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松岡 淳
先端膜工学研究センター
助教

研究者基本情報

■ 学位
  • 博士(工学), 神戸大学
■ 研究ニュース

研究活動情報

■ 論文
■ 共同研究・競争的資金等の研究課題
  • 革新的水処理および創エネルギー技術の構築を目指した次世代型正浸透膜法の体系化
    松山 秀人, 松方 正彦, 比嘉 充, 小野 努, 吉岡 朋久, 神尾 英治, 中川 敬三, 佐伯 大輔, 松岡 淳
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 基盤研究(A), 神戸大学, 2021年04月05日 - 2025年03月31日
    1.新規水チャネル型FO膜の創製 1-1.環状ペプチド分子集合体チャネル膜の創製(松山、吉岡、佐伯):分子動力学計算に基づき分子設計された種々の環状ペプチドについて、リン脂質二分膜へ導入してペプチドチャネル型FO膜作成を行った。1-2.イオンビーム飛跡グラフト重合法によるナノウォーターチャネルFO膜の構築(比嘉):ポリエチレンフィルムにXeイオンビームを照射後、クロロメチルスチレンのグラフト重合を行うことでナノチャネル作成を試みた。照射前後の膜電位測定でグラフト鎖の導入を確認した。1-3.革新的ロバスト無機ゼオライトFO膜の創製(松方):孔構造の異なる支持体上にゼオライト膜を製膜しそのFO膜特性の評価を行った。支持体構造がゼオライト膜の水透過性に影響することが明らかになった。1-4.計算機科学による高機能FO膜開発支援 (吉岡):Amphotericin Bの環状ペプチドの一部の水酸基を水素に置換することで疎水化したチャネルモデルがより高い透水性を示すことを分子動力学(MD)シミュレーションで見出した。 2.新規刺激応答性駆動溶液(DS)の創製 2-1.熱応答性イオン液体DSの創製(小野、松岡):種々の水素結合性官能基を有するカチオンと、疎水的なアニオンであるbis(trifluoromethylsulfonyl)imideからなる数種の上限臨界溶液温度型イオン液体を開発した。2-2.刺激応答性有機ポリマーDSの開発(中川):親水的なエチレンオキサイド(EO)及び疎水的なブチレンオキサイド(BO)の共重合比によって相分離挙動を制御する下限臨界溶液温度型コポリマーDSを開発した。 3.FO膜透過とDS再生を含む連続システムによるFS評価とFO膜システムの実証(松山、神尾):開発DSを用いて連続再生するFOシステムのラボ実験を行い、透水性能評価とともに物質収支データを収集した。

研究シーズ

■ 研究シーズ
  • 正浸透膜プロセスを利用した省エネルギーな分離プロセスの開発
    シーズカテゴリ:ものづくり技術(機械・電気電子・化学工業), 環境・農学
    研究キーワード:膜分離, 正浸透膜
    研究の背景と目的:正浸透(Forward Osmosis;FO)膜法は、処理対象溶液(FS)とそれよりも高い浸透圧を持つ駆動溶液(DS)との間に生じる浸透圧差による、自発的な水分子の移動を利用します。従って、従来の高圧を必要とする逆浸透膜法に比べて、圧力ポンプの動力を必要とせず、省エネルギーでの分離が可能と期待されます。我々は、FOプロセスに適した膜材料の開発や、FO法による濃縮プロセスの検討を行っています。
    研究内容:FO膜法は、従来のRO膜法とは水の透過における駆動方式が異なるため、 FO膜法に用いる膜は、FO膜法に適するように設計する必要があります。我々は、膜の材料、成膜方法といった要素が、FO膜法における膜性能にどのように影響するのかを検討することで、高い性能を発揮する膜の開発を目指しています。また、FO膜プロセスを効率的に運転するために、FSやDSの流量、膜の配置などといった運転条件による影響についても検討しています。一方で、これらの基礎的な検討に加えて、FO法の実用化に関する検討として、濃縮プロセスへの適用可能性についても注目して研究しています。例えば食品分野や、廃水中からの有用物質の回収プロセスなど、濃縮は重要なプロセスです。従来の高圧を必要とする方法からFO法に置き換えることで、省エネルギーな濃縮プロセスが実現できるのではないかと提案しています。

    期待される効果や応用分野:FO法は従来の逆浸透法に比べて省エネルギーでの水処理および濃縮プロセスを実現する可能性があります。高性能のFO膜や、FO膜プロセスが開発された場合は、従来のプロセスの大幅な効率化が期待できます。
  • 正浸透膜プロセスに用いる機能性駆動溶液の開発
    シーズカテゴリ:ナノテク・材料, ものづくり技術(機械・電気電子・化学工業)
    研究キーワード:膜分離, イオン液体, 温度相転移材料
    研究の背景と目的:正浸透(Forward Osmosis;FO)膜法は、処理対象溶液(FS)と、それよりも高い浸透圧を持つ駆動溶液(DS)とを半透膜を介して接触させ、FSとDSとの間の浸透圧差を駆動力とする自発的な水分子の移動を利用します。従って、FO膜プロセスにおいては、より効率的に水を移動させるDSの開発が必要不可欠です。我々は、FO膜法のDSに適した新規機能性材料の開発を行っています。
    研究内容:FO膜法はFSとDSとの間の浸透圧差を利用するため、DSには高い浸透圧が要求されます。我々は、高い浸透圧を示す物質として有機塩であるイオン液体に注目しています。イオン液体はその化学構造をデザインすることができ、様々な機能性を付与することが可能です。近年、温度によって水に対する溶解性が変化するイオン液体が報告されました。このような相転移材料は、DSの再利用が可能で興味深い材料です。我々はイオン液体のどのような化学構造が相転移挙動を支配しているのかを明らかにすることを目指しています。一方で、DSにおける課題の一つとして、駆動溶液が膜を介して漏洩し、損失してしまう点が挙げられます。DSの漏洩は、余計な運転コストがかかるという点とFSが汚染されてしまうという点から非常に重要です。我々は、どのような性質の化合物が膜から漏洩しやすいのかを検討し、低漏洩性DSの開発に向けた知見の蓄積を行っています。

    期待される効果や応用分野:FO法は省エネルギーな水処理技術として期待されています。このFOプロセスのカギとなるのが高性能なDSの開発です。高性能DSの開発によって、省エネルギーな水処理技術の構築に貢献できます。
  • 金属錯体系イオン液体を用いた酸素分離膜の開発
    シーズカテゴリ:ナノテク・材料, ものづくり技術(機械・電気電子・化学工業)
    研究キーワード:膜分離法, 酸素分離, イオン液体
    研究の背景と目的:酸素は三大産業ガスの1つであり、燃焼プロセスや医療において利用されます。現在、効率的な酸素分離濃縮技術として膜分離法が期待されています。分離膜の中でも、膜内部に目的ガスと選択的に反応する化合物(キャリア)を含んだ膜は高い分離性能を発揮します。しかしながら、酸素分離膜に適した高性能な酸素キャリアはまだ報告されていません。そこで本研究では高性能な酸素キャリアの開発を行っています。
    研究内容:ガス分離膜においては、イオン液体(常温溶融塩)と呼ばれる物質がキャリアとして高い瀬能を発揮することが知られています。そこで、本研究では、Co(II)-Salen錯体という酸素吸収性を有する金属錯体を化学構造中に含んだイオン液体(金属錯体系イオン液体)を新規に合成しました。その結果、合成した金属錯体系イオン液体は選択的に酸素を吸収することを確認しました。さらに、このイオン液体を用いてガス分離膜を作製し、酸素/窒素の混合ガスに対する分離性能を評価したところ、至適条件においては、従来の酸素分離膜を凌駕する分離性能を発揮しました。現在は、酸素分離性能の更なる向上を目指しています。そのために、ガスの透過性を支配する因子について詳細な検討を行っています。今後、明らかとなった支配因子に基づいて、高性能酸素キャリアとして機能する金属錯体系イオン液体の合成指針の構築を行う予定です。

    期待される効果や応用分野:高性能酸素分離膜は、酸素富化燃焼における酸素分離プロセスや、酸素濃縮器における濃縮プロセスに応用されることで、これらのプロセスを効率化することが期待されます。
     
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