要に応じて,原子軌道関数基底でのバンド計算を併用した.本年度としての成果を以下に箇条書きにする. 1)ZnOおよびMgO中のAlおよびGa溶質元素の存在状態を第一原理計算で予測した上で,本グループにてppmオーダーの不純物添加系を系統的に作製し,陽イオン空孔と不純物との相互作用を阪大グループとの共同研究での陽電子寿命測定により直接的に検証した.このようなextrinsitc要因の陽イオン空孔の生成をppmレベルで直接検証したのは世界ではじめての成果である. 2)民間企業との共同研究腕スピネル型LaCrO_3中のCr空孔の生成についての理論計算を行った.この結果は,酸化物固体燃料電池(SOFC)のセパレータの材料設計に有用である. 3)XANES/ELNES理論計算法を,米国ミズーリ大のChing教授らとの共同研究で確立し,酸化物系,窒化物系などで多くの応用例を示した. 4)ppmオーダーの不純物を添加したZnOおよびMgO系について,SPring8でのXANES実験を行い,超微量元素の定量的な状態分析技術を確立した. 5)新規リチウムイオン導電体の探索を,実験と理論計算の連携によって進めた。 これらは,すべて,特定領域の研究グループ間での密接な連携のもとに成り立っている.

  • 新規な高性能(ZT>1)熱電変換材料―Reシリサイド
    乾 晴行, 田中 克志
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(B), 基盤研究(B), 京都大学, 2002年 - 2003年
    熱電材料の特性は,ゼーベック係数,電気伝導度,熱伝導度をα,σ,κ,とすると,性能指数Z=α^2σ/κあるいはこれに温度Tを乗じた無次元性能指数ZTで表される.これらの値が大きいほど熱【double arrow】電気の変換効率が高く,ZT=1が実用化の目安とされている.地球環境問題でのエネルギー有効利用やエレクトロニクス産業の高機能化の観点から熱電材料に再び注目が集まっているが,ZT>1を満たす熱電材料はほとんど見つかっていない。我々は,Reシリサイドが2元系プロトタイプとしてZT=1に迫る優れた熱電特性を示すことを世界に先駆けて発見し,高密度のSi空孔を含む特異な結晶構造に着目して,価電子制御(多元化)の観点から空孔密度,インコメンシュレート相などの微細構造を制御して,実用化に耐え得るさらなる特性向上を図った.2元系では無次元性能指数は[001]方向で特に優れ,800KでZT=0.75を示す.Reとの価電子数の多寡により空孔濃度を増減させることができ,その結果インコメンシュレート相が形成されるが,合金元素量増加に伴いインコメンシュレート構造は,シアー構造からアダプティブ構造へと変化する。この変化がおきる合金組成は合金元素に依存し,Mo, W, Alなどでは少ない添加量でこの変化がおこるものの,Ru, Fe, Cr, Nbなどでは固溶限ぎりぎりまでシアー構造が安定となる.熱電特性は概して,シアー構造を取る場合に低く,アダプティブ構造を取る場合に高い.たとえば,2%程度の合金添加でアダプティブ構造が形成されるMo添加の場合,[001]方向で得られた無次元性能指数は800KでZT=0.85(n型)であり,2元系Reシリサイドをはるかに凌駕する.添加量としては,シアー構造からアダプティブ構造へ変化するぎりぎりの組成で最も性能が良く,それ以上の添加ではかえって特性を悪くする。シアー構造を取りアダプティブ構造が形成されないRu, Fe, Cr, Nbなどの添加では特性の改善は見られなかった.これに対し,SiをAlで置換すると,結晶全体としては大きな微細構造の変化はないものの,双晶境界に局所的に,アダプティブ構造が散在して形成され,[010]方向の無次元性能指数は400KでZT=1(p型)を超える高い性能を示した.

  • 広温度域メカニカル・スペクトロスコピー測定システムの開発と応用
    沼倉 宏, 田中 克志
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(B), 基盤研究(B), 京都大学, 2001年 - 2003年
    (1)装置の開発 室温から約1000℃までの温度範囲において,10^<-5>Hzから10Hzの振動数領域で強制振動法により固体の弾性・擬弾性特性を測定できる装置を開発した.試料の寸法は太さ0.5-2mm,長さ20-50mm程度の棒状,あるいは同程度の剛性を持つ板状で,歪振幅10^<-5>ないし10^<-4>の捩り振動における応力と歪の関係(複素弾性率の実部と虚部)を測定し,弾性率と内部摩擦を求めるものである.測定はコンピュータにより自動化されており,温度を一定に保った状態で振動数を走査して測定を繰り返し,弾性率と内部摩擦を振動数の関数として求める.一定の速さの温度を変化させながら測定することも,また共振自由減衰法で内部摩擦を測定することも可能である. (2)応用 Ll_2型金属間化合物および規則合金における原子拡散による擬弾性緩和を測定し,原子ジャンプの頻度と拡散係数を求めることに成功した.また,体心立方金属中の侵入型溶質原子の拡散による緩和現象の測定を系統的に進め,理論的に予想された緩和強度と緩和時間が十分な精度で測定できることを確認した.

  • 放射光を用いた超臨界金属流体の静的・動的構造の解明
    田村 剛三郎, 下條 冬樹, 星野 公三, 乾 雅祝, 内海 渉, 船越 賢一, 沼倉 宏, 田中 克志, 舟越 賢一
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 特別推進研究, 特別推進研究, 1999年 - 2003年
    水銀、セレンおよびアルカリ金属等の金属流体を対象としてその静的・動的構造を解明するために、第3世代大型放射光施設SPring-8を利用してX線回折、X線小角散乱およびX線非弾性散乱測定を行った。 1)高圧装置の開発:1700℃、ヘリウムガス圧縮による2000barまでの高温高圧下で放射光実験が可能な内熱型高圧容器の開発し、X線回折、X線小角散乱、X線非弾性散乱用に異なる3種類の高圧容器を製作した。国の特別認可を得て、これらをガス圧縮装置と共にSPring-8の3つのビームラインに設置した。 2)流体水銀:X線回折により、液体から気体にいたる広い密度領域において、完成度の高い構造因子S(Q)と二体分布関数g(r)を得た。その結果、密度の減少と共に、最近接原子分布の中でもより近い位置にある原子の数が選択的に減少すること、さらに配位数のゆらぎが発生することが、金属-非金属転移の誘因であることが分かった。次に、X線小角散乱により臨界散乱の観測に初めて成功すると共に、臨界密度ゆらぎの他に金属-非金属転移に付随する中距離スケールの弱い密度ゆらぎの存在することを見出した。さらに、X線非弾性散乱測定を行い、広い温度圧力領域における非弾性散乱スペクトルを得た。その結果、金属-非金属転移領域において通常の音速に比べ3倍もの速い音速が存在することを見出した。さらに、この速い音速が金属-非金属転移を引き起こすゆらぎに深く関わっていることが明らかになった。 3)流体セレン:X線回折により、液体から気体に至る広い密度範囲で完成度の高いS(Q)とg(r)を得ることができた。さらに、X線小角散乱測定を行い臨界散乱の観測に成功すると共に、半導体-金属転移に伴う弱い密度ゆらぎが存在することを見出した。 4)流体ルビジウム:新たに開発した単結晶モリブデン容器を用いることによって、液体から気体に至る広い範囲でのX線回折測定に初めて成功した。実験結果と第一原理分子動力学シミュレーションの結果を合わせ考えることにより、膨張してゆく流体ルビジウム中に、非常に速い段階で、すなわち臨界温度から遠く離れた液体金属領域において二原子分子が出現するという興味深い事実が明らかになった。

  • 顕微鏡サイズ結晶に対する非接触弾性率測定装置の試作
    田中 克志, 児玉 功
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(B), 基盤研究(B), 2001年 - 2002年
    従来,単結晶弾性率の測定には最低でも数mm角の大きさの試料が必要であるとされていた.本研究では,これまで主として誘電体の弾性率測定に用いられてきたブリルアン散乱による弾性率測定に着目した.ここでは検出感度,およびコントラストを向上させることによって金属など光に対して不透明な材料においてもブリルアン散乱スペクトルを得ることを目指し,さらに顕微鏡と組み合わせることによって数十μmの大きさの領域からの散乱スペクトルをえることを目指した. 装置全体の高効率化と小型化のため,従来用いられてきたアルゴンイオンレーザーを使用せず,近年急速に性能が向上し普及してきたレーザーダイオート励起固体レーザーを採用した.このレーザーの評価を行った結果,装置体積にして1000分の1以下,必要な電源容量100分の1以下であり,特別な電源施設,水冷を必要としないにもかかわらず,アルゴンイオンレーザーと同等の光出力と十分に狭いスペクトル線幅を有していることが示された.これによってブリルアン散乱測定系全体の大きさも10分の1以下の容積にまとめることが可能となった.ブリルアン散乱光の検出においても十分な低雑音性を維持しながら,量子効率が40%と一般的なものの2〜3倍の感度を持つ光電子増倍管を採用し,弱い散乱光を高いS/N比で検出することができるようになった. このように最新のデバイスを使用することでブリルアン散乱測定系を小型かつ高感度のものとすることができた.

  • Ni基超合金の弾性率ミスフィット制御によるラフト化の促進
    田中 克志
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(C), 基盤研究(C), 京都大学, 2001年 - 2002年
    ラフト組織形成に対する連続体弾性論を用いた計算はすでにNabarroらによって行われているが近似の導入方法など疑問点が多い.歪場分布の計算時に弾性率ミスフィットを考慮しない一次近似の計算では,ラフト化に伴う弾性歪エネルギーの変化はNabarroらの結果と一致し,現実のラフト構造形成の方向とも一致する.しかしながらあらわに弾性率ミスフィットを考慮し,巨視的な変形を考えた場合,この一次近似の計算が明らかに誤った計算であることが明らかとなった.この場合生成するラフト構造は必ず横ラフトであって,この形成に格子定数ミスフィットは関係せず,また,外力が圧縮,引張応力であることにも依存しない.この結果は実験結果とは一致せず,ラフト構造形成について全てを弾性論で議論することは不可能であることが初めて示された. ラフト構造の形成前にある程度の転位が導入されている可能性が高い.変形転位が元の組織のどの部分を動くことができるかを考えた場合,いわゆるγ相の縦チャネルには(通常の横ラフト形成の条件では)弾性歪の効果によってすべり変形では進入することができないことが明らかとなった.したがって,変形転位によるγ,γ'界面の弾性歪の緩和に異方性が生じることが示された. 純弾性論から導かれるラフト化の駆動力は,まさにγ,γ'相の間の弾性率ミスフィットによるものであることから,弾性率ミスフィットが大きくなるように制御することは変形転位が導入される前の極初期におけるラフト化の促進に役立つ.一方で,変形転位導入後のラフト化においては弾性率ミスフィットの大きさによる部分は小さく,ほとんどが格子定数ミスフィットの大きさによって決まる.したがって,現実のクリープ変形においてラフト化を支配しているのは格子定数ミスフィットであり,弾性率ミスフィットはそれを強調する効果として表れるものと結論付けられた.

  • 水素吸放出による水素吸蔵化合物の微粉化の限界-それ以上微粉化しない臨界サイズに達した化合物の物性と水素吸放出-
    山口 正治, 伊藤 和博, 田中 克志
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(A), 基盤研究(A), 京都大学, 2000年 - 2002年
    FeTiを主たる対象として、水素吸蔵に伴う微粉化と転位導入について研究する過程で、格子欠陥あるいは格子欠陥と同様に歪を伴う第2相を導入することによって水素吸蔵材料の水素吸放出特性を改良できることを見出した。この成果を積極的に応用し、容易に水素を吸収するが放出しない化合物と合金の水素吸放出特性を改良することを試みるに至った。 水素吸放出特性を改善するための組織変化を、格子欠陥の導入のみならず水素吸蔵合金を複相化することによってもたらすことも可能である。Ti-22Al-27Nb(at.%)合金は、bcc相(あるいはその規則相)単相あるいはこれらの相と斜方晶O相の2相組織に作り込むことができる。この合金のbeta-to-gamma水素化物遷移は、O相の存在によって容易になると共に、同遷移に可逆性を持たせることができる。beta相とO相の整合歪がこのような効果をもたらしていると考えられる。同様の効果を、Ti-22Al-27Nb(at.%)合金を5-10%程度圧延し、<111>ラセン転位のアレイを導入することによって得ることもできる。この場合、ラセン転位の歪場がbeta相とO相の整合歪と同じ役割を果すと考えられる。 Ti-22Al-27Nb(at.%)合金において成功した熱処理あるいは加工による組織制御による水素吸放出特性の改良法を他のさらに実用性の高い水素吸蔵合金に適用することを考え、容易に水素を吸収するが放出しないMg-Ca-Ni系合金の水素吸放出特性を研究した。しかし、現在のところ、この合金系にTi-22Al-27Nb(at.%)合金で得たと同様の成果を得るには至っていない。今後更なる研究が必要である。

  • ニッケル基L1_2型金属間化合物における原子拡散のメカニズム
    沼倉 宏, 田中 克志
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(C), 基盤研究(C), 京都大学, 1999年 - 2000年
    Ni_3Al,Ni_3GaおよびNi_3Geの熱力学的性質を種々の実験により調べ,得られた結果に基づいて点欠陥の濃度を評価し,拡散のミクロなメカニズムを考察した.まずNi_3Alについては,Alの一部をFeで置換したNi_3(Al,Fe)の規則-不規則転移温度を電気抵抗測定により決定し,Fe濃度をゼロに外挿してNi_3Alの仮想的な規則-不規則転移温度を1721±34Kと評価した.この値は以前に熱力学的活量の実験データとMonte-Carloシミュレーションの結果から得た値(1680-1740K)と合致している.Ni_3Alにおける拡散はNi,Alいずれも主にNi原子の副格子内の空孔機構によるとするモデル(α副格子空孔機構)を以前提案し,NiとAlの拡散係数の温度依存性・組成依存性はこの機構により説明できることを示した.その議論においては有効相互作用エネルギーの値が重要な位置を占めるが,今回求めた転移温度の値はそれと物理的意味において等価であり,拡散機構の妥当性が裏づけられた.Ni_3GaおよびNi_3Geについては,固体電解質を用いた起電力法により成分元素の熱力学的活量を測定した.Ni_3Gaについては,活量の組成依存性から原子間相互作用エネルギーの値が0.101±0.002eVと求められた.この値に基づいて点欠陥の濃度を理論的に評価し,拡散機構を考察した.これまで得られているトレーサー拡散や化学拡散のデータはα副格子空孔機構で首尾一貫して説明できる.Ni_3Geについては今回行った活量測定の方法に原理的な問題があることがわかった.それを解決するにはNi-Ge-O三元系の状態図の詳細を明らかにする必要があり,今後の課題である.相互作用エネルギーの値を実験から得ることはできなかったが,0.15eV程度と仮定すると,この物質における拡散も他の二つの化合物と同様にα副格子空孔機構で説明することは可能である.

  • 遷移金属シリサイドの結晶格子内原子変位と方向性結合
    田中 克志
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(C), 基盤研究(C), 京都大学, 1997年 - 1998年
    まず初めにC11_b,C40,C54構造を有する遷移金属ダイシリサイドTMSi_2について弾性率測定を行った.弾性率は原子間距離に依存する弾性エネルギー変化と結合角に依存する弾性エネルギー変化の関数として表すことができる.この表式を用いて実測値を再現できるように原子間距離に依存する項と結合角に依存する項の大きさを決定した.これによると,結合の方向性はC11_b構造を有する物質で最も強いことが明らかとなった.C40構造を有する物質はいずれもC11_bよりも弱い結合の方向性を示すが,4つの物質の内,CrSi_2とVSi_2は結合の方向性が比較的強い物質,NbSi_2とTaSi_2は方向性が弱い物質と分類されることが示された.C54構造を有するTiSi_2における結合の方向性は,C40構造の2つのグループの中間に位置するものであった. 次いでそれぞれの物質に対してX線回折測定を行った.構造解析の結果,結晶格子内におけるSi原子位置がデータブック集に掲載されている値から僅かながらシフトしていることが明らかになった.このSi原子位置のシフト量は結晶格子が大きくなるとともに大きくなることから,結晶格子の膨張によってもSi-Si原子間があまり広がらないようになっていると考えられる.X線回折強度からマキシマムエントロピー法によって再構成した電子密度分布ではSi原子のシフトによって近づいたSi-Si原子間に過剰な電子の集積が観察され,この原子間に強い共有結合が生じていることが示された.よって構造解析によって示されたSi原子のシフトはTM-SiとSi-Si間の原子間結合の強さの違いによって生じたものと考えられる.

  • L1_2型金属間化合物中の点欠陥の性質と拡散機構
    小岩 昌宏, 中嶋 英雄, 田中 克志, 沼倉 宏
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(B), 基盤研究(B), 京都大学, 1996年 - 1997年
    L1_2型規則格子構造をとるA_3B金属間化合物Ni_3Al,Ni_3Ga,Ni_3Geについて,点欠陥の性質を実験と計算により調べ,同時にトレーサー実験および相互拡散実験により拡散係数を測定した.その結果に基づいて,これらの物質における拡散機構を考察した. 1.Ni_3Al中の原子空孔と置換型欠陥に関する原子レベルシミュレーションを行った.従来用いられていた相互作用ポテンシャルを最近の信頼性の高い種々の物性の実験値をよく再現するように改良し,それを用いて点欠陥の形成エネルギーや移動の活性化エネルギー等を求めた. 2.Ni_3Ga中の空孔形成エネルギーを陽電子消滅実験により求めた.形成エネルギーは1.7から1.8eVの範囲にあり,Ga濃度の上昇とともに低下する傾向がある. 3.Ni_3GaとNi_3Geの構成元素のトレーサー拡散係数を広い温度範囲にわたって測定した.両化合物におけるNiの拡散の速さはNi_3Al中のNiと同程度である.Ni_3Ga中のGaの拡散係数はNiの約1/2,Ni_3Ge中のGeの拡散係数はNiの1/100以下である. 4.三種の化合物について,単相の拡散対を用いて化学拡散係数を測定した.科学拡散係数は化合物A_3Bの成分Bの濃度に正に依存し,その依存性の強さはNi_3AlとNi_3Gaでは同程度,Ni_3Geではそれより著しい. 5.化学拡散における熱力学因子をペア相互作用熱力学モデルに基づいて定式化した.これをNi_3Alの活量データに適用し,その結果を用いてNi_3Al中のAlの拡散係数を評価した.温度1400Kにおいて,Alの拡散係数はNiの拡散係数の約1/3である. 6.実験で明らかになった拡散挙動を説明するモデルとして,A,B両原子種とも長距離拡散はA原子の副格子上で空孔機構によりおこるというモデルを提案した.

  • 金属シリサイドの弾性特性とその温度依存性
    田中 克志
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 奨励研究(A), 奨励研究(A), 京都大学, 1996年 - 1996年
    本研究では純Si,CoSi_2,WSi_2,VSi_2,MoSi_2,TiSi_2の弾性率の測定を行う予定であったが,時間的な制約からMoSi_2(Cll_b)およびTiSi_2(C54)の単結晶弾性定数の測定を4K〜1373Kの温度範囲で行った.これらの遷移金属シリサイドの弾性的性質に共通することは,ポアソン比が0.2以下と非常に小さいことであり,これは格子内部における結合の方向性が強いことを示唆している. 一方,これら遷移金属シリサイドを構成する機何的な原子配列の類似性に着目し,全ての独立な弾性定数を,各種変形に対応した最近接原子間距離の変化と結合角の変化の2つのパラメータで表す試みを行った.その結果,Cll_b,C40,C54と異なった結晶構造をとる遷移金属シリサイドの弾性的性質が,その独立な弾性定数の個数(それぞれ6個,5個,9個)によらず,すべての結晶構造に共通な2つのパラメータで良く記述されることが明らかとなった.このことは,これらの物質の弾性異方性の違いがほとんど内部の原子配列の違い(原子層間のスタッキングの違い)に依っており,原子種の違いによる原子間結合の強さ,方向性の違いによる効果は極わずかなものであることを示している. またこの解析の結果,弾性率の温度変化は結合角に依存する部分の軟化が大きく,熱振動による原子位置のボケが大きく温度変化に寄与していることが明らかとなった. 以上の結果は1997年4月に開催される「高温における金属間化合物に関する国際会議」で発表されるとともに投稿論文としてまとめられる予定である.

  • 高温下における金属間化合物の弾性挙動
    小岩 昌宏, 田中 克志
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 重点領域研究, 重点領域研究, 京都大学, 1994年 - 1994年
    1.測定精度の向上 直方体共振法による弾性率測定では、コンピュータによる共振周波数の計算精度と試料を直方体に整形する際の理想的な直方体形状からのずれの2点が測定精度全体の大きな割合を占めている。近年のコンピュータの著しい発達により、高精度の計算を短時間で行うことができるようになり、試料の整形のずれが大きな誤差の要因となっていた。今回新たに購入した研磨機とゴニオメータとを組み合わせて用いることによって、従来の方法より簡単に高精度の試料を作成することが可能となった。その結果、理論的に計算された共振周波数と実測値はほとんど一致するようになった。また、同一組成の試料を2個用意し、それぞれ独立に弾性率の測定を行った結果、誤差の大きいものでも約1%程度と、数mm角の試料から非常に高精度の弾性率測定が行われていることが確かめられた。 2.高温弾性特性の測定 上記のように本方法における弾性率の測定精度を確認した後、Ni3Geに対して弾性率の温度依存性の測定を行った。本金属間化合物は、以前の測定において弾性異方性の温度変化に異常が見られた系である。精度の高い今回の測定においても同様の異常が見られ、さらにその異常の観察される温度が組成によって変化するという新たな知見を得ることができた。

  • 直方体共振法による低対称性物質の弾性率測定
    田中 克志
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 奨励研究(A), 奨励研究(A), 京都大学, 1994年 - 1994年
    1.振動モードの測定 共振時の直方体試料の両端点における変位を直接測定する装置を新たに設計、製作した。この新しい原理に基づく装置を用いて、すでに数値解析により変位の対称性が分かっている試料に対して実験的に変位の対称性の測定を行った結果、両者は一致し本装置によって試料の両端点における変位の対称性、すなわち振動モードの決定を実験的に行うことができることを確認した。 2.Ti_3Alの弾性率測定 本方法による振動モードの決定によって、従来は直方体共振法のみによってはその測定が実質的に不可能であるとされてきた六方晶の弾性率測定が可能となった。Ti_3Alは次世代高温構造材料として期待されている物質であり、その弾性率の値を多くの研究者が必要としているにも拘わらず未だその測定がなされていなかった六方晶の物質である。本試料の直方体への整形には新たに購入したダイアモンド噴霧器を用いることによって整形精度を高める工夫を行った。この物質に対して本方法による弾性率の測定を試みた結果、世界で初めてこの物質の弾性率の値を決定することができた。求められた弾性異方性は純チタンのそれに比較的近く、特に際だった特徴は見ることができなかったが、ポアソン比は比較的小さな値であった。これは金属間化合物の結合の方向性を反映しているものと思われる。

  • 金属間化合物の非化学量論性と弾性特性
    小岩 昌宏, 田中 克志
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 重点領域研究, 重点領域研究, 京都大学, 1993年 - 1993年
    液体ヘリウム温度における弾性率測定装置の製作 液体ヘリウム温度での弾性率を効率良く測定するため、温度変化および試料交換が容易な連続フロー型クライオスタットCF-1200(オックスフォード・インストゥルメンツ社製)を設備備品として購入した。また、このクライオスタットに合わせて、試料セルを新たに設計、製作した。現在、京都大学極低温センターのヘリウム液化機の運転が停止しているため十分なテストが行えていないが、いくつかの金属間化合物の極低温における弾性率の値が明らかになりつつある。 非化学量論性と弾性特性との関連 いくつかの第3元素を添加したNi_3(Al,X)について弾性率測定を行った。組成による違いを議論する前に、同一組成の試料を用いて直方体共振法の測定精度について検討を行った。その結果、ほとんどの測定値は0.5%以内のばらつきの範囲に入っていることが分かった。特にC_<44>については誤差のほとんどが密度の誤差から生じており、密度が正しく測定されれば0.1%程度の誤差しか生じないことが明かとなった。他の弾性率については密度の他に試料の直方体からの僅かなずれが誤差の要因であった。これについても、さらに正確な直方体形状に試料を加工することによって精度の向上が期待できる。 組成の違いによる弾性率の違いは極く小さなものであるようで、残念ながら今回の測定では上記の測定誤差のなかに入ってしまい、系統的な結論を出すには至らなかった。X線回折による格子定数の測定などによって密度を正確に導きだせば、上記の測定誤差をかなり小さくすることが可能である。非化学量論性と弾性特性との関連を明らかにするためには、今後このような点も考慮に入れて、さらに正確な測定を行う必要がある。

  • 金属間化合物の高温弾性特性
    小岩 昌宏, 田中 克志, 沼倉 宏
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 重点領域研究, 重点領域研究, 京都大学, 1992年 - 1992年
    1000℃近傍までの高温における単結晶の弾性定数測定装置を製作し、種々の金属間化合物について測定を行った。用いる試料は、一辺が2mm程度の直方体であり、種々の固有振動を励起し、その共振振動数の値から弾性定数をもとめる。振動の励起と検出には圧電素子をトランスデューサーとして使用する。常温近傍の測定は、圧電素子と試料が直接接触する配置で行うが、高温測定の場合には、アルミナ・ロッドを振動伝達棒として用い、その末端近傍に圧電素子を接着した。この方式では、共振スペクトルが振動伝達棒の共振の影響を受けるため、試料自体の共振振動を弁別するのに熟練を要し、解析に時間がかかるが、圧電素子自体は加熱されないため、広範な温度域での測定が可能となる。 立方晶の場合、独立な弾性定数はC_<11>、C_<12>、C_<44>であるが、共振スペクトルから弾性定数をもとめる際には、C_<44>とポアソン比ν、異方性因子Aを変数としてえらび、あらかじめ、νとAの種々の組合せについて期待されるスペクトルを計算しておき、実測スペクトルをこれらと比較して近似的な値をもとめ、内挿により正確な値を決定した。 上記の装置および解析方式により、Ni基のLl_2型化合物i_3X(X=Mu,Fe,Al,Ga,Ge,Si)について、80K〜1200Kにおける弾性定数をもとめた。これらの化合物の弾性的性質は、確子定数の大きさと関連があること、Ni_3Geの弾性異方性Aは温度の上昇とともに低下するが、400℃近傍で最小値を示したのち増加すること、など興味ある結果が得られた。

  • メゾスコピックスケールの不均一組織による弾性の変化の解明
    田中 克志
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 奨励研究(A), 奨励研究(A), 京都大学, 1992年 - 1992年

  • 微小試片による弾性定数測定装置の試作
    小岩 昌宏, 前園 明一, 田中 克志, 沼倉 宏
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 試験研究(B), 試験研究(B), 京都大学, 1991年 - 1992年
    弾性定数は物質の力学的性質を表す基本量であるにもかかわらず、試料作製の困難さのため十分なデータが揃えられていない。とくに新素材と呼ばれる物質に対しての測定はほとんど行われておらず種々の力学的性質の研究の妨げとなっている。本研究ではそのような物質に対しても容易に試料を作製することができる微小試片(2〜3mm)を用いて弾性率が測定可能な「直方体共振法」の測定装置を試作し、その有用性を確かめるとともに、測定法のいわばソフトウェアに属する部分の改良に取り組んだ。 その結果、本方法があまり普及していない大きな理由である「共振スペクトルの解析の困難」に対して立方晶に対して有効な解析法を開発することに成功し、パーソナルコンピュータでの解析を可能なものにした。また、液体窒素温度から1000℃まで共振周波数を測定できる装置の試作を行い、従来よりその必要性が指摘されていながら測定されていなかった、金属間化合物の低温から高温までの弾性率の測定を行った。さらに、低対称結晶の複雑な共振スペクトルに対する解析を可能にするため、解析の際に最も重要かつ困難である共振周波数それぞれに対する振動形態を検出用トランスデューサを2個用いることによって実験的に同定する方法を考案、その装置の試作を行った。その結果、圧電素子の保持方法などの問題があるが、その問題を解決すれば十分実用になる測定を行うことができることが確認された。これは弾性率決定を自動化できる可能性を示しており、本測定法の普及および信頼性の向上に大きく寄与するものである。

  • Elastic properties of crystal lattice
    競争的資金

研究シーズ

■ 研究シーズ
  • ナノ・メゾスケール解析による材料の力学特性の解明
    シーズカテゴリ:ナノテク・材料, エネルギー
    研究キーワード:材料物性, 微細組織解析, 結晶塑性, 耐熱材料
    研究の背景と目的:米粒ほどの材料も明石海峡大橋を支える材料も、全ての材料の力学特性は化学組成は同じでもナノ・メゾスケールの構造によって大きく変化します。どのような設計指針でその構造を作れば良いのか、理想的な構造を作るためにはどのような方策があるのかを試料作製からX線回折、電子顕微鏡を用いたナノ・メゾ構造の直接観察、種々の力学試験などを駆使することで明らかにし、望む材料特性を得るための手法の確立を目指しています。
    研究内容:●耐熱金属のクリープ変形と内部組織変化の関係 耐熱材料は特徴的な内部組織で強度を保っていますが、その組織は時間とともに変化しやがて荷重を支えきれなくなります。 図に示す荷重下での内部組織変化と、X 線回折による残留応力測定、計算機シミュレーションを組み合わせることで、なぜ荷重を支えきれなくなるのかを明らかにすることができ、余寿命推定法を提案することができました。 ●ハイエントロピー材料の高強度の原因解明 近年、新たな合金設計法のハイエントロピー合金が注目され、世界中でその高強度、高延性、高靭性といった優れた力学特性の原因究明が多角的に行われています。単結晶試料を作製し、力学特性を非常に高い精度で明らかにするとともに、電気抵抗測定を組み合わせることで、通説となりつつあった構成原子の短範囲秩序形成による強化機構が働いていないことを明らかにしました。

    期待される効果や応用分野:材料の内部構造を最適化することで材料特性は大きく向上します。どのような内部構造が望ましいのかを明らかにすることで、適用部所に最適な構造とはどのようなものかを知り、容易に真似のできない材料開発が可能になります。
     
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