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浦﨑 明宏
大学院科学技術イノベーション研究科 科学技術イノベーション専攻
准教授

  • プロフィール

    大学院時代には、トランスポゾン(動く遺伝子)の転移メカニズムの研究を行なっていました。大学院卒業後、ゼブラフィッシュにおけるトランスポゾンTol2を用いた遺伝学的方法論の開発を行い、現在広く使われているTol2ベクター、遺伝子トラップ法、エンハンサートラップ法、Gal4/UASシステム、in vivo転移誘導システムの開発に成功しました。その後、オランダに渡り、独自に開発した遺伝学的方法論と透明なゼブラフィッシュの利点を利用して、血管・リンパ管形成の研究を行いました。帰国してからは、神経軸索に関わる分子として知られているshootinに新規ファミリーメンバー( shootin2, shootin3)があることを見出し、shootinの神経以外での機能の解明に貢献しました。その後、遺伝性出血性末梢血管拡張症(オスラー病)などの難治性血管疾患に関する研究に取り組みました。現在は、トランスポゾン技術を含めた新たな遺伝子組換え技術の開発と応用により、社会課題の解決に貢献することを目指しています。

研究者基本情報

■ 学位
  • 博士(農学), 東京大学
■ 研究キーワード
  • 難治性血管病
  • 血管・リンパ管形成
  • ゼブラフィッシュ
  • トランスポゾン
■ 研究分野
  • ライフサイエンス / ゲノム生物学
  • ライフサイエンス / 遺伝学
  • ライフサイエンス / 分子生物学
  • ライフサイエンス / 発生生物学
■ 委員歴
  • 2022年09月 - 2022年09月, 第28回小型魚類研究会, 実行委員

研究活動情報

■ 論文
■ MISC
  • CRMP
    久保祐亮, 浦崎明宏, 稲垣直之
    2017年, 脳科学辞典, https://bsd.neuroinf.jp/wiki/C, 日本語
    [招待有り]
    記事・総説・解説・論説等(商業誌、新聞、ウェブメディア)

  • Identification of a shootin1 isoform expressed in peripheral tissues
    Higashiguchi Yasuna, Katsuta Kazuhiro, Minegishi Takunori, Yonemura Shigenobu, Urasaki Akihiro, Inagaki Naoyuki
    Shootin1 is a brain-specific cytoplasmic protein involved in neuronal polarity formation and axon outgrowth. It accumulates at the leading edge of axonal growth cones, where it mediates the mechanical coupling between F-actin retrograde flow and cell adhesions as a clutch molecule, thereby producing force for axon outgrowth. In this study, we report a novel splicing isoform of shootin1 which is expressed not only in the brain but also in peripheral tissues. We have renamed the brain-specific shootin1 as shootin1a and termed the novel isoform as shootin1b. Immunoblot and immunohistochemical analyses with a shootin1b-specific antibody revealed that shootin1b is distributed in various mouse tissues including the lung, liver, stomach, intestines, spleen, pancreas, kidney and skin. Interestingly, shootin1b immunoreactivity was widely detected in epithelial cells that constitute simple and stratified epithelia; in some cells, it colocalized with E-cadherin and cortactin at cell–cell contact sites. Shootin1b also localized in dendritic cells in the spleen. These results suggest that shootin1b may function in various peripheral tissues including epithelial cells.
    Springer Berlin Heidelberg, 2016年05月13日, 英語

  • 馬場 健太郎, 浦崎 明宏, 稲垣 直之
    日本電気泳動学会, 2014年10月, 生物物理化学, 58(2) (2), 49 - 52, 日本語

  • 馬場健太郎, 浦崎明宏, 稲垣直之
    Japanese Electrophoresis Society, 2014年, 生物物理化学(Web), 58(2) (2), 49-52 (J-STAGE) - 52, 日本語

  • Tol2トランスポゾンによる子宮内膜腺癌株(イシカワ株)への効果的な遺伝子導入 : 着床障害不妊症の遺伝子治療に対する有益なDNAベクター
    鈴木 良知, 浦崎 明宏, 浅見 幸夫, 井坂 恵一, 川上 浩一
    東京医科大学医学会, 2010年10月, 東京醫科大學雜誌, 68(4) (4), 396 - 402, 英語

  • Zebrafishを用いた神経のミエリネーション可視化による膜型プロテアーゼADAM19の機能の解明
    佐藤文規, 佐藤智美, 坂口和弥, 浦崎明宏, 和田浩則, 川上浩一, 瀬原淳子
    2010年, 生化学

  • メダカトランスポゾンTol2が開く新しいゼブラフィッシュ研究
    浦崎 明宏, 浅川 和秀, 川上 浩一
    (株)学研メディカル秀潤社, 2009年05月, 細胞工学, 28(6) (6), 586 - 591, 日本語

  • 【ゲノム上を"動く遺伝子"トランスポゾン エピジェネティクス・クロマチン動態との関連性から発生・生殖を司る機能まで】脊椎動物におけるトランスポゾンを用いた遺伝学的方法論
    浦崎 明宏, 川上 浩一
    (株)羊土社, 2007年10月, 実験医学, 25(16) (16), 2507 - 2512, 日本語

  • トランスポゾンを用いたGal4-UAS法による細胞の可視化と機能改変
    川上浩一, 浅川和秀, 阿部玄武, 浦崎明宏, 菊田寛, 岸本康之, 武藤彩, SUSTER Maximiliano, 日比正彦
    2007年, 生化学

■ 講演・口頭発表等
  • Vascular connection between newly formed intestinal and pre-existing circulatory systems during embryonic development in zebrafish
    Akihiro Urasaki, Osamu Nakagawa
    The 30th Japanese Vascular Biology and Medicine Organization (JVBMO2022), 2022年12月

  • Physiological importance of ALK1 signaling for organotypic vascular formation in zebrafish
    Akihiro Urasaki, Yuki Kakihana, Nami Akaho Nagata, Yukihiro Harada, Osamu Nakagawa
    The 5th JCS Council Forum on Basic Cardio Vascular Research (BCVR2022), 2022年12月

  • Physiological significance of ALK1 signaling in zebrafish organotypic vascular formation
    Akihiro URASAKI, Nami Akaho NAGATA, Yuki KAKIHANA, Yukihiro HARADA, Osamu NAKAGAWA
    The 5th JCS Council Forum on Basic CardioVascular Research (BCVR 2021), 2021年09月
    口頭発表(一般)

  • ACVRL1変異と受容体分子機能の関連解析
    岩朝徹, 長田菜美, 原田恭弘, 垣花優希, 浦崎明宏, 白石公, 黒嵜健一, 森崎裕子, 小宮山雅樹, 中川修
    HHT JAPAN 2021(第7回日本HHT研究会), 2021年07月
    口頭発表(一般)

  • Tol2遺伝子導入システムの開発と生体ライブイメージングによる基礎血管研究
    浦崎明宏
    第57回日本小児循環器学会学術集会併催 第24回日本小児心血管分子医学研究会, 2021年07月
    [招待有り]
    口頭発表(招待・特別)

  • ACVRL1変異と受容体分子機能の関連解析
    岩朝徹, 長田菜美, 原田恭弘, 垣花優希, 浦崎明宏, 白石公, 黒嵜健一, 森崎裕子, 小宮山雅樹, 中川修
    第57回日本小児循環器学会学術集会併催 第24回日本小児心血管分子医学研究会, 2021年07月
    口頭発表(一般)

  • 胎生期血管形成におけるリン酸化酵素遺伝子SGK1の内皮特異的発現機構
    原田恭弘, 田中亨, 荒井勇二, 浦﨑明宏, 劉孟佳, 渡邉裕介, 川村晃久, 中川修
    第43回日本分子生物学会年会, 2020年12月

  • 臓器特異的血管形成におけるALK1シグナルの生理学的重要性
    浦﨑明宏, 中川修
    第43回日本分子生物学会年会, 2020年12月

  • Transcriptional regulation and physiological significance of ALK1 signal target genes in embryonic vascular endothelial cells
    Osamu NAKAGAWA, Yusuke WATANABE, Akihiro URASAKI, Toru TANAKA, Daiki SEYA, Norika LIU, Shoko TAMURA, Dai IHARA, Yukihiro HARADA, Teruhisa KAWAMURA
    International Vascular Biology Meeting 2020, 2020年09月
    口頭発表(一般)

  • 見えてきた微小環境依存的Notchシグナルの役割と病態生理 Notchシグナルと下流遺伝子の心血管形成機構と疾患における意義(Significance of Notch signaling and downstream genes in cardiovascular development and disease)
    中川 修, 渡邉 裕介, 浦崎 明宏
    日本薬学会年会要旨集, 2020年03月, 英語, (公社)日本薬学会

  • 胚発生における心血管シグナル伝達系と環境因子の相互関係
    浦崎 明宏, 田中 亨, 原田 恭弘, 劉 孟佳, 川村 晃久, 渡邉 裕介, 中川 修
    日本内分泌学会雑誌, 2020年02月, 日本語, (一社)日本内分泌学会

  • ゼブラフィッシュを用いた側線形成におけるshootin遺伝子の機能解析
    森下 誠也, 浦崎 明宏, 中公 甫, 魚住 海斗, 松井 貴輝, 別所 康全, 川上 浩一, 稲垣 直之
    生命科学系学会合同年次大会, 2017年12月, 日本語, 生命科学系学会合同年次大会運営事務局

  • 新規shootinファミリーメンバーの同定と機能解析
    浦崎 明宏, 森下 誠也, 中公 甫, 魚住 海斗, 渡瀬 恵美子, 松井 貴輝, 別所 康全, 川上 浩一, 稲垣 直之
    生命科学系学会合同年次大会, 2017年12月, 日本語, 生命科学系学会合同年次大会運営事務局

  • The Tol2 system opens up a new frontier in vertebrate vascular biology
    Akihiro Urasaki
    NCVC seminar, 2016年06月, 日本語
    [招待有り]
    口頭発表(招待・特別)

  • ゼブラフィッシュを用いた脳形成におけるshootin1の役割の解析
    浦崎明宏, 渡瀬恵美子, 松井貴輝, 川上浩一, 別所康全, 稲垣直之
    日本細胞生物学会大会要旨集, 2014年05月, 日本語

  • Tol2トランスポゾンシステムが拓く新たな脈管および神経研究
    浦﨑明宏
    奈良先端大セミナー, 2013年05月, 日本語
    [招待有り]
    口頭発表(招待・特別)

  • Blood vessel formation by coordinated venous-fated angioblast migration
    Akihiro Urasaki
    5th Angioclub meeting, 2011年05月, 英語
    [招待有り]
    口頭発表(招待・特別)

  • Zebrafishを用いた神経のミエリネーション可視化による膜型プロテアーゼADAM19の機能の解明
    佐藤文規, 佐藤智美, 坂口和弥, 浦崎明宏, 和田浩則, 川上浩一, 瀬原淳子
    生化学, 2010年, 日本語

  • Toward Tol2-mediated knockouts of all zebrafish genes
    Akihiro Urasaki, Koichi Kawakami
    GENES & GENETIC SYSTEMS, 2009年12月, 英語, GENETICS SOC JAPAN

  • Tol2を用いたゼブラフィッシュ遺伝子の網羅的破壊
    浦崎明宏, 川上浩一
    日本遺伝学会大会プログラム・予稿集, 2009年08月, 日本語

  • ゼブラフィッシュGal4トラップ法を用いた神経回路の可視化と機能阻害
    浅川和秀, SUSTER Maximiliano L, 浦崎明宏, 小谷友也, 永吉さおり, 岸本康之, 日比正彦, 川上浩一
    Program Abstr Book Annu Meet Jpn Soc Dev Biol, 2008年, 日本語

  • ゼブラフィッシュにおいて骨格特異的に発現する新規遺伝子の遺伝子トラップ法による同定
    水澤寛太, 浅川和秀, 浦崎明宏, 小谷友也, 永吉さおり, 岸本康之, 日比正彦, 近藤滋, 川上浩一
    日本水産学会大会講演要旨集, 2007年09月, 日本語

  • New genetic techniques by excision of Tol2: isolation of revertants and creating frame shift mutations
    Akihiro Urasaki, Kazuhide Asakawa, Koichi Kawakami
    5th European Zebrafish Genetics and Development Meeting, 2007年07月, 英語
    ポスター発表

  • テクニカルセッション ゼブラフィッシュにおけるJump starterトランスポゾン系:Tol2の熱誘導性転移はゲノムワイドな挿入を可能にする(The jump starter transposon system in zebrafish: heat-inducible transposition of a single integrated Tol2 can create genome-wide insertions)
    浦崎 明宏, 浅川 和秀, 川上 浩一
    日本発生生物学会・日本細胞生物学会合同大会要旨集, 2007年05月, 英語

  • 再生・組織形成・器官形成 ゼブラフィッシュにおけるトランスポゾン介在性Gal4遺伝子とエンハンサーとラップ法による標的遺伝子発現は単一の脊椎動物行動に必要なニューロンサブセットを決定する(Targeted gene expression by transposon-mediated Gal4 gene and enhancer trapping in zebrafish defines subsets of neurons required for simple vertebrate behaviors)
    浅川 和秀, 水澤 寛太, 永吉 さおり, 小谷 友也, 浦崎 明宏, 岸本 康之, 日比 正彦, 川上 浩一
    日本発生生物学会・日本細胞生物学会合同大会要旨集, 2007年05月, 英語

  • トランスポゾンを用いたGal4‐UAS法による細胞の可視化と機能改変
    川上浩一, 浅川和秀, 阿部玄武, 浦崎明宏, 菊田寛, 岸本康之, 武藤彩, SUSTER Maximiliano, 日比正彦
    生化学, 2007年, 日本語

  • Remobilization of integrated transposons: the jump starter system in zebrafish
    Akihiro Urasaki, Kazuhide Asakawa, Koichi Kawakami
    7th International Conference on Zebrafish Development & Genetics, 2006年07月, 英語
    口頭発表(一般)

  • ゼブラフィッシュにおけるGal4エンハンサートラップ法によるファンクショナルゲノミクス
    浅川和秀, 浦崎明宏, 小谷友也, 永吉さおり, 岸本康之, 日比正彦, 川上浩一
    日本分子生物学会年会講演要旨集, 2005年11月, 日本語

  • The Tol2-mediated genetic methodologies in zebrafish: gene trapping, enhancer trapping and remobilization
    Akihiro Urasaki, Kazuhide Asakawa, Tomoya Kotani, Saori Nagayoshi, Yasuyuki Kishimoto, Koichi Kawakami
    4th European Zebrafish Genetics and Development Meeting, 2005年07月, 英語
    口頭発表(一般)

  • トランスポゾンを用いた遺伝学的方法論によるゼブラフィッシュの初期発生研究
    小谷友也, 浦崎明宏, 永吉さおり, 浅川和秀, 岸本康之, 川上浩一
    日本発生生物学会大会発表要旨集, 2005年05月, 日本語

  • ゼブラフィッシュにおけるトランスポゾンTol2を用いた新しい発生遺伝学的方法論の開発
    浦崎明宏, 川上浩一
    日本分子生物学会年会プログラム・講演要旨集, 2004年11月, 日本語

  • ゼブラフィッシュにおけるトランスポゾンを用いたGal4エンハンサートラップ法の構築
    浅川和秀, 伊藤安希, 浦崎明宏, MORVAN G, 小谷友也, 佐々木剛, 永吉さおり, 岸本康之, 日比正彦
    日本分子生物学会年会プログラム・講演要旨集, 2004年11月, 日本語

  • シアノバクテリアの転移性遺伝因子ISY100転移の分子機構
    浦崎明宏, 大坪栄一
    日本分子生物学会年会プログラム・講演要旨集, 2003年11月, 日本語

  • イネDNA型トランスポゾンTnr1/Osmarは大腸菌細胞内で転移可能である
    園田陽, 浦崎明宏, 土本卓, 大坪久子, 大坪栄一
    日本分子生物学会年会プログラム・講演要旨集, 2003年11月, 日本語

■ 所属学協会
  • 小型魚類研究会

  • 日本分子生物学会

  • 日本血管生物医学会

■ 共同研究・競争的資金等の研究課題
  • 心臓発生期のゲノム網羅的エンハンサーアトラスと心臓内領域特異的遺伝子発現制御機構
    中川 修, 原田 恭弘, 川村 晃久, 白井 学, 高橋 篤, 浦崎 明宏, 橋本 大輝
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 挑戦的研究(萌芽), 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 2023年06月30日 - 2026年03月31日

  • ALK1シグナルの臓器特異的血管形成における意義と難治性血管疾患の発症メカニズム
    浦崎 明宏, 中川 修, 渡邉 裕介, 垣花 優希, 原田 恭弘, 橋本 大輝, LAMRI LYNDA
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(C), 基盤研究(C), 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 2022年04月01日 - 2025年03月31日

  • 胎生期心血管形成とヒト疾患に関与するシグナル伝達系の下流因子の意義と制御機構
    中川 修, 浦崎 明宏, LAMRI LYNDA, 原田 恭弘, 垣花 優希, 橋本 大輝, 渡邉 裕介, 白石 公, 岩朝 徹, 能丸 寛子
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(B), 基盤研究(B), 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 2021年04月01日 - 2024年03月31日

  • 遺伝性出血性末梢血管拡張症の統合的な病態解明
    岩朝 徹, 渡邉 裕介, 中川 修, 浦崎 明宏, 黒嵜 健一, 石川 泰輔, 白石 公
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(C), 基盤研究(C), 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 2020年04月01日 - 2023年03月31日
    過去に当センターで遺伝性出血性末梢血管拡張症の患者より検出した遺伝子変異と論文報告のあった同疾患患者の遺伝子変異について、変異プラスミドの作成と実験解析に向いたミスセンス変異のACVRL1変異及び野生型ACVRL1について、過去の論文を参考にマウス線維芽細胞株(本来ACVRL1の発現を持たないNIH-3T3細胞)にプラスミドを用いて導入した。 野生型を導入した細胞ではACVRL1をBMP9/10により刺激することで、その下流に位置する活性型(リン酸化)SMAD1/5といった蛋白の出現(ウエスタンブロットで解析)や、下流に位置する転写因子の一群の発現の亢進(ルシフェラーゼアッセイで解析)が見られることを確認した。一方で、変異型を導入した細胞の多くは下流の活性型(リン酸化)SMAD1/5、転写因子の発現が抑制されていたが、一部の変異では抑制されておらず、実際の症状を生じている患者との間にdiscrepancyが認められた。 また変異型を導入した細胞での免疫染色では、多くの変異では野生型ACVRL1と大きな変化は確認出来なかったが、一部の変異(膜通過部分の変異)においては細胞表面に存在するはずのACVRL1が消失していることが確認出来た。これらの細胞実験において生じる現象の差違が、実際の患者さんの症状の重篤さや発症様式に関連するか、今後検討を加えていく予定である。また合わせてゼブラフィッシュに変異型ACVRL1を導入し、実際の生体内で血管形成が変化していくかどうかを順次確認を加えていく予定である。

  • 胸部大血管および心室筋形成における細胞分化の分子機構
    渡邉 裕介, 小柴 和子, 中川 修, 劉 孟佳, 浦崎 明宏, LAMRI LYNDA, 瀬谷 大貴, 田中 亨
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(B), 基盤研究(B), 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 2019年04月01日 - 2022年03月31日
    本研究は①「胸部大血管形成における内皮細胞発生・管腔構造形成の重要性と制御機構の解明」と、②「心室筋の異なる領域における転写制御機構と細胞運命の解明」を目的としている。 ①について、本年度は胸部大血管形成における内皮細胞でのHey1遺伝子の重要性を明らかにするため、出生直前の内皮細胞特異的Hey1欠損マウスの胸部大血管での表現型をmicroCTを用いて解析した。その結果、右大動脈弓などの構造異常を3次元的に観察することができた。また胸部大血管の由来となる胎生10.5日目胚での咽頭弓動脈の構造および遺伝子発現についても解析を進めている。さらに、内皮で発現するHey1遺伝子の転写制御機構を明らかにするため、Rbpj欠損マウス胚でのHey1内皮エンハンサー活性の解析を行った。その結果、Notch/Rbpjシグナル伝達経路が内皮でのHey1遺伝子発現に必須であることが明らかとなった。以上により、内皮で発現するHey1遺伝子の胸部大血管形成における重要性と転写制御機構の一端を明らかにした。 ②について、本年度は胎生期心室筋で発現するHey2遺伝子の心室筋エンハンサーの転写制御機構を明らかにするため、Hey2心室筋エンハンサー欠損マウスの作製および当該マウスでのHey2遺伝子発現の解析、ルシフェラーゼアッセイを用いたHey2心室筋エンハンサー活性化因子の検索、Tbx20欠損マウス胚心臓でのHey2心室筋エンハンサー活性の解析を行った。その結果、Hey2心室筋エンハンサーは心室筋におけるHey2遺伝子発現に必須であり、Tbx20およびGata因子により活性化されていることが明らかとなった。本研究実績はDev Biol誌に投稿し受理された(Ihara et al., 2020. 共責任著者)。

  • 発生における脈管間相互作用の役割の解明
    浦崎 明宏, 中川 修, 渡邉 裕介, 劉 孟佳
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(C), 基盤研究(C), 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 2019年04月01日 - 2022年03月31日
    動脈・静脈・リンパ管は解剖学的に独自のネットワークを別々に形成する。異なる脈管同士が接触して接続(吻合)・並走することが、脊椎動物の発生にどのような重要性を持っているのかについては明らかになっていない。本研究では、動脈・静脈・リンパ管ネットワーク形成における異なる脈管と脈管の相互作用の果たす役割およびその分子機構を明らかにすることを目的としている。 まず、様々な種類の脈管(動脈、静脈、リンパ管)を区別して生きたまま観察できるゼブラフィッシュ系統を作製した。さらに、血管でGFPを、血球でDsRedを発現する系統を作製し、発生過程の血管構造と血流の有無を同時に可視化出来るようにした。また、これまで初期の肝臓血管形成を生きたまま観察することは困難であったが、独自の系統を用いることにより可視化することに成功した。 次に、遺伝学的および発生学的な解析が容易なゼブラフィッシュを用いて、脈管間の相互作用に関わる因子の同定を試みた。BMP-ALK1シグナルの構成因子であるAcvrl1のノックダウンにより脳における動静脈奇形(動脈と静脈が毛細血管を介さずに直接繋がる血管異常)や肝血管低形成が、Eng ノックダウンにより脳出血が生じることを見出した。ACVRL1とENGは、遺伝性出血性末梢血管拡張症(オスラー病)の原因遺伝子として知られている。オスラー病は、動静脈奇形や出血を特徴とするが、その発症過程や分子メカニズムには不明な点が多い。本研究により、脈管間相互作用の基本原理が細胞・分子レベルで解明され、この脈管病の病態の理解に繋がれば、発生学・遺伝学への学術的な影響を与えるだけでなく、医学分野にも重要な波及効果が期待できる。

  • 心血管形成・ヒト血管疾患に関与するシグナル伝達系の下流遺伝子群の意義
    中川 修, 渡邉 裕介, 浦崎 明宏, 劉 孟佳, LAMRI LYNDA, 瀬谷 大貴, 田中 亨, 田村 昌子, 西谷 友重
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(B), 基盤研究(B), 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 2018年04月01日 - 2021年03月31日
    血管系のシグナル伝達異常は先天性心疾患・難治性血管病の原因となり、虚血性疾患や癌に認められる病的血管新生においても重要である。私たちはこれまでに、ヒト心血管疾患に重要な意義を有するNotchおよびALK1シグナル伝達系の下流ターゲット因子として、Hey1転写因子・Tmem100膜タンパク質・Sgk1リン酸化酵素を同定した。私たちおよび他の研究者によって、これらの遺伝子の欠損がマウスにおいて重篤な心血管形成異常を引き起こすことが報告され、ヒト病態における重要性も注目されている。そこで今回の研究では、遺伝子組換えマウスモデルと分子生物学的手法を用いて、これらの因子の機能メカニズム・上流発現制御機構・生体における意義を明らかにすることを試みている。Notch受容体やリガンドの遺伝子変異は脳小血管病CADASILやAlagille症候群における先天性心疾患の原因となり、ALK1受容体および関連遺伝子の変異は遺伝性出血性毛細血管拡張症の原因、肺動脈性肺高血圧症の素因として重要である。これらのNotch・ALK1シグナル関連血管病は難病指定疾患であり、病因究明と診断・治療法の開発が強く望まれている。NotchおよびALK1シグナルの下流因子が血管形成・機能制御においてどのように働くかを明らかにすることは、先天性心疾患・難治性血管病の病態生理の解明のみならず、遺伝子変異等によって生ずる遺伝子発現・シグナル伝達の異常を正常化することによる新しい治療ストラテジー開発の基盤となると期待される。

  • 稲垣 直之, 浦崎 明宏
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(B), 基盤研究(B), 奈良先端科学技術大学院大学, 2014年04月01日 - 2017年03月31日
    組織の形成には、細胞の移動が重要な役割を果たすと考えられている。しかし、従来の組織形成に関する研究は、細胞の分化や運命決定の視点から捉えた解析が主流で、組織構築のための細胞の移動を担う仕組み、特にそのために細胞-基質間に力を発生させる分子機構はよくわかっていない。本研究の結果からShootinがアクチン線維と細胞接着分子を連結することで細胞-基質間に細胞移動のための力を生み出し、脳組織の形成を担う可能性が示唆された。

  • 浦崎 明宏
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 若手研究(B), 若手研究(B), 奈良先端科学技術大学院大学, 2014年04月01日 - 2017年03月31日
    shootin1に加え、新たなshootinファミリーメンバーとしてshootin2とshootin3を見出した。3つのshootin遺伝子すべてがゼブラフィッシュ胚で発現していた。特に、shootin1とshootin3は母性発現しており、発生過程においては側線原基で発現していた。変異体解析により、shootin3がゼブラフィッシュの初期発生に関与していること、shootin1とshootin3は水流を感知する器官である側線の形成に関与していることが示唆された。

  • ゼブラフィッシュを用いた組織形態形成におけるshootin1の機能解析
    浦崎明宏
    文部科学省, 科学研究費補助金(若手研究(B)), 2014年 - 2016年, 研究代表者
    競争的資金

  • 浦崎 明宏
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 若手研究(B), 若手研究(B), 国立遺伝学研究所, 2010年 - 2010年, 研究代表者
    競争的資金

  • 浦崎 明宏
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業 研究活動スタート支援, 研究活動スタート支援, 国立遺伝学研究所, 2009年 - 2009年, 研究代表者
    モデル脊椎動物ゼブラフィッシュを用いて、脈管形成におけるmekk3bの役割を明らかにすることを目的に研究を行った。独自に成したSAGFF27C遺伝子トラップ系統では、遺伝子トラップコンストラクトがmekk3b遺伝子のイントロンに挿入して、mekk3b遺伝子の転写産物をトラップしていた。まず、SAGFF27C ; UAS : GFP系統のGFP発現パターンの解析を行ったところ、発生初期には後主静脈で、発生後期には節管静脈およびリンパ管でGFPを発現することが分かった。次に、in situハイブリダイゼーションにより、後主静脈細胞でmekk3bが発現していることを確認した。さらに、モルフォリノオリゴヌクレオチドを用いてmekk3bの発現阻害による表現型の解析を行ったところ、mekk3b発現阻害胚では後主静脈が形成されなくなることが分かった。そして、mekk3b mRNAをmekk3b発現阻害胚に微量注入すると、異常表現型が回復した。このことから、mekk3bは後主静脈の形成に重要な役割を果たしていることが示された。後主静脈の形成過程の詳細を明らかにするために、血管内皮細胞でGFPを発現するflil:GFP系統や赤血球前駆細胞でRFPを発現するgata1:RFP系統を用いて、タイムラプス生体イメージングを行った。これまで、ヒトやマウスを使った研究では、体内で発生するため、発生初期の血管形成過程を捉えるのは困難であった。本研究では、胚が透明で、体外で発生するゼブラフィッシュを用いることにより、受精後最初に出来る血管の形成過程を捉えることに成功した。これらの結果は、「細胞の塊」から「血流のある血管」がいかにして形成されるかを細胞・分子レベルで理解する上で重要な知見であると考える。
    競争的資金

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