青山 薫 | ![]() |
アオヤマ カオル | |
大学院国際文化学研究科 グローバル文化専攻 | |
教授 | |
社会学関係 |
2015年01月 The Association of College and Research Libraries (ACRL), a division of the American Library Association, 2014 Choice Outstanding Academic Title Award, Asian Women and Intimate Work
•overall excellence in presentation and scholarship •importance relative to other literature in the field •distinction as a first treatment of a given subject in book or electronic form •originality or uniqueness of treatment •value to undergraduate students •importance in building undergraduate library collections, アメリカ合衆国国内外の国際的学術賞
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研究論文(学術雑誌)
昨年、全米で法制化されるなどして話題になった「同性婚」1 。日本では、その法制化が現実味を帯びないうちに賛否両論が出揃った感がある。本稿は、この議論をふまえ、「同性婚」やこれに準ずる「同性パートナーシップ」を想定することが、現在の世界と日本社会でどのような意味をもつのかを考察する。
そのために本稿は、まず、世界で初めて同性カップルの「登録パートナーシップ」を法制化したデンマーク、やはり初めて同性同士の法律婚を可能にしたオランダ、特徴的な「市民パートナーシップ」制度を創設したイギリス、そして「婚姻の平等」化で世界に影響を与えたアメリカにおける、「同性婚」制度の現代史を概観する。そしてこれら各国の経験に基づいて、「同性婚」が何を変え、何を温存するのかを考察する。そこでは、「同性婚」が近代産業資本主義社会の基礎としての異性婚に倣い、カップル主義規範を温存させることを指摘する。また、「同性婚」が、異性婚の必然であった性別役割分業・性と生殖の一致・「男同士の絆」(セジウィック)を変化させる可能性についても論じる。次に本稿は、近年の日本における「同性婚」に関する賛否両論を概観する。そこでは、賛成論が、同性婚の1)自由・平等の制度的保証面、2)国際法的正当性、3)象徴的意義、4)実生活の必要性に依拠していること、反対論が、同性婚の1) 性的少数者の中のマイノリティ排除、2)経済的弱者の排除、3)社会規範・国家法制度への包摂、4)新自由主義経済政策との親和性を問題視していることを指摘する。
そのうえで本稿は、異性愛規範が脆くなってきた今、抗し難い「愛」の言説を通じて「LGBT」が結婚できる「善き市民」として社会に包摂されるとき、他のマイノリティを排除していること、さらに、日本における包摂には、欧米の「同性婚」議論では「愛」と同様に重要視されてきた自由と平等の権利さえ伴っていないことに注意を注ぐよう、読者に呼びかける。
ジェンダー史学会, 2016年, ジェンダー史学, 12, 19 - 36, 日本語[招待有り]
本稿は,公序良俗を守り,「健康な成人向け娯楽」を提供し,「女性と子ども」この産業から保護する法が,男女を分け,女性を,公序良俗の内部にいる「善い女性」と商業的性行為によって無垢さを失った「悪い女性」に分断する性の二重基準にもとづいていることを批判的に検証する.そして,この法によってセックスワーカー(SW)が社会的に排除され,あるいは保護更生の対象とされることを問題視する.さらに本稿は,法の二重基準に内包された階級とエスニシティにかかわるバイアスが,グローバル化が広げる格差と不安定さによって鮮明になったことを指摘する.そして,このような二重基準が,近年,移住SWをつねに人身取引にかかわる犠牲者あるいは犯罪者と位置づけ,とくに逸脱化・無力化する法とその運用にもあらわれていると議論する.
以上の目的をもって,本稿では,SW支援団体と行ったアウトリーチにもと
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研究論文(学術雑誌)
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口頭発表(一般)
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口頭発表(招待・特別)
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口頭発表(招待・特別)
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口頭発表(招待・特別)
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口頭発表(招待・特別)
公開講演,セミナー,チュートリアル,講習,講義等
シンポジウム・ワークショップパネル(公募)
口頭発表(基調)
公開講演,セミナー,チュートリアル,講習,講義等
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口頭発表(一般)
公開講演,セミナー,チュートリアル,講習,講義等
口頭発表(一般)
公開講演,セミナー,チュートリアル,講習,講義等
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口頭発表(招待・特別)
シンポジウム・ワークショップパネル(公募)
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口頭発表(招待・特別)
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口頭発表(招待・特別)
全体としては、9月に神戸大学でワークショップを行い、方法論および現在までの研究を共有した。同時に日本の性風俗産業について、セックスワーカー当事者・支援者団体およびチェーン店舗経営者からのレクチャーを受けた。これらの結果、数年前まで、そこで働く人の出身国籍によって区分けされ横のつながりがない、と一般に言われていた日本の性風俗産業内部の分断を、現在では経営者も働く人も越えて往来するようになっている傾向が、新たに観察された。なお、このワークショップは本研究の代表者がやはり代表者として進めている国際共同研究と合同で行い、それぞれの分担者・協力者の情報交換の機会とした。 各国・各テーマについては、次のとおりの研究を行い、実績を上げた。1)ネットワーク分析のテキストへの適用について、携帯翻訳機から取得した会話データを用いて検討した。今後、性取引等の当時者に対するインタビューデータへの応用を検討する。2)日本について、セックスワークとグローバル化に関する先行研究を中心に文献調査を行った。また、名古屋市繁華街における性的少数者であるセックスワーカーの実態について聞き取り調査、大阪における中国出身セックスワーカーのパイロット調査を開始し、今後の聞き取りとネットワーク分析データにつながる人間関係および知見を得た。定住化後の当事者ネットワークについては、次世代などにかかわるケア・ネットワークの表かも視野に入れる必要が明らかになった。3)フランス・パリと東京において、現地NPOと協力のうえアウトリーチを行う交渉を始めた。パリにおいては当事者団体の協力を得て次年度のワークショップを計画。準備を開始した。4)タイについては、先行研究レビューが完了し、英語での共有も行った。
全体としては次の研究活動を行った。1)4月末から5月、中心的協力機関である英国ケンブリッジ大学、およびエセックス大学とサセックス大学で、それぞれワークショップを開催。先行研究についての理解および調査方法論を共有した。2)9月に神戸大学で、アジアの分担・協力研究者を中心に、研究会及び講演会を開催。各自の研究・進捗状況を共有し、日本における調査協力者からの情報提供を得た。 研究代表者・分担者はそれぞれ次の研究実績を上げた。1)イギリスについて、警察の捜査情報を利用した人身取引ネットワークに関する先行研究に学んだ。他国では同様のデータを得ることが困難なため裁判記録やSNS通信記録を利用する方法を検討する案を得た。他方、協力者が増え、それぞれが孤立して行っている調査を、今回の国際共同研究によって統合する方向も提案された。2)タイについては、先行研究レビューが完了し、聞き取り対象者を得るためのアウトリーチを開始した。3)オランダについては、アムステルダムにおける移住セックスワーカーに対する参与観察を開始した。4)日本については、「興行」や風俗産業界に関する歴史をはじめとした先行研究の収集および整理を行う一方、国際政治学上の「安全保障化」議論を用いて、人身取引とこれに対する女性の脆弱性および対策の枠組みについて考察し、部分的に明らかにした。また、現在移住セックスワーカーを雇っているチェーン店舗の経営者に接触し、研究協力を得ることになった。5)フィリピンについては、在留資格「興行」やフィリピン人移住女性についての言説を収集し、データベース化を開始した。5)中国出身者については、日本(大阪)において1人のセックスワーカー当事者にパイロットインタビューを行った。
競争的資金
トラウマとジェンダーの相互作用を、(1)精神病理や臨床的側面から、(2)犯罪行為や逸脱現象の側面から、(3)当事者の自助グループやメディア発信・アート表象など文化創造的な側面から探り、明らかにすることを目的に、以下の研究活動を行った。フィールド調査の他、国内外での共同研究および学会での情報収集を進めた。また、論文執筆、ワークショップ等の開催、学会報告・講演等により研究成果の発信に努めた。 (1)では、宮地は、年間テーマである「自傷行為、依存症とジェンダー:トラウマの「自己治療」をこえて」にそって、解離性同一性障害における自傷性・他傷性とジェンダーの関係、物質乱用や反社会的行動の既往のジェンダー差など、トラウマとジェンダーと解離の関係について分析を進めた。その成果として、解離性同一性障害の男性事例についての論文を学会誌に発表した。 (2)では、後藤は、児童虐待とその刑事的対応、性暴力の刑事裁判における問題点、リプロダクティブ・ヘルス/ライツと堕胎罪について考察を進め、各種学会で報告を行ったほか、講演及びワークショップの開催などで成果の発信に努めた。 (3)では、青山は、9月に国際ワークショップ「ジェンダー・セクシュアリティ・表象」を開催し、マイノリティ表象と創造性の関係について議論した。また、12月にLGBTIQの性暴力被害の支援体制構築に関わっているNGO「Broken Rainbow - Japan」代表を招き、公開講演会「偏見のないドメスティックバイオレンス対策」を開催し、トラウマとジェンダーと創造性の関係について考察、議論した。宮地は、震災のトラウマとジェンダーについて、昨年度までに引き続きフィールド調査および実践的研究を実施した。また、元ハンセン病患者の療養所を訪問し、ライフヒストリーやアート表現、暮らしの様子などの考察を行った。
東南アジアでは、民主体制は必ずしも「LGBT運動」の拡大にも、性的少数者の権利付与にも寄与しない。ここから二つの議論を立てた。まず、諸国家による性的少数者への多様な対応は、いかに支配勢力が「善き国民・市民・家族」の像に関するヘゲモニーを市民社会に行使し、性的少数者を正統性/非正統性の象徴として利用しているかによる。性的少数者は進歩、市場、民主主義の象徴にもなるし、道徳的退廃の象徴にもなるので、支配勢力にとって自らの正統性を強化するのに都合が良い。次に、性的少数者の多様な実践は、彼らが「善き国民・市民・家族」のヘゲモニーに対して、参加、再定義、破壊のいずれで対処しようとしているかによる。
現在の日本では、人口減少とグローバル化が進展する中で、「周縁労働力」としての外国人労働力の再編が加速化する状況にある。本研究では、日本国内の各地域において、技能実習生や日系外国人を主な対象として製造業や農業などにおける外国人労働力の新しい動向を明らかにした。また、こうした外国人労働力の再編は、日本国内の動向だけではなく、送り出し側の状況やその社会における日本のプレゼンスの変化もあわせて理解することが不可欠であることから、フィリピン・ベトナム・タイ・ラオス・ブラジルなどにおいて現地調査を実施した。
トラウマとジェンダーの相互作用を、(1)精神病理的側面から、(2)犯罪行為や逸脱現象の側面から、(3)文化創造的な側面から探り、明らかにした。 (1)では海外研究協力者との共同研究や、臨床家、脳科学やジェンダー学等の専門家らによる共同研究会議を実施、トラウマの臨床的課題について検討した。(2)では刑事司法におけるストーカーや性犯罪事件の取り扱い、女性薬物依存症者のトラウマと社会復帰、性労働従事者への暴力について分析した。(3)では参加型アートプロジェクトの実施、参与観察を行い、トラウマからの創造性について考察した。(1)~(3)を統合し、成果を著作やウェブサイト等の形にまとめ、国内外で発表した。
2005年風営法改正いらいの繁華街「クリーンアップ」(取り締まり強化)が進み、調査の要であるアウトリーチやピアエデュケーションに積極的に反応する人は、風営法届け出事業の中でも条件の良い店舗で働く人に偏っていることが明らかになった。合法性産業の二極化が進み、「クリーンでない」店舗等で働く人の脆弱性が高まったと言える。不法就労の外国人についても、外界と接触を避ける傾向が強まり脆弱性が高まっていた。 各国当事者団体とWHO等一部国連機関の、性労働者の脆弱性を高める性取引犯罪化は避けるべきとの主張に照らしても、性労働者の権利と安全を守るためには、取り締まり強化を避けるべきであると本研究は結論した。
競争的資金
アジアの家族は多様であり、東アジアと東南アジアの違いというような地理的違いにも還元し尽くせないことが、統計的に明らかになった。一枚岩の「アジアの家族主義」の伝統も現実も存在しない。しかし圧縮近代という共通の条件により、国家よりも市場の役割の大きい福祉レジームが形成され、そのもとでは家族の経済負担は大きく、移民家事労働者の雇用と労働市場の性質によりジェンダーが固定され、近代的規範の再強化も見られる。
競争的資金
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