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Search DetailsHIGUCHI TomokoGraduate School of Intercultural StudiesAssistant Professor
Research activity information
■ Paper- 本稿は、デカルトの esse a se / causa sui をめぐる論争(カテルス、アルノー)に対するスピノザの応答を手がかりに、『エチカ』の「属性」を実在的構成要素ではなく幾何学的作図における「補助線」として再解釈する。デカルトは神を肯定的意味での自己原因 とみなし自己原因を擁護するが、アルノーは循環性を指摘する。本稿は、この難点を避けるためにスピノザが採る「生成的定義」—定義が内在的起生因を表現し、そこから諸性質を導出する作法—に注目し、書簡60の円の定義のアナロジーを用いて、概念形成としての因果を読み替える必要を示す。次に、Gueroult(1968)の区分に従って第1部定理5–10を検討し、現実には存在しない「単一属性の実体」という想定が、定理6–8を導くための作図線として働き、定理9–10で無限属性の唯一実体(神)へと対象が移行する手 順を復元する。これにより、神の単純性と属性の多数性は、実在の分割ではなく読者の理解を導く補助線の操作として両立する、と結論づける。すなわち、「属性=補助線」解釈によって、定義上の自己原因の循環を回避しつつ、神の必然的存在と内在因の秩序をア・プリオリに構成しうること、そして読解=証明の経験が実在理解を深化させることを示す。神戸大学大学院国際文化学研究科, Mar. 2026, 国際文化学研究 : 神戸大学大学院国際文化学研究科紀要, 65, 1 - 36, English[Refereed]Research institution
- Sep. 2025, 130, 43 - 59, EnglishResearch institution
- Oct. 2024, EnglishSpinoza’s ethics: A recipe for God[Refereed]Doctoral thesis
- 本稿は、デカルトの esse a se / causa sui をめぐる論争(カテルス、アルノー)に対するスピノザの応答を手がかりに、『エチカ』の「属性」を実在的構成要素ではなく幾何学的作図における「補助線」として再解釈する。デカルトは神を肯定的意味での自己原因 とみなし自己原因を擁護するが、アルノーは循環性を指摘する。本稿は、この難点を避けるためにスピノザが採る「生成的定義」—定義が内在的起生因を表現し、そこから諸性質を導出する作法—に注目し、書簡60の円の定義のアナロジーを用いて、概念形成としての因果を読み替える必要を示す。次に、Gueroult(1968)の区分に従って第1部定理5–10を検討し、現実には存在しない「単一属性の実体」という想定が、定理6–8を導くための作図線として働き、定理9–10で無限属性の唯一実体(神)へと対象が移行する手 順を復元する。これにより、神の単純性と属性の多数性は、実在の分割ではなく読者の理解を導く補助線の操作として両立する、と結論づける。すなわち、「属性=補助線」解釈によって、定義上の自己原因の循環を回避しつつ、神の必然的存在と内在因の秩序をア・プリオリに構成しうること、そして読解=証明の経験が実在理解を深化させることを示す。神戸大学大学院国際文化学研究科, Mar. 2026, 国際文化学研究 : 神戸大学大学院国際文化学研究科紀要, 65, 1 - 36, English
- Sep. 2025, 130, 43 - 59, English
■ Research Themes
- 日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 特別研究員奨励費, 神戸大学, 01 Apr. 2025 - 31 Mar. 202817世紀後半オランダにおけるポルノグラフィー小説とスピノザ
- 日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 特別研究員奨励費, 大阪大学, 22 Apr. 2016 - 31 Mar. 2019スピノザ『エチカ』における幾何学的秩序について本年度、わずか5ヶ月という短い期間ながら以下の2点が科研費の補助を得て遂行される事ができた。まず、5月に台湾大学において行われた国際会議でSpinoza and His Geometric Orderとの題で発表を行った。さらに、近世において非常な影響力を有していた懐疑主義に対してスピノザがどのように議論を行ったかを調査し、英語論文Spinoza and Scepticismを作成した。 1点目に関しては、スピノザの著作における幾何学的論証に焦点を当てたものである。『短論文』その第1付録、『デカルトの哲学原理』、そして『幾何学的秩序によって証明された倫理学』においては幾何学的論証が行われている。この幾何学的論証とはエウクレイデス『原論』をモデルとしたものであり、デカルト『省察』第2答弁においても用いられる。スピノザは『短論文』第1付録から幾何学的論証を行っており、その使用法は徐々に変化している。この点を当発表は指摘した。 2点目に関しては、近世における懐疑主義とスピノザの方法に関してである。ポプキンはスピノザにおける懐疑主義の反駁に対して否定的に捉えていたが、当論文は、スピノザの著作に散見される懐疑主義への言及を洗い直し、スピノザもまた懐疑主義に対抗する議論を行っていると論じた。ここで重要なのは、懐疑主義によって反駁されないような方法であり、本研究の目的であるところのスピノザにおける幾何学的秩序の考察に寄与するところのものである。
