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水田 誠一郎大学院経営学研究科 経営学専攻助教
研究活動情報
■ 受賞■ 論文
- Abstract This study empirically investigates strategic entry‐deterrence behavior under oligopolistic competition. I develop a structural econometric model describing incumbents' entry‐deterrence behavior based on the framework of Gilbert and Vives. I show theoretically that incumbents' marginal costs are interval‐identified under the assumption that incumbents deter entry in equilibrium. The structural model is estimated using data from the Japanese aluminum smelting industry. A Vuong‐type model selection test utilizing an instrument demonstrates that the entry‐deterrence model is more consistent with the data than an ordinary Cournot competition model without entry threats.Wiley, 2025年05月, Journal of Economics & Management Strategy, 34(2) (2), 457 - 482[査読有り]研究論文(学術雑誌)
- 2023年03月, 神戸大学大学院経営学研究科ディスカッション・ペーパーDo airport environmental regulations distort aircraft allocation?: An approach based on environmental efficiency
- 2022年, 海運経済研究, (56) (56), 21 - 30空港における環境への配慮が環境負荷と 社会厚生に及ぼす影響[査読有り]
- 2021年08月, 国民経済雑誌, 224(2) (2), 19 - 34卸売価格の交渉タイミングと消費者余剰の関係について
- Elsevier BV, 2020年09月, Transportation Research Part A: Policy and Practice, 139, 17 - 34[査読有り]研究論文(学術雑誌)
- 2019年09月, 国民経済雑誌, 220(3) (3), 49 - 64モラルハザードと有限混合モデル研究論文(学術雑誌)
- 日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 若手研究, 神戸大学, 2024年04月 - 2027年03月企業の参入データを利用した企業行動の検定に関する研究
- 日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 基盤研究(B), 神戸大学, 2020年04月01日 - 2025年03月31日プラットフォームビジネスに適合した流通システムの形態に関する研究令和5年度も、これまでに引き続き、プラットフォームビジネスに適合した流通システムの形態に関する研究を理論と実証の双方から試みた。 理論研究に関しては、複数の研究プロジェクトが並列して実施された。それらの研究から得られた成果は、国内外の学会や研究会で報告され、そこで得られたコメント・フィードバックを参考にジャーナル投稿論文としてまとめられている。また、いくつかの論文が国際査読誌に掲載(または掲載受理)された。例えば、シェアリングエコノミー・プラットフォームの普及にともない消費者間で耐久財の貸し借りが容易になるにつれ、その耐久財の製造企業が製品ポートフォリオをどのように最適化すべきか?という研究課題に取り組んだ論文が、経営戦略の経済学において評価の高い学術誌であるJournal of Economics & Management Strategy誌に掲載受理された。その論文では、シェアリングエコノミー・プラットフォームの普及によって、製造企業が製品ライン数を拡大させる可能性が高いが、その水平的属性(デザイン等)について言えば、個性的な製品デザインの導入に躊躇することが示された。まだ掲載に至っていない研究成果も、引き続き、国際査読誌への掲載を目指している段階にある。 実証研究については、昨年度から引き続き、プラットフォームを介した販売に係る売手の配送オプションに着目し、データ収集を継続している。さらに、配送だけでなく、検索表示順や広告枠に関するデータ収集も追加的に行っている。売手からの手数料を主な収益源としてきたプラットフォームにとって、これらの配送と広告は新たな収益源であり、複数の収益源をどのように最適化すべきか?は非常に重要な経営課題である。現在、この課題に一定の知見を提供できるような実証研究を目指している段階にある。
- 日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 基盤研究(B), 神戸大学, 2020年04月 - 2025年03月プラットフォームビジネスに適合した流通システムの形態に関する研究令和3年度は、プラットフォームの理解を促進するための研究のみならず、それが既存のサプライチェーンへ及ぼす影響の解明の一歩になり得る研究を推進することができた。例えば、前者はプラットフォームが自社の製品を優遇する行為 (自己優遇) に着目したものであり、そのような行為がマーケットプレイス上でのサードパーティの売手の行動や、そこに参加する消費者の行動に与える影響を分析した。さらに、自己優遇行為を禁止するような政策がどのような帰結をもたらしうるかを明らかにすることで、競争政策への貢献を与えた。後者は、プラットフォームが自身の持つ需要情報をサードパーティの売手に共有するか否かを論じたものである。需要情報の共有は、売手のプラットフォーム内での行動だけでなく、既存のサプライチェーンにおける行動にも影響を与える。これらの広範な影響を包括的に考慮した上で、情報共有に関するプラットフォームのプライベートなインセンティブだけでなく、その他の利害関係者への影響も分析することができた。これらの研究成果は、すでに査読付きジャーナルに掲載および掲載確定している。また、これら以外にも、令和2年度から継続しているプロジェクトや令和3年度に新しくスタートしたプロジェクトもあるため、これらが今後査読付きジャーナルに掲載されるように努める。 加えて、シェアリングエコノミー型のプラットフォームの普及が、そこで取引される財の製造業者へ及ぼす影響に関する理論的分析にも着手することができた。これらの研究成果は、まだ論文としてまとめきれていないものからすでにワーキングペーパーとして公表したものまであるが、まだ査読付きジャーナルに掲載されるには至っていない。今後、様々な研究会・学会での報告を通して、査読付きジャーナル掲載に向けて投稿を進めていきたいと思っている。
- 日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 研究活動スタート支援, 神戸大学, 2022年08月 - 2024年03月部分識別された限界費用を用いた費用関数の推定と企業行動の検定に関する研究本研究は限界費用関数の推定および企業行動の検定を行う実証的産業組織論の分野に位置づけられる。その中でも、企業の共謀行動(カルテル、暗黙の協調)に関する分析を行う。この分野の研究では、データは特定の競争のモデルから実現していると想定し、そのデータが満たす条件から限界費用を点識別することで限界費用関数の推定を可能にしている。特にカルテルが疑われるデータに関しては独占均衡を想定することが一般的である。
繰り返しゲームの先行研究が明らかにするように、企業が長期的な関係のなかで協調行動を行うさいには、必ずしも独占均衡を達成できるわけでない。この事実は、企業行動を独占的企業としてモデルかした、共謀行動の検定や費用関数の推定の結果を信頼のおけないものにする可能性がある。一方でカルテルモデルは、企業の将来に対する期待や、企業の将来に対する評価(割引率)を含んでいるため、それをモデル化し、市場データから推定することは難しい。そこで本研究では、共謀行動が疑われる市場データに対して、限界費用をカルテルモデルから点識別することを諦め、独占と競争均衡の一階の条件から部分識別することを提案している。
Bontemp, Magnac, and Muarin (2012, Econometrica)の方法を利用して、部分識別された限界費用を用いた費用関数の推定を行うためのコンピュータ・プログラムを作成した。これを日本のセメント産業のデータに適用して結果を得ている。具体的には従来のカルテルを独占としてモデル化する枠組みの中では、セメント産業のデータは実際にはカルテルが行われているにもかかわらず、独占というよりむしろ競争的な均衡であると判断されるのに対し、本研究の方法では独占も競争均衡も排除されるという結果を得ている。 - 日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 特別研究員奨励費, 神戸大学, 2020年04月24日 - 2022年03月31日チーム生産におけるモラルハザードモデルの識別可能性に関する研究本研究は、企業の生産活動に関する構造モデルを構築し、その構造モデルのパラメータの識別の結果を得ること、そしてその識別の結果に基づいて実証研究を行い、政策的・実務的インプリケーションを得ることを目標としている。その目標を達成するために、部分識別モデルに関する先行研究の整理を行った。チーム生産のモデルを考察し、すでに得られていた点識別の結果に対してモデルの仮定を弱めることによって、どの程度まで構造モデルのパラメータが識別できるかを考察したが、有用な結果は得られなかった。つまりパラメータに関して有用なバウンドを得ることができなかった。 いくつかの代替的なモデルを考察した結果、参入の脅威に直面した企業がその脅威に対処するため、どのような生産行動をとるかというモデルにたいして部分識別アプローチを用いて有用な結果を得ることができた。つまりこのモデルに対して、企業の生産費用が部分識別され、それは潜在的なパラメータ空間よりも狭い有用なバウンドであることを示した。 本年度は前年度に得られた以上の結果をもとにして、実証研究を行い論文にまとめた。より具体的には、参入阻止行動のモデルにおいて、部分識別された限界費用の上限に対応する均衡と、完全競争などの競争的な均衡を統計的に比較するVuongタイプの検定を行い、参入阻止行動のモデルがデータに対してより適合するという結果を得た。この結果をまとめた論文はEARIE Conference 2022 8月で報告予定である(受理済)。